プーアル茶のことならプーアール茶.comプーアル茶選びのポイント
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プーアール茶の茶葉の見方、上級編


■葉底(煎じた後の茶葉)から読み取る

2005年〜2006年の新しい生茶の茶葉です。
同じ雲南省の大葉種喬木の茶葉ですが、茶山によって形も異なります。
大葉種喬木の茶葉 易武山春尖
左の写真の、上下の茶葉は同じもの。
左から順に、
1列め 「巴達茶山孔雀餅」
2列め 「孟宋茶山孔雀餅」
3列め 「7582プーアル青餅2006年」
4列め 「易武山春尖散茶2006年」
5列め 「布朗茶山孔雀餅」

右の写真は、
左の茶葉が、早期紅印春尖散茶(1950年代の易武山の春摘み茶葉)3級
右の茶葉が、易武山春尖散茶2006年 3級
年数は50年以上の差が有りますが、茶葉の形はそっくりです。

早期紅印春尖散茶 早期紅印春尖散茶
年代モノの茶葉の表面の質感には、特徴があります。
写真はどちらも早期紅印春尖散茶(1950年代の易武山の春摘み茶葉)
茶葉の厚みがあり、長年熟成されることで、表面に小さなイボイボのようなのが浮かんでいます。


左は南糯山、右は易武山
どちらも茶農家から入手した散茶の茶葉です。まだ固形に成型されていないため、茶葉の形はしっかりしています。易武山の茶葉は、若葉ほどややぽってりとした曲線があります。また色が少し浅い感じがします。
南糯山も易武山も、おなじ西双版納にあります。距離にして100キロ程度しか離れていませんが、環境が異なります。
茶葉は、茶山によって異なる風味を持ちます。土質、風、日照、湿度、気温など、様々な条件の違いが、それぞれの茶山の風味の特徴となって現れます。これは味覚ではっきりと認識できるほどの差がありますので、逆に言うと、それほどに自然環境の違いが各茶山にあるということになります。
【茶山と茶葉について】

大葉種喬木の茶樹
1950年代までは、茶樹の栽培は半野生の自然栽培にあり、ほとんどの茶葉が背の高い古樹のものでした。
プーアール茶喬木 プーアール茶喬木
中には樹齢百年を越す茶樹があります。そのような古樹の高さは平均的に5〜6メートルもあり、少数民族が山に入り、籠を背負って、はしごをかけて茶摘をします。その茶葉は、大きく厚みがあるのが特徴です。

プーアール茶喬木 プーアール茶喬木
1970年代から収穫効率を上げるために、古樹が切り倒され、若い茶樹に植え替えられました。茶葉を多くつける若い茶樹の葉はやや小さく柔らかく、風味もまたおだやかなのが特徴です。1990年代後半より中国大陸での需要が拡大し、さらなる収穫効率が求められ、品種改良や茶園の整備がすすみます。人の腰の高さに揃えられ、行列になった茶樹は、雲南の茶葉の特徴を失いつつあるため、最近ではむしろ古樹の栽培が見直されています。

潅木の茶樹
雲南省の茶葉の里といわれる西双版納にもともとあったのは背の高い喬木の茶樹ですが、1970年代から量産を目的に、背の低い潅木種も使われています。香りが弱いため、主に熟茶作りに使用されます。
プーアール茶潅木 プーアール茶潅木
潅木種の茶樹は、地面のすぐ上の辺りから枝分かれして広がります。茶葉はやや小さいのですが、葉底(煎じた後の茶葉)の形からは、喬木種の茶葉と見分けるのは難しいです。

等級の異なる茶葉を配合した餅茶
餅茶の表面を美しく仕上げたり、熟成したときの味を考慮して、大きさの異なる茶葉や茎の部分をを配合して円盤型の餅茶が作られます。
黄印7542七子餅茶 厚紙7532七子餅茶
左の写真は、「黄印7542七子餅茶」。3〜6級で、大きめの茶葉が多い。
右の写真は、 「厚紙7532七子餅茶」。3〜6級で、小さめの茶葉が多い。
茶葉の大きさや色の違うものが混在しているのがわかります。このブレンド具合から、ある程度銘柄が特定できるようになります。また、風味の違いも想像することができます。ブレンドには、味づくりのほか、菌類による後発酵の安定、茶葉の収穫の変動リスクを軽減するなど、様々な理由があります。

熟茶の葉底は黒く崩れた感じになりますが、
どの程度の年代ものか、どの程度の「渥堆」熟成がされてるのかを、葉底の様子から見ることができます。
義安棗香73特厚磚茶 班章老餅茶
左の写真は、「義安棗香73特厚磚茶」 1973年ごろ製造
右の写真は、「班章老餅茶」1990年ごろ製造
約30年モノの茶葉と、約15年モノの葉底の様子には大きな差があります。30年モノの葉底は黒く枯れたようになっているのに対して、15年モノは、まだ茶葉の形もしっかりし、弾力があります。メーカーの「渥堆」での熟成度や、保存環境も関係します。
熟成の強さは葉底にも現れます。以下は、よく熟した熟茶のケースです。
天字沱茶90年代初期 (プーアル茶) 天字沱茶90年代初期 (プーアル茶)
左の写真は、「天字沱茶90年代初期」の葉底(煎じた後の茶葉)
右の写真は、「天字沱茶90年代初期」の煎じる前の茶葉
メーカーでも、その後の倉庫でも、しっかりと熟成されている熟茶です。右の写真から、茶葉は粉末状になっている屑茶ではなく、形がはっきりしていることがわかりますが、強い発酵の結果、茶葉はもろくなっていて、煎じて水にふやけさせても元の姿に近づくことができません。葉底の弾力も失われ、ポロポロした感じです。しかし、このお茶は優れた風味に仕上がっています。
葉底の形がはっきりとして弾力のあるのが必ずしも良いわけではありません。

生茶のケースです。
倉庫での発酵(熟成)の違いが葉底に現れています。
湿倉のプーアル茶葉 乾倉のプーアル茶葉
左の写真は、重湿倉の葉底(茶葉に直接水をかけられたもの)
右の写真は、乾倉のもの。(通常の湿度の倉庫のもの)
左の写真の茶葉は、黒ずんだところもあれば、まだ緑の面影のある鶯色が残っているところもあり、熟成にムラがあります。そして、茶葉の形はしなびています。それに対して、右の写真の乾倉のものは、まんべんなく熟成した色になっており、茶葉の形は崩れていませんが、全体的に明るい赤味があり、熟成の具合のよさが伺えます。もちろん風味はまったく異なり、乾倉のものが、美味しいと感じます。

7542七子餅茶 7542七子餅茶
左の写真は、7542七子餅茶 1980年頃 比較的乾燥した倉庫
右の写真は、7542七子餅茶 1980年頃 比較的湿度のある倉庫
この二つの茶葉は、ほぼ同じ大きさの茶葉で作られ、ほぼ同じ年数熟成されていた餅茶(円盤型の茶葉)ですが、保存された倉庫の環境の差が、葉底の色や質感に現れています。比較的乾燥した倉庫の左の写真の茶葉には、鶯色が残っており、弾力があってピンピンしている様子があります。右の写真の比較的湿度の高いところの茶葉は、黒味と赤味が強く、茶葉はしなびた感じに見えます。
味は、左が軽く、酸味が利いて、華やかな感じ。右は重く、甘味があり、穀物のような厚みのある感じ。
この両者はどちらも美味しく仕上がっているのですが、倉庫熟成をする茶商の考え方の違いがあり、風味の差があります。どちらが良いということではなく、どちらが好みかということで、あとは飲む人の判断するところです。


■圧延された茶葉の形や表情から読み取る

年代モノの茶葉は、一枚一枚の厚みが異なってきます。
厚紙8582七子餅茶プーアル茶 大益茶磚96年プーアル茶
左の写真は、「厚紙8582七子餅茶プーアル茶」1985年
右の写真は、「大益茶磚96年プーアル茶」1996年
大きめの茶葉で、茎の部分も多く混じるようなものほど、年数が経つにつれて、茶葉と茶葉の隙間ができてきて、わずかに膨れてきます。一枚一枚の膨れ方が異なるため、厚みの違いがでてきます。小さめの茶葉だけで強く固められたタイプの、固形茶は、膨れにくく、厚みの差も少ないです。


等級の異なる茶葉を、表、裏とに配置する「配方」の技術
この例は、7542七子餅茶です。
7542七子餅茶の表面 7542七子餅茶の裏面
左の写真は、表面。
右の写真は、裏面。
表面はキレイに仕上げるために、細かい茶葉が多く使用されております。裏面は大きめの粗い茶葉と、茶の茎なども混じるため、デコボコとしています。餅茶の見栄えをよくしながらも、保存熟成や味のバランスを考慮した粗い茶葉や茎の部分をブレンドする、孟海茶廠の得意とする技術です。1970年前後の時代背景がこの技術に関係しています。詳しくは、「七子小緑印圓茶7542の散茶」の「7542七子餅茶の生い立ち」のページをご覧下さい。
【7542七子餅茶の生い立ち】

押し型の違い
固形の茶葉を圧延する技術の差が、茶葉の表面に現れます。
メーカーによって、あるいは年代によって押し型が異なります。
中茶牌鉄餅簡体字版 8892後期紅印圓茶
左の写真は「中茶牌鉄餅簡体字版」 下関茶廠製造
右の写真は「8892後期紅印圓茶」 孟海茶廠製造
中央の窪みの形や大きさがメーカーや年代によって異なります。鑑定の目安のひとつになります。

下関茶磚80年代 義安棗香73特厚磚茶
左の写真は「下関茶磚80年代」 下関茶廠製造
右の写真は「義安棗香73特厚磚茶」 景谷茶廠製造
鉄の押し型でつくった「下関茶磚80年代」は、ポツポツと突起があります。石の押し型でつくった「義安棗香73特厚磚茶」にはそれがなく、布の跡が残っているのみです。


左の写真は、「7542七子餅茶」2006年製造
右の写真は、「7542七子餅茶」1999年製造
どちらも同じ等級の茶葉が配合された餅茶で、同じような乾燥した環境で保存されたものですが、保存に7年の格差があります。色が異なるのはもちろんですが、右の写真のほうは茶葉と茶葉の間にすきまが生じてきています。茶葉がより乾燥したり、成分が変化するせいで、年月が経つほどに茶葉はスカスカしてきます。
右の写真の茶葉に赤味が加わっています。これは、菌類の活動による後発酵のある色合いです。

くぼみの部分が傾斜している雲南孟海茶廠のプーアール餅茶・プーアル餅茶 くぼみから外側に向けて、一筋の溝があるプーアール餅茶・プーアル餅茶
左の写真は、くぼみの底の部分が、水平ではなく、斜めに傾いています。
右の写真は、くぼみ中央から外に向かって、一筋の溝があります。見た目ではわかりにくいですが、手で触るとはっきりします。このような押し型の特徴も、鑑定のポイントとなります。写真は孟海茶廠の七子餅茶の例です。


■茶葉の二次加工

茶葉が固められ、プーアール茶が出来上がってから、さらに蒸しによる加工がされているものがあります。長年熟成させたように見せるコピー品をつくる目的でこの技術が使われます。
易武山の野生茶葉をつかったプーアール餅茶・プーアル餅茶 二次加工品のプーアール餅茶・プーアル餅茶
左の写真は、後ろのが生茶の2〜3年もの。手前のが生茶を二次加工して、いかにも長年熟成させたように見せたもの。銘柄はちがうのですが、どちらも大葉種の野生茶葉を使用しているものです。
右の写真は、二次加工の茶葉の表面。
悪い色ではありません。茶葉の形も悪くないですが、よく見ると、色の割には茶葉がみっちり詰まっています。生茶で20年もするとこのような色になりますが、とくべつに押し固められた鉄餅でもなければ、茶葉はもう少し乾燥したようになり、隙間がもっとゆるくなってスカスカしてきます。これを生茶の老茶であるとして販売されていた場合は、茶葉の香りや、試飲によって判断したほうがよいでしょう。

熟茶を二次加工している場合もあります。
熟茶を二次加工した場合は、生茶を二次加工したものほど味の変化はありませんが、有名茶廠(メーカー)のものでしたら、比べようがあるため、味をごまかすことができません。無名の小さな茶廠のお茶の場合は判別が難しくなります。実際、二次加工品の多くは、無名の小さなメーカーのものです。
二次加工の熟茶プーアル茶 二次加工の熟茶プーアル茶
写真は、中国の四川省、成都のお茶市場で見つけたものです。1980年代の「7581文革磚茶」であり、香港の茶商と太いパイプがあるから本物まちがいないとして、高価な価格で勧められましたが、少量のサンプルを購入してよく見ると、印刷の文字のデザインや、茶葉の様子がおかしいことに気付きました。茶葉の表面は黒く光沢がありすぎてちょっと不自然です。試飲すると、焙煎による焦げた香りがかすかにしました。上手に焙煎してあるものは、雑味を消して、年代モノに共通するような透明感と、まろやかさを感じ、うっかりすると間違えてしまいます。しかし、年代モノにある複雑で繊細な旨味は残っていません。
加工が上手であると、おいしく飲めるものもあります。良質の茶葉が使われていて、上手に加工され、おいしく飲めるものが最近は多く流通しております。それと知って妥当な値段で買うのは問題ありません。


■プーアル茶の銘柄の鑑定
模造品の多いプーアル茶ですが、1950年代〜1990年代後半までにつくられた銘柄については、品数が限られているため、文献に写真や文章で記録されており、それが鑑定の助けとなります。
銘柄の鑑定が重要視されるのには、理由があります。
例えば、権威のある人から、2000年代に作られたものを1970年であるとして紹介されても、経験のない消費者にはわかりにくいことです。中華圏では、たとえ老舗の専門店でも、相手が分からない場合は、適当な品を売ることに罪の意識はありません。大学教授が偽モノ骨董品を売るようなことは、あちこちであることなのです。このような騙され方をするようでは、消費者はプーアル茶から遠ざかってしまいます。銘柄の鑑定がある程度できるようになっていることは、消費者だけでなく、メーカーにとっても流通にとっても小売にとっても大切なのです。
また、有名銘柄には相場があります。何軒かの専門店を見てまわったり、電話で問い合わせれば、大体の相場がつかめます。その銘柄の相場を知ると、むちゃくちゃな値段で買うことにはなりません。逆に、相場よりも安すぎる場合にも、疑ってかかります。なぜ相場よりも安いのか?その理由がなにかあります。
結局のところ、鑑定可能な銘柄の品を求めるのは、かしこい買い物なのです。中華圏ならではの、人の知恵です。
日本人からすると、理解の難しいところもあるのですが、異国のお茶を飲むついでに、異国の文化に触れてください。


「茶藝」五行圖書出版有限公司  「8582七子餅茶特集」

参考にする文献は、銘柄によって異なります。例えば、1950年〜1990年代の七子餅茶については、台湾の出版社の五行圖書出版有限公司の「深遠的七子世界」が優れています。当店では各お茶の紹介ページに、参考文献とその記事のあるページを記載しています。
また、最近ではファンが運営しているインターネット上のサイト(中国語)もチェックします。いずれも、間違いもありますので、心配なところは、出版社の編集者に問い合わせたり、経験のある茶商や個人収集家にも意見を求めます。
年代モノのプーアル茶の鑑定には、茶葉、圧延の技術、熟成の仕上がり具合、包み紙の質、印刷物の文字のデザイン、紙の汚れ具合、扱った茶商や、過去にそれが保存されていた場所、その他あらゆることを手がかりにして、総合的に見てゆきます。最終的に決め手となるのは、試飲による「味」ですが、人間の味覚は、それひとつ試飲しただけでは詳細なことがわからないため、必ずそれに関係するお茶と比べ飲みをします。そのため、有名銘柄のサンプル茶葉が多いほど、鑑定の精度は上がります。

当店のサンプル茶葉の一部

鑑定に値するプーアル茶は限られています。
1950年頃から1995年頃までは限られたメーカーしか輸出向けの高級プーアル茶を作っていません。その間は、茶葉の取引は国が管理しており、国営の貿易会社のみが輸出の権利を持っており、その会社「中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司」がメーカーに生産を委託する形だったため、例えば老舗メーカーの「孟海茶廠」のプーアル茶には、包み紙に「孟海茶廠」と記されていないものがあります。

孟海茶廠 孟海茶廠

■ 孟海茶廠 雲南省西双版納(Xishuangbanna)
■下関茶廠 雲南省下関(Xiaguan)
■ 昆明第一茶廠 雲南省昆明(kunming)
この3つが1950年頃から1995年頃までのほとんどの輸出向けプーアル茶を作っています。例外として、たとえば昆明第一茶廠が景谷茶廠に製造を委託して、作ったような形もあります。 孟庫茶廠など国内のチベットや青海など、辺境地向けの廉価なプーアル茶をつくっていた以外は、外貨を獲得するための政策により、中国国内に高級プーアル茶はほとんど流通しておりませんでした。

1990年代後半になって、茶葉の取引が自由化され、様々なメーカーが自由にプーアル茶をつくり、販売しています。孟海県にはいたるところにメーカーがあります。
新しいプーアール茶メーカー 新しいプーアール茶メーカー
小さなところは倉庫を2つか3つ合わせたような簡単なものから、熟茶の渥堆のための広い倉庫をいくつもかかえる規模のメーカーまで、様々です。このため、品質面での新たな問題も出てきており、茶葉の鑑定には新しい見方も必要となっています。

また、国営の老舗のメーカーも、2000年以降にすべて民営化を果たしました。その後は自由競争になるため、品質への考え方も大きく変わっています。例えば孟海茶廠は、民営化後に拡大路線をとり、高級品から大衆品へと商品のラインナップを変えて、販路を専門店だけでなくデパートなどに広げ、テレビコマーシャルをするなどして、過去とはことなる方向へと歩もうとしています。したがって、これから先は昔のような高品質なお茶は期待できないでしょう。メーカーを頼りに質のよい品を求められる時代は終わりました。

厚紙7532七子餅茶
左の写真は、「厚紙7532七子餅茶」 孟海茶廠製造
右の写真は、「???」 小さなメーカーのコピー品
右の写真のお茶は、上海のプーアル茶専門店で安く売られていたものです。印刷のデザインはほぼ同じで、これだけでは判定が難しいのですが、その他にも鑑定のポイントはたくさんあり、総合的に見ることで、はっきりと判別できます。

1990年代後半から、雲南のお茶の取引は自由化され、民営のメーカーがたくさんでき、驚くほど多くの種類の品がつくられています。かつての国営会社であった 「中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司」も、民間のメーカーに委託製造して、独自ブランドに見せた茶葉を販売するようになっています。包み紙には、「中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司」と記されていますから、包み紙でメーカーを判断することがますます難しくなっています。
後期紅印圓茶90年代
左の写真は、「後期紅印圓茶90年代」 孟海茶廠製造
右の写真は、「後期藍印圓茶90年代末」 中国茶叶雲南省進出口公司
この場合は、包装のデザインはまったく同じで、色が違うだけです。 また、製造販売元の、「中国茶叶雲南省進出口公司」という会社名も、「中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司」とよく似ています。茶葉の質を見て、味見をして、納得する価格で買うのには問題ないと思います。

印刷のズレなどによる判別
孟海茶廠の大益青餅 孟海茶廠の大益青餅
この餅茶の外包みの真ん中の文字に、引っ掻いたような版の傷跡があります。
2003年末から2004年末までの孟海茶廠の大益シリーズの七子餅茶の印刷の特徴です。このような印刷の特徴が残っているものも、鑑定には役立ちます。
孟海茶廠の「大益」商標は、1988年に例外的にレンガ型の磚茶のものがありますが、それ以外の多くは、茶葉の取引が自由化された動きのある1994年以降のものです。
大益牌(商標)については、以下のページをご参照ください。
【大益牌について】

内飛(neife)と内票(neipiao)
これらの印刷デザインからも銘柄や年代の特定ができるため、プーアル茶専門書を参照して、鑑定することができます。
内飛 プーアール茶・プーアル茶 内票(neipiao)
左の写真は、内飛(neife)。茶葉に埋め込まれた5〜6cm程の紙
右の写真は、内票(neipiao)。包み紙の中に入っている紙


年代モノのプーアル茶の番付表
台湾の出版社のポスターです。年代の古いもの順に、内飛や内要、包み紙の写真があります。ここに出てくるのは、選ばれた銘茶とされるものです。銘茶は、美味しさだけでなく、原料の茶葉、製法や技術、その当時の歴史的背景、その他様々な観点から選ばれています。プーアル茶を選ぶときには、このような銘茶がつくってきた品質の基準も参考にします。

緑色食品の表示と、賞味期限について

最近になって、中国国内でもオーガニック製品に対する意識が高まり、国の検査の必要な「緑色食品」のマークが入っているものがあります。 写真は下関茶廠の2003年製造の沱茶の箱です。 このマークは印刷できるので、小さな食品メーカーが無認可でこのマークを使用して問題となっていますが、老舗のメーカーなど、名の通ったメーカーにはそのようなことはできませんので、安心して利用できます。
ただ、このマークを入れる条件として、賞味期限の表示も同時に義務付けられています。 10年でも20年でも長期保存が可能で、熟成した味わいを楽しめるプーアル茶ですが、写真のように、保質期:36ヶ月と表示されています。 これは一般的な食品の保存時間の最長3年(36ヶ月)の表記が適用されているのだと思います。
「緑色食品」マークのための保存期間の表示や、パッケージの素材の規制に準ずることで、昔ながらの包装やデザインを変更しないために、なかには、同じ茶葉や同じ製造方法にもかかわらず、「緑色食品」の表示をしていないケースもあります。


■プーアル茶選びの難しさと魅力

「プーアール茶の茶葉の見方」
「プーアール茶の茶葉の見方、上級編」
「プーアール茶を味で選ぶ」
この3ページにわたって、プーアル茶選びの観点のほんの一部を紹介しておりますが、実際のところ、これを読んだり、台湾の専門誌を読んだり、本場の香港や広州に行ったり、または雲南省の茶農家にまで行ったところで、本当に良いプーアル茶に出会うのはそうカンタンではありません。ここに書いてあることが間違っているのではなく、その他にまだまだ多くの観点があり、それらもまた重要だからです。だからこそ、当店は存在しています。
1990年代後半から、中国大陸にもプーアル茶が大量に流通するようになり、メーカーが乱立し、小売店が乱立し、いまやどこの中国茶の市場にもお店にも、プーアル茶が山積みされています。それにもかかわらず、本当に良いプーアル茶にカンタンに出会うことができないのは、特殊な流通経路と、中華圏の商習慣と、熟成の仕上がりがまちまちであることに原因があります。
プーアル茶選びを趣味にすると、こうした異国の文化と対面することになります。茶農家やメーカーは、消費者とは生きている時代が全く異なると思えるくらい差が大きなものです。
例えば、特殊な流通経路や商習慣は、素人から見ると、複雑で効率が悪いように見えますが、実はそうではありません。茶葉というリスクの高い商品をあつかうための、リスク回避と、いまどきの言葉で言う「キャッシュフロー経営」のノウハウが隠れていたりします。また、桁外れの人口を抱える国特有の裏事情もあります。
これも時代の変化と共に、柔軟に変化してゆくのですが、そのような背景を知ってゆくこともまた、プーアル茶の楽しみとしてはいかがでしょうか。、

次のページでは、味の違いから見たプーアル茶選びを紹介しています。
【プーアール茶を味で選ぶ】

お客様のご質問

■特定の銘柄のお茶を探せますか?
ご質問:
特定の銘柄のプーアル茶の餅茶を探していただくことはできますでしょうか?製造年数もできれば指定したいのですが・・・
回答:
可能です。もちろん銘柄によっては、難しいのもあります。また、製造年数もだいたいは判っても、はっきりしないものもあります。 同じ銘柄でも、保存される倉庫によって風味がまったく異なりますので、熟成が弱いめのか、強いめのか、どちらかをご指定いただきましたら、それになるべく近いものを探します。 すでにお手元にあるものと、まったく同じ味のものを見つけることは、まずできないことを、あらかじめご了承ください。

■銘茶が孟海茶廠に多いのはなぜですか?
ご質問:
ところで、ひとつ知りたいことがあるのですが、お試し会員のお茶のメーカーは、孟海茶廠や下関茶廠など、特定のメーカーのものが多いですよね? とくに孟海茶廠は、老舗のメーカーで、いいお茶を作っているということは、お茶の説明文章を読んでわかってきたのですが、最近入手したプーアール茶の専門書にも、やはり孟海茶廠や下関茶廠のものが多く紹介されています。 プーアール茶のメーカーは他にもたくさんあるようなのですが、なぜ銘茶には孟海茶廠や下関茶廠のが多くて、他のメーカーのものが少ないのでしょうか? 技術の格差が大きいとか、ブランド価値があるとか、生産能力とか、理由があるのでしょうか?
回答:
1950年頃から1995年頃まで、中国では特定の国営企業にしか茶葉の輸出の権利がありませんでした。 その国営の貿易会社に茶葉を供給していたのが、国営メーカーの、
孟海茶廠 雲南省西双版納(Xishuangbanna)
下関茶廠 雲南省下関(Xiaguan)
昆明第一茶廠 雲南省昆明(kunming)
この3つがほとんどでした。 例外として、たとえば昆明第一茶廠が景谷茶廠に製造を委託して、販売は昆明第一茶廠が行ったような形もあります。 いくつかの小さなメーカーもこの期間に少量ながらプーアール茶を生産していますが、国営メーカーの下請けもしくは、中国国内の僻地、チベットや四川や新疆向けの廉価商品を流通していたと思われます。僻地へ向けて供給されたプーアール茶は、保存食的な意味で保存しているのであって、倉庫で熟成させた風味を楽しむ目的ではないため、10年も20年も長期保存された味を楽しむことはしません。10年モノ〜50年モノの年代モノの熟成したプーアール茶は、主に香港に渡った高級プーアール茶であって、それは国営の貿易会社が扱った孟海茶廠、下関茶廠、昆明第一茶廠のものがほとんどであるということになります。
現在は、経済の開放政策によって、どんなに小さな民営のメーカーでも、販売も輸出も自由にできますから、景気のいい中国経済と健康ブームに乗って、国内需要に応えるように新しいメーカーがひしめき、さまざまなプーアール茶を生産しています。


■半生熟茶はどのような味でしょうか?
ご質問:
半生熟茶とされる、「7581後期文革磚80年代」を飲みました。美味しいプーアル茶でしたが、熟茶の「鳳凰沱茶93年プーアル茶」や「厚紙黄印七子餅茶」と同じような印象で、半生熟茶の味の特徴を見つけることはできませんでした。半生熟茶の味の特徴とは、どんなものなのでしょうか?
回答: 「半生熟茶」という共通した言葉はありません。メーカーによっても、本によっても言い方は様々で統一されていません。 当店では、「熟茶」という言葉は「渥堆」加工されたものであると定義しています。したがって、「7581後期文革磚80年代」も「鳳凰沱茶93年プーアル茶」も「厚紙黄印七子餅茶」もみんな渥堆で作られた熟茶です。
「渥堆」(ウォードゥイ)についてはこちら
「73白紙特厚磚プーアル茶」
1970年頃から「渥堆」で作られた熟茶の量産品が世に出るわけですが、熟茶の目的である、いかに長い年月を掛けずに、まろやかな風味を作るかということは、「渥堆」という技術が用いられる以前から、メーカーでも茶商でも試行錯誤されていたようです。 例えば、1950年頃に人気の「紅印圓茶」シリーズの中には、包み紙をつけずにメーカーの倉庫で長期間置くことを試した「無紙紅印」があります。また、茶葉を収穫して散茶の状態で少し熟成させてから固形にした「黄印圓茶・小黄印圓茶80年代初期」や「7562磚茶」などもあります。これは「二分熟茶」や「三分熟茶」という呼ばれ方をしますが、「渥堆」による加工がされていませんので生茶です。実際に、生茶の味の特徴が色濃く残っています。 また、「渥堆」による加工が始まった1970年代につくられた熟茶の中には、「渥堆」による熟成が弱いタイプのものがあり、それは熟茶でありながら、どこか生茶の年代モノに共通するような風味を残しています。「7452七子餅茶プーアル茶」や「義安棗香73特厚磚茶プーアル茶」などがそれに該当します。
「7581後期文革磚80年代」は「渥堆」の加工が弱いことによる半生なので、「7452七子餅茶プーアル茶」や「義安棗香73特厚磚茶プーアル茶」の味が近いと思います。 同じく「渥堆」の熟成が弱い「鳳凰沱茶93年プーアル茶」は、味わい的には半生に近いと思いますので、「半生熟茶」と呼んでもいいのかもしれません。

■ 包み紙や内飛なども含め、お茶1枚1枚の表情?が異なりますね
ご質問:
今回お送りいただいた厚紙黄印七子餅茶 7枚と、前回の2枚の計9枚を並べて見ますと、包み紙や内飛なども含め、お茶1枚1枚の表情?が異なりますね。

回答:
そのとおりです。 包み紙のバラつきは単に紙の製造技術や印刷技術の問題ですが、茶葉の様子もちょっとづつ異なるというのにもお気づきのことと思います。 茶葉の配合のムラとか、保存された倉庫の位置の違いとか、竹の皮の七枚一組の何枚目であるとか、そんなことによるちょっとの差が、長期保存によってさらに広がります。 また、同じ一枚の茶葉でも、隙間が多くて空気に触れやすい部分の茶葉と、隙間なくきっちり固まっている中央あたりの茶葉とでは味が異なります。 空気に触れやすい端っこのほうの茶葉 強く押し固められている真ん中のほうの茶葉 飲み比べるとその違いに気づくことができます。 崩してから空気に触れやすい状態でしばらく置くと(3週間ほど)、味は近づいてきます。

■中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司とは?
ご質問:
プーアル餅茶の包装に書いている会社名のようですが、中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司ってなにですか?孟海茶廠の作ったお茶のはずですが、この会社名が書かれています。どのような関係なのでしょう?
回答:
貿易許可を持っていた国営企業のことです。 1950年〜1990年頃まで、茶葉を輸出できる権利を持っていた国営企業のことです。どこの茶廠でつくられようが、海外への輸出は国営企業が一手に引き受けていました。経済改革解放により、現在は茶廠が自ら貿易も手がけることが出来ます。現在生産されている茶葉の包み紙にもこの字が書かれているのは、昔の感じを引き継いでいるだけで、あまり意味の無いことかもしれません。 台湾の五行図書から出版されている「七子餅辞典」の191ページに、茶葉の輸出をしていた国営企業の年表があります。たとえば「早期藍印鉄餅50年代」の包み紙には、「中国茶行公司雲南省公司」と書かれています。1950年頃はこの会社が当時の輸出業務をしていたのです。


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