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73白紙特厚磚プーアル茶

qi san hou zhuan cha

73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)
73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)

73白紙特厚磚プーアル茶 1枚 約240g
2007/04/27 終了

製造 : 1973年 
茶廠 : 昆明茶廠販売 景谷茶廠製造
茶山 : 景谷茶区
茶樹 : 大葉種 潅木
茶葉 : 5~10級、
工程 : 半生熟茶
重量 : 230~250g
倉庫 : 香港乾倉(期間不明)

甘味
●●●○○ 軽快な甘味
渋味
●○○○○
とろみ
●●●○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●○○ 軽快な苦味
香り
●●○○○
熟成度
●●○○○ 熟茶初期の弱め

「熟茶」としてはじめて量産された、元祖熟茶のプーアール茶です。
通称「73厚磚茶」の名前の通りに、1973年に作られた品です。包装の種類がいくつかありますが、ここで紹介するのは「73白紙特厚磚」と呼ばれる、紙の色の白いタイプです。

73厚磚を作ったのは「昆明第一茶廠」(メーカー)です。
その当時の雲南の茶葉の取引は国の管理下にあり、「昆明第一茶廠」は国営メーカー大手のひとつでした。主に国内市場向けのプーアール茶を作ってきましたが、1995年に解散しています。
「昆明第一茶廠」が解散した後にも、代表的な製品の「73厚磚」や「7581磚茶」は、民営の小規模メーカーが受け継ぎ、複製品を多く作っています。1990年代後半からお茶作りや茶葉の取引が自由化されたので、解散したメーカーの銘柄の権利については、無管理状態となっています。

熟茶量産品の販売がはじまった1970年初期の頃は、熟茶といってもまだ渥堆発酵度の弱い「半生熟茶」と呼ばれるものでした。この「73白紙特厚磚」もその一つです。渥堆発酵の研究のすすんだ現在では、もっとしっかりと熟成された熟茶製品が多くなりました。

「渥堆」(ウォードゥイ)技術について


1958年からの大躍進政策や1970年前後の文化大革命による農業改革の影響で、お茶作りにも効率化が求められ、長年保存熟成させずとも甘くてまろやかな風味の「熟茶」の量産技術が研究されました。

大手の国営メーカーが中心になって「渥堆」(ウォードゥイ)による量産の技術を研究し、1973年頃昆明茶廠がいちはやく「発酵快速陳化」の成功した製品として「73厚磚」を出荷しました。それがはじめての熟茶の量産品となります。実験的な試みは1960年代から国営メーカーで行われており、孟海茶廠からは一部その熟茶製品が市場に出ていますが、一般的には「73厚磚」が初の量産品ということになっています。


熟茶作り

「渥堆」発酵は雲南の茶廠(メーカー)の倉庫内の施設で行われます。1メートルほどの高さに積み上げられた茶葉は、ひと山約500キロ。それが20枚分あり、全部で10トンの茶葉になります。この茶葉の山に掛ける水の量、室温、発酵時間、茶葉の等級、などなどが味を左右します。水は綺麗な井戸水が使用されます。発酵の始まった茶葉は、菌類の発する熱で50度にも達します。
発酵に主に活躍する麹菌は、茶廠の倉庫の空中にも漂っていて、それが自然に茶葉に付着します。茶葉の山には大きな布が被せられ、保温されます。温度と湿度が一定に保たれた環境で繁殖し、茶葉が発酵します。発酵を始めた茶葉は自ら熱を持ちます。その熱が酵母菌の適温をつくるような連鎖があり、菌類はグループとなって活動します。
水をかけてから24時間ごとに茶葉の山を底からひっくり返して、まんべんなく熟成するように管理されます。
この繰り返しをどのくらいの期間続けるか、水をどのくらいの量を加えるかで熟成度が調整されます。熟成度は茶葉の質によっても微妙に異なります。茶山によってそれぞれ異なる茶葉の成分、等級や収穫時期、茶葉の裁断具合、茎の混ぜ具合なども熟成度を左右します。2ヶ月ほどかけてゆっくり発酵させるのが丁寧な作り方ですが、1ヶ月以内で快速発酵させる方法もあります。独自の風味を作り出す茶廠(メーカー)は「渥堆」発酵の技術を公開していません。
渥堆が終わると、茶葉を天日干しにて乾燥させ、発酵がうまくゆかなかった茶葉や、太い茎の部分などを取り除き、 圧延加工されます。
麹菌などの菌類はこの乾燥や蒸したときの熱によっていったん死活しますが、茶葉に残る酵素成分などにより、茶商の倉庫に長期保存されるうちにも変化はゆっくりと続き、よりまろやかになってゆきます。

渥堆のときには、太い茎の部分がいっしょに混ぜられています。茎の部分は糖分が多く、菌類の活動にかかせない栄養素を持ち、さらに通気をよくするため、わざわざ茎の部分を残して、茶葉といっしょに発酵させるのです。

「渥堆」でのプーアール茶の発酵には、麹カビ以外にも何種類もの菌が相互に作用して、グループを形成して発酵に関わっています。
(雲南科技出版社 「雲南普シ耳茶」の一部を参照)

これらのカビのグループが相互に作用しだすと、他の雑菌(人間の体にとって悪い成分をつくる菌)の繁殖や活動を阻害する成分が作られ、抗菌効果を発揮し、それによって茶葉が腐敗しません。

「渥堆」による熟茶の量産は1970年代に始まりますが、もともと雲南の山岳少数民族の一部には熟茶作りが古くから伝わっていました。
緑茶の状態にまで加工した晒青毛茶を竹筒につめ、蓋をして、土に埋めるなどして湿度と温度を保ち、発酵させたものを天日干し乾燥させ、それを煮出して薬用茶として利用していました。それには排毒や胃腸薬的な作用があるとされています。


■このお茶の茶葉について
茶葉の表面 73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)
大きな茶葉 73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)
崩したときにこんな葉が出てきました。「黄片」と呼ばれる大きく開いた茶葉です。生茶の高級品では取り除かれる茶葉ですが、昆明第一茶廠の熟茶作りには廉価商品の量産が目的にあったためむしろ等級の悪い茶葉が積極的に使われています。
写真の右隣の丸いのは茶果(茶の実)です。


一部に新芽や若葉にあたる茶葉も見つかります。いくつかの等級をブレンドしているため、3~4色が混在しています。


易武山三合社大葉黄片餅茶09年(当店試作品)
この写真は「黄片」と呼ばれる等級の大きな茶葉や茎のみで試しに作った餅茶です。3~4色が混在している様子が73厚磚の茶葉の様子にも似ています。

茶葉の隙間の多い 73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)
73厚磚の「厚」は、この磚茶の形の特徴を現しています。他の磚茶製品と重量は同じ250gでも、73厚磚にはより厚みがあります。
大きめの5~10級茶葉で作られているので、もともとの圧延もゆるいのですが、保存しているうちにさらに茶葉と茶葉の隙間が大きくなりやすく、長い年月をかけて厚みが増します。とくに湿度と温度の高めの香港や広東の茶商の倉庫に入ったものは、茶葉が水分を含んで膨らんだり放出して縮んだりするせいか隙間が微妙にできやすく、厚みが増しています。

厚みがある 73厚磚茶73年製 (プーアール磚茶)
この写真は、実はどちらも73厚磚茶(「73白紙特厚磚」)で、しかも73年製のものです。しかし、あきらかに上のほうのが厚みがあるように見えます。茶葉の隙間の膨張が個々に異なるので、長い年月を経て、眼に見える差となって現れています。 厚みは約3~5センチメートルで、約2センチもの差があります。また、一枚の右端は4センチあり左端は5センチあるというように、厚みに差が出ることもあります。これはもともとの押し型の問題もあるのですが、保存時の積み重ねの不安定なものが、時間をかけて差を広げていった結果です。
厚みの差は、味の差にもなって現れます。厚みのあるものは甘味が強いと考えられており、煎じる時間が短くてもしっかりした味と色が出ると言われています。
それに対して、茶葉がしっかりと固まって薄いものは味が重く、適度な味と色に煎じる時間は少し長めになります。
厚みのあるものは、棗香(ナツメ)の香りがあり、薄いものは参香(朝鮮人参のこと)の香りがあると言われています。



73厚磚茶に使われる茶葉には、「紅茶」の粉末が少し混ぜられたという話があります。表面の色を赤くして綺麗に見え、なおかつ美味しく仕上がるということですが、実はこれは建て前で、仕事の手を抜き材料をごまかす目的で安い紅茶の粉末を混ぜたという説もあります。
しかし今回仕入れた「73白紙特厚磚」を崩したときには、紅茶の茶葉の粉末と思われるようなものは見つかりませんでした。

■試飲について

73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)

茶湯の色は明るい栗色をしています。
近年になって発酵の仕上げ具合の強い熟茶製品が多くなって、茶湯の色の赤味が増しているのですが、1970年代初期の頃の熟茶は発酵の仕上げ具合が弱いせいか、赤味の少ない明るい茶湯の色のものが多いのです。
また風味にもその違いがあります。熟茶の初期の製品の風味は、どちらかというと生茶の老茶に似たものが多くあります。まだ熟茶として基準となる製品が世に少ない頃なので、生茶の老茶に似せたまろやかな風味を職人が目指して作るためではないかと推測しています。
1980年代まで「半生熟茶」と呼ばれる熟茶製品が多くあります。これは「渥堆」による発酵が浅い仕上がりの状態のことを言います。
参香(朝鮮人参味)、棗香(ナツメ)と沈香が少し。現在作られている熟茶特有の「土」っぽい香りがほとんどありません。味はとくに酸味の具合が生茶の老茶にも共通しますが、恐らく作りたてで保存熟成の期間が無いうちに飲むと、甘味やまろやかさは近年の熟茶に比べて少なかったと思われます。

このお茶 「73白紙特厚磚」は、台湾のプーアル茶専門誌の「茶藝普耳壺藝」No.10のP44に写真入で掲載されています。樟香と麝香と薬味のするものは特に価値があるということで、この本には「同興號」に似ていると書かれています。
「同興號」は大葉種の生茶の年代モノです。1950年代までの生茶の代表的名高級茶です。このことからも初期の「73厚磚」は、生茶の年代モノの風味を目指して作られたと思えます。
当店でいくつか試飲した経験からも、1950年代までに消滅した易武山の私人茶荘のお茶に共通した風味が初期の「73厚磚」にはあります。
私人茶荘については、「沈香老散茶50年代」のページをご参照ください。
+【沈香老散茶50年代】

73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)の葉底
73白紙特厚磚プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)
煎じる前の固形のうちはしっかりと茶葉の形が見らますが、煎じると形が崩れます。そのくらい発酵によって茶葉が変質しています。黒々としているのは、年代モノの熟茶の葉底の特徴です。ところどころに栗色の茶葉や茎の部分が混じります。
出荷された1970年初期の当時は、安さと飲みやすさで、香港の茶楼(茶館)や酒楼(レストラン)などに多く流通していました。どちらかというと大衆向けのお茶だったのです。それが「渥堆」による量産の目的でもありました。
1970年代の香港ではプーアール茶の保存熟成が流行し、香港の銀行は倉庫の足りない茶商に積極的にお金を貸し出したというエピソードが残っているほど、茶商の商売は繁盛していたようです。

当時の出荷量が多かったせいか、現在でも初期の「73厚磚」は、比較的見つけやすい年代モノのお茶のひとつです。しかし、倉庫の保存環境が必ずしも良いところばかりではないようで、カビ臭くなってしまっているものも少なくありません。そのため、紙包みの外から見ても、比較的乾燥したよい環境で保存されたものには、高い価値がついています。

この「73白紙特厚磚」の包装紙は「黄土色唐紙」が使われています。光沢のある紙です。包装紙の字は辰砂色(朱砂色)です。

印字の拡大写真 73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)
印字の拡大写真 73厚磚茶73年製 (プーアル磚茶)
「73白紙特厚磚」にも、包装の種類がいくつかあります。昔の版は手で彫られ、印刷作業中にカンタンに壊れたので、それが修復されるたびに磚茶の包装紙の印字が微妙に変わっています。上の写真は2つともホンモノの「73厚磚茶73年製」(73白紙特厚磚)ですが、文字の端々の形が微妙に違います。
「73厚磚茶73年製」の包装紙は6種類あります。カーキ色 白色 黄色 ろう面紙 はじめから包装紙なしで乾蔵で保存されたものもあります。

同じく初期の「73厚磚」のひとつも紹介しています。
「義安棗香73特厚磚茶プーアル茶」です。
是非ご参照ください。
+【義安棗香73特厚磚茶プーアル茶】

73白紙特厚磚プーアル茶

茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gの茶葉でどのくらい飲めるか?】

保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】

+【店長にメール】


つぎにこのプーアール茶はいかがですか?
義安棗香73特厚磚茶プーアル茶
+【このプーアル茶の詳細】


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