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西双版納の江南の茶山について

■江南六大茶山について

西双版納を縦に流れる瀾滄江(メコン川)の西側に位置する孟海県(モンハイ)の六大茶山を「江南六大茶山」と呼びます。
「南糯山」、「佛海山」(孟海茶山)、「巴達山」、「孟宋山」、「南(山喬)山」、「景邁山」の6つですが、もうひとつ「布朗山」が有名です。

江南のお茶の歴史は古く、世界でもっとも古い茶の栽培があったとされています。紀元前に景邁茶山の布朗族(ブーラン族)が茶の栽培をした言い伝えがあり、種を植えるのに使われたらしい石器などが発掘されています。

唐の時代(600年~700年頃)には馬やロバに茶を乗せたキャラバンが険しい山を越えて四川、チベット、インドへお茶を運んで交易をしていました。兵馬とお茶を交換したことから「茶馬古道」と名付けれられます。
茶馬古道のお茶はかつてプーアール県の関所を通って各地に輸送されていましたが、清国の衰退と共に独自のルートが開かれます。

1900年頃から孟海県でのお茶づくりが盛んになり、国の専売公社制によって国営茶廠(メーカー)による大規模生産が行われ、茶園の開発や研究所の創設により、茶業は新しい時代を迎えます。
その一方で、山岳少数民族の古い村には樹齢800年を超える古茶樹のお茶づくりが今もつづいており、その野性味あふれる味わいに人気が出ています。

南糯山晒青毛茶 南糯山晒青毛茶

南糯山の晒青毛茶。(プーアール茶の原料の茶葉)
江南六大茶山のお茶の葉は大きく厚みがあり太い茎がついているのが特徴です。色はやや黄色味があります。お茶の味は苦味や渋味が重厚です。


■南糯山
南糯山は江南の六大茶山のひとつです。海抜約1300~1800メートル付近の森林に農地が点在します。少数民族の愛尼族(アイニ族)や布朗族(ブーラン族)がお茶づくりに携わり、32の寨子(集落) があります。
景洪市と孟海鎮から近いせいか 1940年代にここに設備の整った茶廠(メーカー)が創設され、紅茶が生産されました。そのためか早くから新茶園が開発され、樹齢数百年の大きな古茶樹がまとまった数で残っているのは山奥の5つか6つの寨子のみです。
古茶樹は茶摘みがしやすいよう枝を横へ曲げて仕立てる「枝ふり」栽培が行われています。これは南糯山の愛尼族がこの山で定住型の生活を続けてきたことを証明しています。

南糯山 南糯山
南糯山 南糯山

南糯山の新茶園の茶葉は、孟海県のメーカーに販売され、上質な熟茶製品になります。未開の森林にはニシキヘビやコブラ、野生の水牛などが生息しています。

南糯山 南糯山
南糯山 南糯山
南糯山 南糯山
南糯山 南糯山

大木の育つ南糯山は、高級な茶器につ使われる木材の産地でもあります。、山のあちこちに見上げるような大木があります。
+【南糯山神青餅2011年プーアル茶】
+【南糯古樹青餅2010年プーアル茶】


■帕沙山(各朗和)
南糯山と布老山の老班章の間の各朗和地区の(Pasha)山は、海抜1850メートルに達し、その山頂付近に古茶樹が群生します。愛尼族の村があり、お茶づくりをしています。

各朗和 各朗和

栽培種としては最大級の、幹まわりが大人二人でかかえられる大きな茶樹があり、近年国の保護樹となって囲いがされています。
+【帕沙山 古茶樹 写真】


■孟宋山
西双版納に孟宋と名のつくところは3カ所ありますが、江南六大茶山の孟宋は南側にミャンマーと国境を接する南の端です。アイニ族(愛尼族)や布朗族(ブーラン族)がお茶づくりに携わっています。
「孟宋」はタイ語の地名で、「高山間の平坦な空き地」という意味ですが、たしかに山の上に開けた平坦な土地があって、そこでは米が栽培されていました。古茶樹は海抜1800メートル付近の山の斜面にあります。

孟宋 孟宋
孟宋 孟宋
孟宋 孟宋

ミャンマー側の森林には現在でも虎が住んでおり、たまに国境を越えてきて茶山に放牧している黄牛を襲うことがあるそうです。牛肉の美味しさを知った虎は人を食べることがなくなったので、用心のために爆竹を鳴らすだけでよいそうです。


孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹
孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹
孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹
孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹

推定樹齢500年以上ある孟宋の古茶樹は茶摘みをするために何百年も前から枝ふり栽培をしてきた奇怪な形をしています。一部の茶樹は根元付近で切り戻されたような跡が見つかります。これは1940年代に国民党の一派がミャンマーとこのあたりの山を占領し、麻薬をつくるために樹木を伐採し、ケシ(芥子)を育てたことによります。茶樹はそれでも生き延びて数十年のあいだに大きく育っています。

孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹
孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹

孟宋の茶葉は大葉種の幅の広いタイプのものと、やや小さめのものと大きく分けると2つあります。新芽や若葉の特徴は、一芽二葉の茎の間隔がやや短いところにあります。

孟宋の古茶樹 孟宋の古茶樹

孟宋は有名茶山としてはあまり知られていませんが、山をいくつか越えたところの班章の茶葉が高値を付けており、それに良く似ているため、産地偽装の茶葉としてかなりの量が販売されていると当店では推測しています。
+【孟宋の古茶樹写真ページ】


■巴達山
巴達山は西双版納の西側にミャンマーと国境を接しています。深い山に愛尼族(アイニ族)と布朗族の部落が点在しています。昔は巴達山の麓にある西定鎮に、西双版納全域における愛尼族の王様が住んでいました。
山では様々な作物がつくられていますが、お茶の農地は1700~2000メートル付近の高い位置にあります。

巴達山の茶山 巴達山の茶山
巴達山の茶山 巴達山の茶山
巴達山の茶山 巴達山の茶山
巴達山の茶山 巴達山の茶山

巴達山には大手メーカー孟海茶廠の所有している茶園があります。畝づくりに茶樹を密集させた「台地茶」と呼ぶ新茶園です。品種はもともとこの地域に古くからある雲南大葉種ですが、巴達の一帯は雨が多く山が高く気温が少し低く、茶葉が若干小さく育つのが特徴です。

千年茶樹王 千年茶樹王

巴達の大黒山の原生林には野生茶樹の大木がいくつもあります。そのうちのひとつ「茶王樹」の樹齢は約1700年と推定されています。これら野生種の茶葉は一般的には風味が悪いため茶摘みされないので、まっすぐに上へと伸びています。雨季の5月~9月はとくに緑が深くなり、殺気すら感じる密林になります。
+【巴達茶樹王写真ページ】

巴達山の茶山 巴達山の茶山
巴達山の茶山 巴達山の茶山

巴達山の古茶樹は雲を足元に見る高い位置にあります。高度計の示している海抜は1800メートル。そこから上の2000メートルを越える森林に古茶樹が群生しています。8月の雨季の気温は17度~25度と、夏でも肌寒いくらいの気候です。冬の気温は5度くらいまで下がります。

千年茶樹王 千年茶樹王
千年茶樹王 巴達山の茶山

巴達山には曼邁寨と章朗寨の2箇所に古茶樹の森があります。この2箇所は布朗族(ブーラン族)とラフ族の集落に近い農地ですが、栽培方法がやや異なります。曼邁寨は1970年代に国の指導による切り戻しが行われました。そのため樹高は2~4mのものが多くあります。また、冬には剪定をして樹高が高くならないよう保たれ、周りの雑木を間引くなどの手入れがされます。
章朗寨は自然のまま伸び放題で樹高は5m~8mに達し、木登りでも届かない枝だけが切り落とされます。周りの雑木もほとんど手を付けられません。

+【巴達章朗寨古茶樹写真ページ】
+【巴達曼邁寨古茶樹写真ページ】

曼邁寨と章朗寨の中間にある賀松寨は愛尼族(アイニ族)の集落ですここには古茶樹の森が無く、1930年代に開墾された新茶園の茶畑があります。

+【巴達賀松寨生態茶写真ページ】

巴達山の茶山 巴達山の茶山

上の写真は章朗寨の古茶樹の根っこです。この地面の下に岩盤があるせいか根が八方に張り巡らされています。堂々たる根に生命力を感じます。


巴達山の茶山 孟海茶山

巴達の高地の涼しい気候のために、お茶の風味は他の江南の茶山のものとくらべてやや軽快な苦みが特徴です。また、巴達山からミャンマー側へ入ったところは栽培種に近い野生茶樹が多く、近年注目されています。


■班章(布朗山)
布朗山は孟海県からまっすぐ南の、ミャンマーとの国境までの中間あたりに位置する広い山岳地帯です。海抜1300メートルを超えるあたりに新茶園や古茶樹の森があり、お茶に関わる少数民族の集落が点在しています。そのなかで近年一躍有名になったのが老班章です。老班章には海抜1700~1900メートル付近の森にひときわ大きく育った古茶樹があり、独特の苦味と甘味を有するその風味に人気が集中しました。周辺に新班章と呼ばれる新しい集落と大規模に開発された新茶園があります。布朗山に高級茶の歴史はないはずなのですが、班章はとくに地域ぐるみの宣伝活動が上手で、毛茶(原料となる製茶後の茶葉)の価格は西双版納で最高値をつけます。

班章 班章

班章 班章

班章寨(老班章)に訪問した2007年当時は舗装道路がないためバイクで行くしかありませんでした。ずっと向こうの山を越えたらまた向こうの山を越えることを繰り返す片道3時間ほどの険しい道のりです。道中は新しい茶園の開発のために山が焼かれ、崩され、たいへんな荒れようでした。班章寨からさらに山奥にバイクで20分ほど入ったところに古茶樹の森があります。

班章の茶山 班章

山頂付近のため明るく開けていますが、茶樹の後ろに迫る樹木は亜熱帯の原生林の様相があります。

班章 班章
班章の茶山 班章の茶山
班章 班章
班章 班章

老班章の古茶樹は幹が太く堂々とした枝ぶりです。

班章 班章
班章 班章

古茶樹の大きく二つのタイプに分けられます。茶葉が小ぶりで細く尖ったようなのと、大きく幅広のタイプです。幅広のタイプがこの地域の特徴です。成長すると30センチにも達します。
苦味が強いのですが、その反動で口の中に甘味がいつまでも残るような独特の風味があります。
老班章のお茶は近年高く売れるので、布朗山一帯の茶葉を老班章に集めて産地偽装をしたお茶が多く出回り、近年問題となっています。


■那カ山
孟海県の北に位置する那カ山は、海抜1700メートルから1800メートルの山頂付近の森に古茶樹が群生しています。この地域には珍しい小葉種の茶樹があります。現在はラフ族の茶山となっていますが、枝ぶりの様子から、かつて布郎族がここに住み、茶を育てていた歴史があると推測されます。

+【那カ山 古茶樹 写真】

那カ山 那カ山
那カ山 那カ山
那カ山 那カ山
那カ山 那カ山
那カ山 那カ山

小葉種7割、大葉種3割の混生状態です。プーアール茶の原料となる晒青毛茶づくりは2007年頃からはじまりました。1990年台は大手茶廠の注文する緑茶や紅茶、さらにそれ以前は炙って干しただけのお茶をラフ族が家庭用に利用する以外は、ダイ族の米と交換するくらいのもので、ラフ族にお茶を育てたり売ったりする習慣はなかったようです。


■その他の江南の茶山
孟海茶山は昔「佛海」と呼ばれた土地です。1900年頃からこの土地に茶荘が集まりお茶づくりが盛んになりました。現在も茶廠(メーカー)と新茶園の多い地域です。

孟海茶山 孟海茶山

国営の研究施設がここに茶園を所有し、新品種の開発や、有機栽培の技術の研究を行っています。


■西双版納以外の茶山

西双版納以外にも雲南省には有名な茶山があります。

巴達山の茶山 巴達山の茶山

■臨滄
臨滄は雲南省の西南部に位置し、西南方向にミャンマーとの国境、東に思茅(普耳)、北に大理、北西に保山と接します。面積は2.4万平方キロメートル。一区七県(臨翔 区、鳳慶県、雲県、雙江県、永徳県、鎮康県、耿馬県、滄源県) があります。総人口は約236万人で、人口の38.6%が少数民族です。徳昂族、ワ族、、布朗族など26の多元民族文化地区です。
年平均気温は17.2度、「アジア恒温城」、常に春の暖かさのある地域と言われていますが、西双版納に比べると谷が深く、やや涼しい気候です。
西に怒江(サルウィン川)、東に瀾滄江(メコン川上流)が南に向かって平行して走り、高低差3,000mの大峡谷をなして、生態系の広がりと植物の種類の豊富さは世界でも屈指です。
臨滄地区の茶園の総面積は、数十万ムー。茶葉の生産量3.5万トン。今日までの発見されている野生古茶樹の群生は40万ムーあまり。樹齢百年の栽培型の古茶樹園の面積は10万ムーあまり。この地域に世界最大の栽培性鳳慶香竹青古茶樹があります。

■その他の茶山

現在調査中です。今後の調査の成果は、このページに追加してゆきます。

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