製造 : 2000年
茶廠 : 雲南孟海茶廠
茶山 : 西双版納孟海茶区
茶樹 : 大葉種
茶葉 : 3級~6級
重量 : 340g
工程 : 生茶
倉庫 : 台湾乾倉
「7542」ブレンドの「青餅」(生茶の餅茶)です。
新芽や若葉には手作業による「揉捻」の跡が見られます。
2004年に民営化された「孟海茶廠」が2000年に作ったこのお茶は、国営時代の職人技が残る昔のお茶です。
「紫大益」とは、包装紙の紫色の大益マークのことです。
1996年に初めて「紫大益」が登場し、そのお茶は、「7542青餅」(7542七子餅茶)でした。その次に作られた「紫大益」が、ここで紹介する2000年の「紫大益7542青餅00年」になります。
大益牌(牌は商標のこと)は、孟海茶廠の自社の商標です。名前の意味は、雲南大葉茶樹の「大」と、プーアル茶を飲むと健康に有益であるとの「益」だそうです。
孟海茶廠の歴史は、1910年に漢族の商人であった「張堂階氏」が、佛海(孟海)に茶荘をつくるところからはじまります。1940年に国営の「佛海茶廠」となり、それから何度か改名し、1963年より「雲南孟海茶廠」となります。
1950年頃からの輸出向け茶葉の取引の専売公社化により、国営の貿易会社の商標である「中茶牌」のデザインで海外に販売されました。それから1990年末頃までは、「中茶牌」での販売がほとんどとなります。
中茶牌の「八中茶」マーク
中茶牌は、国営の貿易会社の「中国茶葉総公司」の商標です。餅茶の包み紙によく印刷されている「中国茶葉土産進出口公司雲南茶葉分公司」は、それの支店にあたります。
1950年代~1990年代中頃まで、この国営の貿易会社が雲南の茶葉の輸出権をもっており、メーカーは自由に輸出販売することができませんでした。
1980年代末頃から国内市場向けの販売準備がはじまり、海外向けとは別に、メーカーは自社の商標が必要となってきました。
孟海茶廠は 「大益」商標を立ち上げ、1988年に一度だけレンガ型の磚茶に使用しましたが、後が続かず、それが一般的になるのは1990年代中頃からです。
中茶牌/中国茶葉土産進出口公司雲南茶葉分公司
大益牌/中国雲南西双版納孟海茶業有限責任公司
「中茶牌」から「大益」への移り変わりを中心に、歴史年表をまとめてみました。孟海茶廠の歴史を軸に、「中茶牌」の生まれた背景となる1949年「中華人民共和国」成立から後を追ってみます。
参考文献:
『大益普耳茶大辞典1994-2007』 18ページ~21ページ
著者:楊凱氏および編集部 五行圖書出版有限公司
『七子餅茶事典』 (国際版)193ページ~203ページ
著者:張弘陸氏 五行圖書出版有限公司
解説:
1989年「大益」商標は輸出用のマークに認定されます。このことは、それまでの国営の貿易会社を通さないで、孟海茶廠が直接輸出販売する準備がはじまったことを意味しています。
「大益」商標のデザイン
「大益」商標のデザインは、製造年や製品ごとに微妙に変えてあります。これは、包み紙のコピー対策のひとつです。 ただしこの頃は茶商からの小ロットの「大益」商標の製品のオーダーも多く、微妙に異なる大益マークのすべてが文献に記録されているわけではないので、コピー防止の役割は機能していないといえます。
「銀大益青餅03年」
この製品は、2003年に出荷されています。台湾の茶商「飛台公司」がオーダーしたひとつです。2004年の夏に孟海茶廠が民営化することが決まっていたので、2003年は国営の茶廠としての最後のお茶作りとなりました。
上: 大益7542七子餅茶06年
下: 大益7542七子餅茶07年
2004年孟海茶廠の民営化以後は、「大益」のデザインが統一されます。コピー対策は包み紙のデザインだけでなく、包み紙のシールや、内飛(茶葉に埋め込まれた紙)など様々になります。
しかしながら、2004年以降につくられる大益商標の製品のほとんどが国内市場向けの大衆色の強い商品となったため、わざわざコピーするほどの価値をなくしつつあります。
「中茶牌」の複製品
2002年、孟海茶廠は「中茶牌」の製品の出荷を終了しました。その後にも市場には「中茶牌」のデザインの包み紙のある製品が数多く販売されていますが、そのほとんどは、小さなメーカーがつくっている複製品で、「中茶牌」は無断使用されています。
大益牌について ここまで
■この茶葉について
表面には、3級を中心に、新芽の白毫を含む
裏面には、4~6級で、茎の部分も含む
「7542」の配方です。餅面(餅茶の表面)の新芽や若葉が自然な曲線美を持っています。手作業で製茶されたことによるものです。
「殺青」も手作業のため火の通り具合がほどよく、茶葉の色の変化して赤味が増しています。
内飛(茶葉に埋め込まれた紙)
これに印刷文字があり、2000年5月と表記されています。
紫色の「大益」の「7542」は、1996年の最初のものと、その次は少し期間が空いて2000年のこのお茶「紫大益7542青餅00年」となります。
紫大益7542青餅の「7542」について
孟海茶廠(メーカー)の茶号:7542は、1970年代から毎年作られている生茶の餅茶(円盤型)です。おそらく生茶の餅茶の中では最もロングセラーのものとなります。それだけにファンも多いお茶です。
「7542」の生い立ちについては、「七子小緑印圓茶7542の散茶」のページをご参照ください。
+【7542七子餅茶の生い立ち】
■試飲について
「7542」特有の軽快な渋味と苦味があります。
保存熟成がすすむにつれ変化してゆき、バランスがよくなりますが、最も美味しい状態になるには、少なくとも10年はかかるでしょう。年数を経て美味しくなるタイプの実直な生茶です。
何煎かして味が薄くなると香りを感じやすくなります。その香りには、蘭香や香草香、樟香があり、それは易武山をはじめとした旧六大茶山の風味でもあります。また煙味もほどよくある昔ながらの風味です。
+【西双版納の江北の茶山について】
(2011年4月26日追記:その後の風味の変化から、もしかしたら孟海県の江南の、かなり海抜の高い1800メートル以上の茶山の茶葉ではないかと思い始めています。果実のような香りというお客様からの感想から、それに気付きました。店長ふじもと)
+【西双版納の江南の茶山について】
■飲み比べ
「7542」の配方で製造年代の近い「7542七子餅茶99年無内飛」と比べてみました。「7542七子餅茶99年無内飛」は、雲南からベトナムを経由して台湾に運ばれ、保存熟成されています。「未入倉」と呼ばれる比較的乾燥した環境での保存のわりには、しっかりとした熟成の旨味が出てきています。
一方、このお茶「紫大益7542青餅00年」は、香港を経由して台湾に入り、同じような未入倉の環境に保存されています。
左: 「紫大益7542青餅00年」 このお茶
右: 「7542七子餅茶99年無内飛」
左: 「紫大益7542青餅00年」 このお茶
右: 「7542七子餅茶99年無内飛」
餅面(餅茶の表面)の茶葉の色、茶湯の色、葉底(煎じたあとの茶葉)ともに、「7542七子餅茶99年無内飛」のほうに赤味があり、より熟成が進んだ状態です。味もまたそのような違いがあります。
「紫大益7542青餅00年」は、やや茶葉が大きめで形が整っており、煎じたときに澄んだ色の茶湯になりやすいです。また、香りも軽快で、茶湯が喉を通り過ぎた後から、蘭香と呼ばれる華やかな香りが口に残ります。
「7542七子餅茶99年無内飛」のほうには、熟成による梅香が出てきて、香りにはやや重みが加わります。
美味しさにおいてはかなり接近しているため、どちらが良いというのは難しいのですが、価格はこの「紫大益7542青餅00年」が高価なため、保存熟成を楽しむなら「紫大益7542青餅00年」。すぐに飲み始めるなら「7542七子餅茶99年無内飛」となります。
コレクション的な価値においては、文献にも記録されているこの「紫大益7542青餅00年」のほうが高いといえます。
左: 「紫大益7542青餅00年」 このお茶
右: 「紫大益4号青餅03年」
2003年の紫大益の生茶の餅茶で、「紫大益4号青餅」と飲み比べしてみました。このお茶は、『深邃的七子世界』五行圖書出版有限公司 310ページにも登場しています。茶葉の様子は「7542」に似ていますが、餅面の茶葉の様子をよく見ると、表面の茶葉がやや大きめ。新芽の白毫が多いように見えますので、「7542」配合ではないのかもしれません。保存熟成の環境は同じです。
また、原料の茶葉の「殺青」の火入れ具合が、「紫大益4号」のほうが強く、緑の色がところどころに残っています。
左: 「紫大益7542青餅00年」 このお茶
右: 「紫大益4号青餅03年」
この2つを比べると、「紫大益7542青餅00年」(このお茶)のほうが、味の厚みが感じられます。香りの層にも厚みがあります。
「紫大益4号青餅03年」は香りにやや煙味が残ります。葉底の色にも緑がところどころに見つけられるように、「殺青」の火入れ具合が強いことがわかります。
七枚一組で、竹の皮に包まれています。
長期保存のコレクションとしても楽しめるお茶です。
紫大益7542青餅00年プーアル茶 1枚 約340g
茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gのプーアール茶葉でどのくらい飲めるか?】
保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】
ご質問
ご質問:石型の圧延ではないのですか?
長期保存、コレクションとしても良い商品との事ですが、どうもこの紫大益7542餅茶は円周の半分近くが鉄餅のように固く、 アンバランスなのです。職人技とは思えない状態です。石での均圧力を体験した事があります。コツを飲み込めばうまくできそうな、でも職人技とは違った出来なのです。
回答:大益シリーズは機械圧延です。
「紫大益7542青餅00年」は機械圧延です。なのでお知らせのような状態だと思います。石型の圧延ではありません。
孟海茶廠の定番の餅茶(7542など品番のあるタイプ)はかなり早い時期1970年代からすでに、機械圧延の木型からはじまって、1990年代からは鉄型も使用されているはずです。定番ではない品で、例えば易武山の古茶樹をつかった品などには現在も石型をつかったものが一部あると思います。
機械圧延にもムラがあって、茶葉の大きさなど揃わない場合や 、7542のように等級の異なる茶葉が表や内側や裏へと配置されて圧延されるときに、中心がズレて均一にならないことがあります。あまりにひどい場合は当店で崩し売りにしています。
「紫大益7542青餅00年」のコレクション価値は、どちらかというと国営時代の最後の定番茶というところにあります。2004年の民営化のときに多くの職人が退職して新しいメーカーに移ったので、その後の品との圧延の仕上げは大きく異なっています。
つぎにこのプーアル茶はいかがでしょうか?
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