ざっと写真を見るだけで、
お茶の葉がプーアール茶になる流れがわかります。
※ここに紹介するのは、どちらかというと専門店に流通するものです。
量販店の量産品についてはこの限りではりません。
■2つのステップ
プーアール茶づくりは、
1. 農家が原料となる茶葉をつくる工程
2. メーカーがそれを加工する工程
この2つのステップがあります。
ここではまず農家が茶摘みをするところから紹介します。
■農家が晒青毛茶(原料となる茶葉)をつくる工程
プーアール茶のお茶どころ西双版納では現在も山に住む農家が茶を栽培し、茶摘みをし、家族経営で晒干毛茶をつくっています。
■采茶 (cai cha)
采茶とは茶摘みのことです。
春の旬は3月~4月初旬。秋の旬は10月です。
上: 森の農地に群生する古茶樹
下: 畝づくりの若い茶樹の茶畑
農地には、若い茶樹の茶畑と、古式農法の古茶樹とがあります。
どちらも手摘みが基本で、季節になると一家総出で采茶します。
摘みたての茶葉を「鮮葉」(xian ye)と呼びます。
摘んでから家に持ち帰るまでに茶葉自らの持つ成分による軽発酵(枯れようとする変化)がすすむので、その変化を抑えるために、筵にひろげて涼しい空気に晒します。
■萎凋 (wei diao)
持ち帰った茶葉を笊や筵にひろげて日陰に置きます。
茶葉が萎れてシナッとなるまで1時間~2時間ほど水分を蒸発させます。これによってほんの少し軽発酵がすすんで香りが甘くなったり、水分が多過ぎることによる殺青の火入れの焦げを抑えます。
■殺青 (sha qing)
殺青とは、熱を通すことで成分の変化を止める工程です。
采茶したその日の晩に殺青します。
4~5分手早く鍋の中の茶葉を返して炒ります。茎の部分がポキッと折れるようになるまで火を入れます。生茶のプーアール茶はとくに殺青の火加減が風味の決め手となります。
古茶樹の鮮葉は鉄鍋で手炒りするのが一般的です。
新茶園の鮮葉はドラム回転式の殺青機械を使うのが一般的です。
いずれも火力には薪が使われます。
■揉捻 (rou nian)
揉捻とは茶葉を強く揉んで成分を抽出させ、細くねじれた形にする工程です。殺青の後、粗熱が冷ましてから手で揉みます。
近年は小型の揉捻機械を使う農家が増えてきています。
にじみ出た成分が空気に触れて変化して、お茶の甘味や旨味となります。また、しっかり揉捻された茶葉の形状は、完成後に香りを閉じ込め、耐泡(煎がつづく)効果が得られます。
揉捻後に茶葉を筵に広げて、つぎの日の太陽に晒します。
■晒干 (shai gan)
一日天日干しします。
太陽の紫外線や赤外線が茶葉を焦がします。
その焦げた成分が抗酸化作用を持ち、保存に強いお茶となります。プーアール茶が何年も保存できるのは天日干しで焦がすからです。
乾くと茶葉は緑色から灰色へと変色します。
天日干しは一日で仕上がるのが上等です。
曇り空や雨降りになると、写真のような設備で乾燥させられます。 その場合の風味はやや落ちます。
■挑黄片 (tiao huang pian)
乾燥した晒青毛茶から黄色く開いた茶葉や長い茎を取り除きます。
これも手作業です。
晒青毛茶を笊に広げて上下に揺すり黄片を端に追いやる方法と、手でひとつずつつまみ取る方法とがあります。
挑黄片が終わると、晒青毛茶が完成です。
一袋15kg~20kgに詰めて農家に保存され、出荷を待ちます。
■メーカーについて
晒青毛茶を圧延したり発酵させて熟茶にするのはメーカーの仕事です。
メーカーは茶山の近くの小さな町に集まっています。
たった数人の工房から、1500人の工員をかかえる大規模な工場まであります。
メーカーの多い孟海県の孟海鎮は、海抜1000m~1200mの水田地帯です。工業汚染とは無縁な地域です。周りを山に囲まれた盆地は地下水脈に恵まれ、熟茶の発酵のための綺麗な水が豊富にあります。
■メーカーの工程
生茶と熟茶とは工程が違います。
+【生茶と熟茶のちがい/茶葉の見方】
熟茶には茶葉を発酵させる「渥堆」工程があります。
生茶は圧延後の乾燥に伝統の晒干(天日干し)を行うことがあります。
■計量
農家から運ばれた晒青毛茶はメーカー到着後すぐに計量され、加工にかかる時間や費用が見積もられます。
すぐに加工しない場合は倉庫に晒青毛茶のまま保存されます。
衛生に気を使うメーカーは、茶葉の異物を取り除く作業を行います。
■渥堆(wo dui)
熟茶づくりには茶葉を堆積発酵させる「渥堆」工程があります。
5~20トンもの茶葉をいちどに発酵させるための倉と、発酵にかかせないきれいな水や空気、そして温暖な気候が条件となります。
西双版納では孟海鎮に熟茶づくりの茶廠が集中しています。
70センチほどに積み上げた茶葉に水をかけ、温度と湿度を保つためにシートが被せられます。古い倉庫には壁や床に「蔵持ち酵母」と呼ばれる発酵に最適な変化を遂げてきた優良酵母や優良麹菌が生息しています。
発酵しはじめると茶葉は発熱し、中心部の温度は50度を越えます。均一に発酵するよう定期的に混ぜられ、塊になる茶葉を「玉解」(ほぐし)、そのたびに少し水が足されます。
渥堆発酵の期間は1~2ヶ月ほどです。
茶葉は茶褐色に変色し、最後は水分が自然蒸発して発酵が止まります。そのまま陰干しで乾燥させます。
渥堆発酵の仕上がった茶葉はくっついたり固まったりしているので、それをほぐすために篩いにかけます(篩分)。
ブレンド茶用にする茶葉は、篩い分けで等級ごとに、特級・1級~3級・3級~6級・6級~9級という具合に分けられます。
■圧延
いったんカラカラに乾いた茶葉に蒸気を当てて柔らかくします。
布や押し型で整形して、固形にし、再度乾燥させます。
それらの工程のために茶廠には「熱」が必要です。メーカーには練炭を燃料にするボイラー室があり、そこから敷地内をめぐる鉄管に熱湯が供給されています。
圧延加工のラインは数人で一組の流れ作業です。
茶葉を計量し、蒸して布でくるみ、型で圧して、棚に並べます。
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棚で粗熱が取れてから布を外して、乾燥室に入れられます。
乾燥後に再度粗熱がとれるまで陰干しされ、包み紙や竹の皮で包装して、1箱42枚組となって出荷されます。
■古式の餅茶の圧延
生茶のプーアール茶の昔ながらの製法です。
円盤型に圧延する「餅茶」(bingcha)は、明代の1700年頃から易武山周辺で始まったと思われます。易武山には数人の職人が作業する小規模な工房があります。1950年頃から50年間ほど工房のお茶づくりがストップしていましたが、近年また復活しつつあります。
工房の設備は簡単で、鉄鍋をひっくりかえしたような蒸器と、石型と、乾燥用の棚があるくらいです。
毛茶を計量して筒に詰め、蒸気にあてて柔らかくして布で包み、石型で圧延します。石型に人が乗ってゆさゆさと揺さぶり茶葉をしっかり固めます。
次の日まで室内で陰干しして、朝から太陽光の下で3時間ほど晒干し、再度室内に移動させて粗熱をとってから包装して完成です。
飲み方についてはこちら。
+【プーアール茶の淹れ方】
茶山の環境についてはこちら。
+【プーアール茶の里と自然環境】
保存熟成の本場は広東や香港の茶商の倉庫です。
+【茶商の倉庫がプーアール茶の味をつくる】
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