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早期藍印鉄餅50年代 (圓茶鉄餅プーアール茶)

zao gi lan yin tie bing

早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶

同時期の包み紙のデザインは3種類あり、
そのうちの2種類を当店で仕入れて写真にしています。

早期藍印鉄餅50年代 (圓茶鉄餅プーアル茶)1枚 約325g
2010/01/08 終了

製造 : 1950年代初期
茶廠 : 下関茶廠
茶山 : 易武茶山
茶樹 : 大葉種喬木
茶葉 : 4~6級
工程 : 生茶
倉庫 : 香港乾倉(期間不明)

甘味
●●●○○
渋味
●○○○○
とろみ
●●●○○
酸味
●○○○○
苦味
●○○○○
香り
●●○○○ 油青香、梅香、荷香
熟成度
●●○○○ 倉庫での熟成弱め

美味しさにおいてもっとも高い評価の、1950年代の「印級」のお茶のひとつです。「印級」のお茶は、歴史が大きく動いた時代のもので、現在も残っている「印級」の品には、ビンテージ価値があります。
「印級」のなかで、もっとも早期に作られた「紅印圓茶」にまつわる歴史を、「早期紅印春尖散茶」のページにまとめています。
+【早期紅印春尖散茶】

印級のお茶
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■紅印圓茶
1950年代初期~1950年代末期
口感:檀木香、蘭樟香

■紅印鉄餅
1950年代中期
口感:檀木香、味は藍印鉄餅よりはっきり

■甲,乙藍印圓茶
1950年代中期~1950年代末期
口感:檀木香、蘭樟香

■藍印圓茶
1960年代
口感:蘭樟香

■藍印鉄餅
19:50年代中期
口感:檀木香

■黄印圓茶
1950年代末期~1960年代
口感:檀木香,梅樟香

■黄印鉄餅
1950年代中期
口感:檀木香,梅樟香
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「口感」とは味と香りのことです。
実際のところは一枚一枚に発酵状態が異なり、味も香りもやや異なります。市場価格も一枚ごとに異なります。

■「早期藍印鉄餅プーアル茶」について
以下の説明には、独自の解釈も織り交ぜています。文献には「圓茶鉄餅」という名前で紹介されています。
参照:壺中天地雑誌社の鄧時海著「プーアール茶」P164~P167

1950年初期、中茶公司(雲南のお茶の輸出権を持っていた国営企業)は、ロシア(当時はソ連)や香港やその他の資本主義国に輸出をひろげていました。産業に乏しいこの時代には、茶葉は外貨を稼ぐ手段として重要だったのです。

ロシアは下関茶廠に資金提供し、工場施設を拡大、量産技術に鉄の圧型が取り入れられました。鉄餅の誕生です。
それまでの固形のプーアール茶の成型には、布と石型が使われていましたが、この鉄の圧型は布を必要としなくなり、そのために餅茶の裏面に布の絞込みによってできる窪みがなくなりました。
しかし、布を使用しない圧延はその後見直され、1970年~1980年代にかけて、布を使用した鉄餅が多く作られています。それらには裏面に窪みがあります。

裏面に窪みのない早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅の裏面です。餅茶特有の中心部にある窪みがなく、フラットです。

西双版納(xi shuang ban na)の六大茶山の最も良い易武山の茶葉が採用され、地元の孟海茶廠がそれを手配し、下関茶廠に届けます。
その茶葉は、樟香と少し蘭香のあるもので、性質は早期紅印圓茶(蘭香)と後期紅印(野生樟香)の中間のものです。

鉄餅の第一回目の出荷は、チベットや新疆、香港などにされ、ほどなくして各地の茶商から反応がありました。

「硬すぎて、崩せなくて、煎じ難い」
鉄の圧型でつくられた鉄餅ですから、強固に固められているのです。煎じるときに崩すのが非常に手間です。

「陳化しにくい」
陳化とは茶葉の熟成が進むことです。茶葉が強く押し固められているため隙間がなく、空気が通りが悪いので、熟成に時間がかかります。

「カビが生えやすい」
茶葉に隙間がなく茶葉に入り込んだ湿気が逃げないため、例えば香港のような湿度の高いところの茶商の倉庫では、お茶の味を悪くするカビが生えやすくなります。

そして、この一回目の出荷の後、下関茶廠は鉄餅の生産を中止します。
・・・・・・出来の悪いお茶だったのです。

しかし、このことが、後に他のプーアール茶にはない独特の風味を持ち、希少価値となります。
鉄餅シリーズは今もなお下関茶廠と孟海茶廠により生産されていますが、この一番初めに作られた「早期藍印鉄餅」とは、茶葉や加工方法が異なり、味も異なります。
「早期藍印鉄餅」は、香港で湿度の高いめの倉庫に保存されたものが最も多く、湿度の低い乾燥した状態で保存された熟成状態の良いものは、市場に3~4割しかないと言われています。その3~4割の品は、熟成状態が良く、そもそも茶葉には最高のものが使用されているので、掘り出しモノ的な存在となって、再度注目されることになります。

表面の茶葉 早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶
この早期藍印鉄餅にはカビなど無く、表面には光沢があります。大きめの若葉や新芽が表に使われています。
熟成に失敗した鉄餅のカビは、茶葉の表面の光沢をなくし、内部の茶葉には深緑色のカビが発生しています。カビのある鉄餅は、その味の特徴を失い、また、人体に悪影響を及ぼす成分の心配もあります。

当店に入荷している鉄餅は、当初は香港にて保存されていました。この香港の倉庫が、比較的湿度の低いところだったらしく、カビの風味や、白露(バイルー)と呼ばれる、茶葉が湿気た時に成分が浮き出て白くなる現象がほとんどありません。後に香港から広東の乾倉に移され、現在にいたります。

■このお茶の特徴

側面は平ら 早期藍印鉄餅プーアル茶
側面は平ら 早期藍印鉄餅プーアル茶
側面は平ら 早期藍印鉄餅プーアル茶
金属 の圧型でつくられる鉄餅の側面は刃で削られたようにシャープです。布を使用しないで鉄型で圧延された特徴の一つです。

早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶
文字は美術字体です。同時期に生産された、小字緑印圓茶と同じ文字のデザインです。他の印級の餅茶に比べても、この文字のデザインは美しく、価値があります。

早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶
包み紙は安徽省の宣城で手作りされている宣紙、画仙紙です。書画用として使用されているものと同じです。
ポツポツと開いている穴は、紙を食べる虫「銀魚」の跡です。
+【茶虫の跡のあるプーアール茶】

早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶
内飛(茶葉に埋めてある髪)です。
茶葉に埋もれているので遺跡の発掘作業のように慎重に取り出しました。内飛のデザインも外包みと同じく2種ほどあります。

■このお茶の試飲

早期藍印鉄餅プーアル茶
煎じるためにお茶を崩します。鉄餅はカチカチに固められているため、道具無しでは崩せませんが、この早期藍印鉄餅は年数が経って茶葉の質が変わっているので、端から手で崩せます。茶葉の形を壊してしまわないよう、茶葉の一枚一枚を抜き取るようにして摘出します。
端から飲む分だけを崩して、あとはなるべく塊りのままに保存します。バラバラにすると、空気に触れていなかった茶葉の香りが逃げてしうと考えられています。
当店では崩したものは密封口のガラス瓶に入れています。
+【プーアール茶の保存】

早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶
このクラスのお茶になると、洗茶をせずに1煎めから飲みます。もし洗茶をしたいのなら、サッと一瞬、熱湯にくぐらせる程度にします。色は明るい栗色になります。

早期藍印鉄餅プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)
2煎めくらいの開き始めた茶葉は、香りが楽しめます。易武茶山の樟香(クスノキの香り)とかすかな蘭香(蘭の花の香り)が50年の眠りから目覚めます。もちろん香りは強くありませんので、蓋碗を手にして鼻に近づけます。
飲んだときの香りは、外から香るものではなく、内側から外に抜けるものです。3煎、4煎めになっても、この香りは続きます。歳月を経ているのに、なお生き生きと新鮮な香りがあるのは、茶葉がカチカチに固められた鉄餅の製造法によるところが大きいと思われます。

早期藍印鉄餅プーアル茶
早期藍印鉄餅プーアル茶
鉄餅といわれるプーアール餅茶は、一般的には不味いお茶と思われているようです。上記にもあるように、失敗?と思われる加工方法と、現在もひきつづき量産されている鉄餅は、孟海茶廠の生茶の七子餅茶シリーズに比べると、評価の低いお茶です。
鉄餅には独特の朝鮮人参味といわれる薬味、漢方薬的な苦味があります。これは、濃い目に煎じると、少し煙っぽいような香りになりますが、あくまでも喉や鼻にやさしく、嫌な感じはしません。むしろ、そのスパイシーな風味こそが鉄餅ファンを魅了しています。
煎を重ねるほどに、やさしい香りになり、甘みが際立ちます。口を爽やかにさせ、腹の底を暖め、気持ちがとてもおちついて、世界が静まりかえったようにさえ感じます。

茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gの茶葉でどのくらい飲めるか?】

保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】

+【店長にメール】


つぎにこのプーアール茶はいかがでしょうか?
中茶牌簡体字鉄餅プーアル茶
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+【このプーアル茶の詳細】


 

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