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七子黄印大餅70年代プーアル茶

qi zi huang yin 70s

七子黄印大餅70年代プーアル茶
七子黄印大餅70年代プーアル茶
七子黄印大餅70年代プーアル茶

七子黄印大餅70年代プーアル茶 1枚 約320g
2007/12/27 終了

製造 : 1970年代中期
茶廠 : 雲南孟海茶廠
茶山 : 西双版納易武正山
茶樹 : 大葉種 喬木
茶葉 : 4~8級
重量 : 310g~325g
工程 : 生茶(熱蒸発酵または、二分熟茶)
倉庫 : 香港乾倉→台湾乾倉

甘味
●●●●● 強い甘味
渋味
●●○○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●●○○ 柑橘系の酸味
苦味
●●●○○
香り
●●○○○ 梅香、沈香、野樟香、蘭香
熟成度
●●●●○ 熟成強め

この「七子黄印大餅70年代」は、1970年代のお茶ですが、その系統をたどると、1950年代の印級のお茶になります。風味もまた、印級のものに似ています。
印級のお茶は、1950年代に極めて上質な西双版納地区の茶葉でつくられた、紅印、藍印、黄印、などで、味を基準とすると、現在でも最高峰のプーアール茶です。

黄印圓茶
これは「黄印圓茶」の最初の作品です。
「茶」のマークは黄色の字で、黄印です。

■黄印の歴史について
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五行圖書出版有限公司 『深邃的七子世界』 98ページ~135ページ
著者:陳智同氏 2005年10月出版 を参照

印級茶系1950年代
印級とは「**印」と名前のつく老茶

中国黄印
黄印第一作めの黄印

その他のこの時期の印級のお茶:「早期紅印圓茶」 「藍印(甲乙級)」「宋体字藍印圓茶」「美術字藍印圓茶」など

過度交替時期1960年~1970年
過度交替時期とは、茶葉の配合テストや、包装紙などの改良がされた時期

美術字七子鉄餅
包装紙の字体は「美術字緑印圓茶」と似ていますが、文字が細いデザインとなっています。
八中黄印
茶葉の配合が「早期紅印圓茶(1950年代)」と似ています。
美術字七子黄印
包装紙は「黄印:美術字七子鉄餅」と同じです。茶葉の配合は異なります。
七子大黄印
茶葉の配合は「美術字七子黄印」と似ています。

七子黄印-緑字黄印1970年代初期

黄印7542七子餅茶プーアル茶
黄印7542七子餅茶プーアル茶

黄印:認真配茶
「黄印:認真配茶」の「内票」(一枚ごとの包み紙のなかにある紙)の説明文の表記の「適度発酵」が「認真配茶」へと変わりました。このことから、名前が「黄印:認真配茶」となります。
黄印:適度発酵
「黄印:適度発酵」の「内票」には「適度発酵」と記してあります。「黄印:認真配茶」と茶葉の配合が異なります。
美術字七子黄印
包装紙は「黄印:美術字七子鉄餅」と同じです。茶葉の配合は異なります。
七子大黄印
茶葉の配合は「美術字七子黄印」と似ています。■このお茶に相当します
黄印:加重萌芽
「黄印:加重萌芽」の茶葉はすべて易武正山のもので、餅茶の表面に配される茶葉には、粗碩(大きくふくよかな)茶葉が使用されています。

七子黄印-黄字黄印1970年~1980年

70年代初期「黄字黄印」
黄字黄印の第一作めです。この黄字黄印には「内票」がありません。
70年代中期「黄字黄印」
1973年~1977年の黄印です、メーカーの製造時点での発酵が強くて、熟茶の味と似ています。70年代中期の黄字黄印は70年代初期の黄字黄印より餅面(餅茶の円盤の大きさ)が小さく見えます。
70年代末期「黄字黄印」
1977年~1980年 の時期の黄印の配合は7542の配合に近づいています。
七子大黄印
茶葉の配合は「美術字七子黄印」と似ています。■このお茶に相当します
黄印:加重萌芽
「黄印:加重萌芽」の茶葉はすべて易武正山のもので、餅茶の表面に配される茶葉には、粗碩(大きくふくよかな)茶葉が使用されています。

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■このお茶の由来

七子黄印-緑字黄印1970年代初期
「黄印:適度発酵」

五行圖書出版有限公司 『深邃的七子世界』
183ページ 「七子黄印大餅」
孟海茶廠七子餅茶産品
七子黄印大餅 「七子黄印内飛」 熱蒸発酵 1970年代初期
包装紙:絲紋紙 「小口中」字版 茶字の色:緑色

当店なりに推測して、上の文献に登場するお茶と同じとし、名前を「七子黄印大餅70年代」にしました。このお茶の製造工程を「熟茶」との記述もありますが、試飲鑑定を繰り返した結果、当店では「生茶」であると分類しました。1970年代のこの時期は、新しい「熟茶」の製造技術が試された時期です。そのために、ややまぎらわしい品が存在しています。
この「七子黄印大餅」によく似たお茶が以下の記述にも登場します。

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五行圖書出版有限公司 『深邃的七子世界』
著者:陳智同氏 2005年10月出版
164ページ~165ページ
「黄印大餅七子餅圓茶」
「七子黄印大餅」主要是源於「美術字七子黄印」、「七子大黄印」、「大藍印」等茶品、基本上配茶風格是具有一脈相承的血統関係、基本上這些産品都是同一系統的産品、原本應該帰於同一系統介紹、但受限於当年産品流通於市場的時間不同、且包装的風格及形制又略有差異、(如其中又有大口中、小口中字版及美術字尖出内飛与七子黄印内飛的差異)…
「七子黄印大餅」の起源は、「美術字七子黄印」、「七子大黄印」、「大藍印」などのお茶です。基本的な茶葉の配合は、一脈相承(一つの血統や流儀が幾代もの間受け継がれること)の関係です。これらの品は、どれも同じひとつの系統ですが、市場に流通した時期のちがいで、包装や餅茶の形に差異があります。
(「七子黄印大餅」の包装用紙は2種類がありますが、そのうち「小口中」字版と「大口中」字版があります。)…
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解説:この文献で紹介されている「黄印大餅七子餅圓茶」は、「七子黄印大餅」と同じで、茶葉の配合や、包装紙に、「小口中」字版と「大口中」字版があります。そして、このお茶は、「七子黄印大餅」の「小口中」字版に相当します。

「七子大黄印」について
1970年代の黄印系列のお茶で、このお茶「七子黄印大餅」と、とても似ているお茶「七子大黄印」があります。
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五行圖書出版有限公司 『深邃的七子世界』 
著者:陳智同氏 2005年10月出版 を参照
121ページ 「七子大黄印」
黄印系列茶品
「標準版」 熱蒸発酵 1970年代初期
包装紙:格紋紙 「大口中」字版 茶字の色:黄色
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解説:名前は似ていますが、包装紙や茶葉の配合などが根本的に異なります。したがって、このお茶とは異なるものです。

■包み紙などの特徴

七子黄印大餅70年代プーアル茶
「七子黄印大餅」の「大餅」について。
餅身(餅茶の直径)は約21CMあります。同じ時期の他の餅茶は約19CMです。「七子黄印大餅」は他のお茶品より2CMほど大きいので、「大餅」と呼ばれます。
重量は、長年の陳化によって、320gになっていますが、つくりたてのときは、345gであったと推測します。345gは一般的な餅茶の重量なので、直径だけが大きく、厚みは無かったのではないかと思います。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
左:絲紋紙 茶字の色:苹果緑(青リンゴ色)
右:厚棉紙 茶字の色:深緑色
「七子黄印大餅70年代プーアル茶」の包装用紙は2種類存在します。
五行圖書出版有限公司 【深邃的七子世界】 164ページ~165ページの記述にあります。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
「八中茶」マーク
外包みの中央にある「茶」の字。
「八中茶」商標の「茶」の字は手押しの印鑑です。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
「小口中」字版
外包みの印刷、「中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司」の「中国」の「中」の字の「口」の部分が、タテに短い文字のデザインになっています。これを 「小口中」字版と呼びます。
1970年代のお茶の包みの印刷によくあるのは「大口中」です。この時期は「小口中」字版のお茶は少なく、1980年代から「小口中」が多くなるため、一般的には「大口中」のほうに人気があります。

当店紹介した1970年代の「小口中」字版のお茶
+【7452七子餅茶プーアル茶】 
+【7582大葉青餅プーアル茶】

当店紹介した1970年代の「大口中」字版のお茶
+【七子紅帯青餅プーアル茶】
+【73青餅7542七子餅茶】 
+【早期7572七子餅プーアール茶】

七子黄印大餅70年代プーアル茶
「小口中」字版の内票
「七子黄印大餅70年代プーアル茶」の内票
”普耳茶”と書かれている、「” ”」この文章記号は「長逗点」(細明体製版)です。これは、包装紙の「小口中」のデザインと一対のものです。
1970年代によく見かける内票は、「長逗点」(楷書体製版)で、「大口中」のデザインと一対のものです。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
「小口中」字版の内飛
「孟海茶廠出品」と書かれている「出」の字の「山」の大きさが上下で違います。
この内飛(茶葉に埋め込まれた紙のデザインは、「七子黄印内飛」、またの名を「細字尖出美術字内飛」と呼びます。包装紙の「小口中」のデザインと一対のものです。
1970年代によく見かける内飛は「美術字尖出内飛」で、「大口中」のデザインと一対のものです。

■陳年茶葉について

当店では、この茶葉を「生茶」としましたが、文献によっては「熟茶」としています。意見がわかれるのは、1970年代の「熟茶」の製造技術がいろいろ試されたこ時期の製品のなかに、まぎらわしいものが存在するからです。この茶葉にも、そんな特徴が少し残っています。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
七子黄印大餅70年代プーアル茶
ひと目見ただけで、茶葉の色が赤っぽいと感じられます。
この色は、生茶というよりは、熟茶の色に近いものです。


左は「生茶」の「七子紅帯青餅プーアル茶」
右はこのお茶「七子黄印大餅70年代プーアル茶」
赤黒いので、熟茶に似ています。


左は「熟茶」の「7452七子餅茶プーアル茶」
右はこのお茶「七子黄印大餅70年代プーアル茶」

1970年代の茶葉と比べてみても、生茶よりも熟茶に近い色です。しかし、ここで熟茶の例に挙げた「7452七子餅茶プーアル茶」も、現在の熟茶のしっかり熟成した「渥堆」の味とは異なり、熟成が浅くて、生茶に近寄った味がします。

熟茶という説
五行圖書出版有限公司 『深邃的七子世界』 185ページ
著者:陳智同氏 2005年10月出版
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七子黄印大餅 「尖出内飛」 熟茶 1970年代中期
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生茶という説
五行圖書出版有限公司 『深邃的七子世界』 183ページ
著者:陳智同氏 2005年10月出版
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七子黄印大餅 「七子黄印内飛」 熱蒸発酵 1970年代初期
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熱蒸発酵とは
この文献でも、熱蒸発酵は生茶と分類されています。 別の言い方で、二分熟茶ともいわれる 人工発酵の一種です。
1973年、昆明茶廠(メーカー)の研究所が「渥堆」(ウォードゥイ)技術による熟茶の製品を発売した以前に、孟海茶廠(メーカー)や下関茶廠(メーカー)でも、茶葉の熟成を促成させるための、いろいろな試みがされています。
「渥堆」(ウォードゥイ)と呼ばれる、茶葉に水を直接かけて、黒麹菌などの菌類の活動を活発にさせ、茶葉を発酵させる技術の痕跡のあるものを、当店では、「熟茶」としています。その痕跡は、主に試飲したときの風味で判断します。「渥堆」かそうでないかでは、風味が完全に異なるので、判別の難しいものはわずかしかありません。
この「七子黄印大餅」を試飲したところ、 「渥堆」の味の特徴は全く感じられず、それよりは、「陳年茶葉」による風味を感じました。当店で紹介している品では、「7582大葉青餅プーアル茶」などがそれにあたり、これも生茶として紹介しています。「陳年茶葉」とは、緑茶と同じように熱で酸化発酵を止めて加工し、その茶葉を散茶まま乾燥した状態で、一定期間倉庫に寝かせたものです。
+【7582大葉青餅プーアル茶】

1970年代の茶葉には、熟茶であるか生茶であるかの判断の難しいものや、 「渥堆」がされているはずでも、かなり熟成が浅いため、生茶に似た風味のあるお茶が存在します。

熟茶
茶廠: 孟海茶廠  
製造: 1970年代中期
+【7452七子餅茶プーアル茶】

熟茶(半生熟茶) 
茶廠: 昆明茶廠販売 景谷茶廠製造  
製造: 1973年頃
+【義安棗香73特厚磚茶プーアル茶】 
+【73白紙特厚磚プーアル茶】

三分熟茶(生茶)
茶廠: 孟海茶廠+下関茶廠  
製造: 1975年
+【7562磚茶プーアール茶】

■このお茶の茶葉について

七子黄印大餅70年代プーアル茶
七子黄印大餅70年代プーアル茶
上: 表面の茶葉
下: 裏面の茶葉
表面の茶葉には、新芽に細まかい毛がある「芽毫」と呼ばれる部分が混じっています。 見たところ、表面の茶葉と裏面の茶葉の等級はほとんど同じです。わすかながら、裏も表も、表層のほうには、なるべく小さく形のととのった茶葉を配し、内側に、粗いめの茶葉を隠しているように見えます。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
表面にあった大きな茎。5センチありました。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
七子黄印大餅70年代プーアル茶
崩したときに、中側から出てくる大きな茶葉。茶葉の形を崩さないように取り出すのが難しいくらい、大きな茶葉がザクザクあります。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
七子黄印大餅70年代プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)
赤黒い色をした、ちょっと形の崩れている茶葉は、「渥堆」で熟成された茶葉の特徴と似ています。もしかしたら、加工方法の異なる2種類の茶葉が混ぜられた可能性も考えられますが、他の生茶の葉底と比べた時に、それほど違和感がありません。

七子黄印大餅70年代プーアル茶
大きめの茶葉には、表面にイボイボしたところがあります。これは老茶の餅茶の茶葉の特徴です。比較的厚みのある茶葉で、老茶で熟成のよい茶葉の特徴でもあります。
「早期紅印春尖散茶」のページでも、イボイボの茶葉を紹介しています。
+【早期紅印春尖散茶】

七子黄印大餅70年代プーアル茶
香りは、濃いめの梅香、沈香と淡い野樟香があります。
甘味が強く、透明感があります。

■飲み比べ




左が「早期紅印春尖散茶」
右が「七子黄印大餅70年代」このお茶
もっとも味が似ていると感じた、生茶の「早期紅印春尖散茶」と味比べしてみました。煎じたときの色も似ていますが、味比べすると、やや違いが見つかります。しかし、比べてみなければわからないほどよく似た風味です。
葉底(煎じた後の茶葉)の様子もよく似ています。




左が「文革磚茶70年代散茶」
右が「七子黄印大餅70年代」このお茶
熟茶、すなわち「渥堆」による加工のお茶で、茶葉の大きさが似ている「文革磚茶70年代散茶」と比べてみました。「渥堆」ではありますが、この1970年代のものは、熟成が浅く、比較的キレイに茶葉の形も残っております。当時の職人が目指した熟成の味というのが、生茶の老茶だったのではないかと推測しています。
茶湯は、 「文革磚茶70年代散茶」のほうが薄く、「七子黄印大餅70年代」のほうが濃いという結果になりました。
しかし、葉底(煎じた後の茶葉)は、「文革磚茶70年代散茶」のほうが、圧倒的に赤黒いものです。「渥堆」による加工がされていて、30年も経過している茶葉であれば、この「文革磚茶70年代散茶」のように黒く枯れたようになりますので、「七子黄印大餅70年代」は「渥堆」ではないと見ています。

七子黄印大餅70年代プーアル茶

また新しい情報があれば、ここに文章を追加してゆきたいと思います。

七子黄印大餅70年代プーアル茶

茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gの茶葉でどのくらい飲めるか?】

保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】

+【店長にメール】


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