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【オリジナルのお茶の記録】


南糯古樹青餅2010年 その1

nan nuo gu shu qing bing cha

南糯古樹青餅プーアル茶

■概要
製造 : 2010年6月18日
茶葉 : 西双版納州孟海県南糯山Y口老寨
製茶 : Y口老寨の農家
茶廠 : 孟海県の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶 385gサイズ
保存 : 西双版納―上海
当店のオリジナル品です。
+【当店オリジナルのお茶について】

■はじめに
このお茶は、南糯山の奥地の大きな茶樹からつくられました。クスリにも似た苦味が利いて、お菓子や点心との相性抜群です。

南糯古樹青餅2010年

■2010年春の収茶
2010年の南糯山(nan nuo)のお茶づくりは収茶からはじまりました。
茶摘みからはじまる他のオリジナルのお茶とはすこし手順が異なります。
2010年の春は、代表的な茶山の「易武山」と「巴達山」を選び、茶摘みの現場に入りました。樹齢の古い茶樹の、本当の旬のタイミングで茶摘みして、丁寧に製茶する。その成果を確かめました。
『易武古樹青餅2010年プーアル茶』
『巴達古樹青餅2010年プーアル茶』

南糯古樹青餅2010年

農家は他所者が現場に立つのを嫌がります。小細工するチャンスを失うからです。現場にいると事情が分かり、良い仕事はそれなりにちゃんとお金で評価することになるので、かえって割高になります。しかし、十分なメリットがあると感じています。新しい発見があり、工夫のしどころが見つかるからです。

南糯古樹青餅2010年

茶廠(メーカー)や茶商人が農家に滞在してお茶づくりに参加することはありません。それには2つのデメリットがあるからです。

ひとつは、茶葉を選べないこと。
茶摘みからうるさく注文をつけると、製茶後に試飲して気に入らないから買わないというわけにはゆきません。
一般的には、農家を訪問してその場で毛茶 (農家が晒干まで仕上げた原料の茶葉) を品定めをするので、気に入らなければ買わずに済みます。何軒かの毛茶を比べられるので、失敗のリスクはありません。

もうひとつは、質にこだわると、業者自身も儲け損なうこと。
2000年以降の生茶のプーアール茶は、新しいマーケットに新しいファンが増えたので、質より量でした。まずは安い価格、そして見栄えの良し悪しが優先されます。見えにくい品質の価値は後回しです。

南糯古樹青餅2010年

しかし、ここにきて新しい動きがあります。
プーアール茶ファンの中にも、良いお茶を知る人がだんだん増えてきました。まだ少数派ですが、質の良い茶葉にはそれなりの価値がつくようになってきました。

歴史的なかんばつの春となった2010年は、茶葉の産量が減ったせいもあり、有名茶山では毛茶の市場価格が過去最高値を記録しました。この市場価格というのは新茶園の量産型のものですが、古茶樹にも多少影響します。

このとき当店は易武山の農家とともに茶摘みをしていたので、村までやってきては「まだかまだか」と催促する茶商人たちを目の当たりにしていました。集落の農家を一軒一軒当たって、ようやく1袋15~20kgの単位で仕上がってくる毛茶を買い集めるのです。

南糯古樹青餅2010年

安く大量に毛茶を入手したいメーカーにとって、2010年の春は高いうえに量がまとまらず、そのため有名茶山の一部では大口予約のキャンセルが相次ぎ、4月中頃から農家に在庫ができていました。

しかしそれもまもなく、規模の小さな茶荘がひとつひとつ拾うようにして集めて、5月になると在庫はほとんど姿を消しました。
小さな茶荘には常連客がいて、上質であれば多少高くなっても販売できます。

歴史を振り返ってみても、生茶の高級プーアール茶はもともと小さな茶荘のつくっていたものでした。1950年頃から専売公社制となって自由が奪われた半世紀を経て、2000年頃からの自由化によって、ふたたび高級茶づくりが小さな茶荘に戻りつつあるのです。

■試飲に一カ月
春のお茶づくりが一段落した4月中旬に、たまたま景洪市の知人のオフィスに立ちよったところ、でてきたお茶にハッとさせられました。

お茶どころの西双版納では、来客の多いところにはお茶が集まります。玉石混合で、オフィスにはいくらでもあるのですが、しばらくこの南糯山のお茶だけがみんなに飲まれていました。

南糯古樹青餅2010年

淡麗でおだやかで、個性的なほろ苦味があり、酒粕の甘い蒸しパンとの相性は抜群でした。過去に飲んだことのある南糯山のお茶とは少し違う印象です。

「どんな素性の茶葉なのか?」と、これをつくった農家の主人に電話で聞くと、「今年の春の古茶樹である」、とのことです。
しかし、どんな茶葉でもまずは「春の古茶樹」と言うに決まっています。南糯山には樹齢の若い新茶園の茶葉も多くあるので、わからない相手を騙すのは簡単です。

オフィスの茶葉は日に日に少なくなってゆき、いよいよ残りわずかのところで譲ってもらいました。

南糯古樹青餅2010年

自宅に持ち帰り試飲を繰り返しました。
数日飲み続けると、いくつかの矛盾点を見つけました。

  1. 淡麗すぎる
    南糯山には一部にこの淡麗風味のあることを知っていましたが、それにしても雑味が少ないのです。
  2. 火の香りがない
    鉄の大きな鍋で茶葉を炒るので、わずかに焦げたような独特の火の香りが残るはずですが、それがほとんどないのです。
  3. 苦味は本物
    苦いお茶ならいくらでもありますが、しっとりと底力のある苦味は、南糯山の大きな古茶樹の特徴を現わしています。
  4. 葉底がキレイすぎる
    茶葉の色が均一に仕上がっています。茶摘みのときの袋の底で発熱して赤く変色した部分や、鉄鍋で炒って焦げたところがほとんどありません。
  5. 古茶樹の茶葉
    葉の厚みも茎の太さも古茶樹の特徴です。若葉がまだ小さくまるみを帯びていることから、早春のまだ雨の少ない時期に違いありません。

南糯古樹青餅2010年

このお茶はどんな環境で育って、どんな製茶がされたのか?
いちど見て確かめたいと思うようになりました。
この時すでに5月中旬。初めて飲んだ時からひと月が過ぎていました。

■その2 農地(つづき)

+【南糯古樹青餅2010年 その2】


南糯古樹青餅2010年 1枚  380g


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