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【オリジナルのお茶の記録】


南糯古樹青餅2010年 その3

nan nuo gu shu qing bing cha

南糯古樹青餅プーアル茶

■農家の経営
製茶場には殺青と揉捻の機械がありました。
この農家には台地茶の量産向けもあるので、てっきりそれを製茶するためのものと思っていたら、古茶樹もこれで製茶していると言います。
これには驚きました。

古茶樹でも最近は揉捻に機械を利用する農家がありますが、しかし殺青の火入れまでも機械でするというのは見たことも聞いたこともありませんでした。一般的には鉄の大きな鍋で、手炒りします。

采茶(茶摘み)を一芽三葉で摘んだとしても、鮮葉は1日に1人が5~6キロ程度。3人だったら15~18キロ程度です。わざわざ機械を使って殺青する量ではありません。

南糯古樹青餅2010年

はたして機械製茶は高級茶としてどうだろうか?
あの風味は機械製茶によるものだろうか?
と、考えをめぐらせていたところで、 「ご飯にしましょう」と農家の主人が言いました。

忙しい時期を過ぎていたので、来客を手厚くもてなしてくれました。朝から山に入って山菜やキノコを取りに行き、鶏を一羽つぶして鶏粥をつくり、ミツバチの巣から蜜を絞って、赤米を炊いて、愛尼族(アイニ族)の心づくしの料理です。

南糯古樹青餅2010年

山の幸の、苦味・辛味・渋味・酸味は直線的で、口に残る一瞬は美味しく感じられないこともあります。しかし、そこに自家製の白酒をひとくち含むと、旨味や甘味がふくらみ広がります。
強い苦味や渋味は、どちらかというと陰の味覚ですが、それがあるからこそ甘味や旨味は引き立ち華やかになります。
都会的に洗練されたまろやかな風味に慣れ過ぎると、味覚の陰影を失うのではないでしょうか。

ほろ酔い加減になったところで、仕事の話の続きです。

南糯古樹青餅2010年

機械製茶について農家の主人が話してくれました。
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2007年のプーアール茶バブルの時に、台地茶で量産したほうが儲かると思い、自然林を切り開いて農地を拡大しかけた。殺青と揉捻の機械もその時に買った。しかしすぐにバブルがはじけて、農地の拡大は中止。息子にはゴム園をやらせてみて、今年から収入になっている。ゴムの樹は暖かいところを好むので、山の低い別のところに農地がある。
夫婦二人でお茶に専念しているが、古茶樹だけでは収入が足りない。台地茶は安いけれど、季節はずれにも需要があるので続けている。

古茶樹と台地茶の茶摘みは、籠を分けている。鮮葉を持ち帰って、一方は機械で一方は鉄鍋でと、別々に殺青すると、2箇所に火を起こすことになって効率が悪い。先に台地茶を製茶して炉の温度が良い具合になったところに古茶樹の茶葉を投入すると、火の通りが良い。
親戚が昆明で茶荘をしているが、そこの上客たちもこの味を好んで、毎年買ってくれる。

機械で殺青と揉捻を行うと労働時間を短縮できて、茶摘みの時間が増やせた。 夫婦二人ですべてができるので質もよい。
(解説: 有名茶山の旬の毛茶は高く売れるので、季節になると他の地域の親戚に手伝いに来てもらうことがあるが、茶摘みにも技術があって、他人に任せると質が落ちるので、この農家はそれを好んでいない。)
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このような話でした。

南糯古樹青餅2010年

■収茶と圧餅
毛茶を少し買って帰ってサンプルにしようと思い、まだ残りはあるか?と聞くと、「昆明の親戚が1袋持って帰ったので、まだ1袋残っている」と言います。袋ごと秤に乗せてみると20kgもありました。

ここではじめて1袋ごと買い取って、餅茶(円盤型の固形茶)にしてみようと思い立ちました。機械製茶の可能性を考えてみたくなったのです。

2010年の早春の茶葉は、かんばつの影響で特別風味が濃いということが6月には業者の気付くところとなり、一部では有名茶山の餅茶が値上がりしていました。2010年のようなかんばつの春がこれから何年先にあるのか予測できないので、確保しておこうと思いました。

南糯古樹青餅2010年

念のため晒干の場所も確認しました。
機械製茶でも、晒干(天日干し)が重要です。長期保存を意識する当店のお茶には絶対条件です。
晒干台は家の裏の斜面に竹を組んでつくられていました。雨季のためにビニールシートが被せられていますが、雨の少ない早春は取り外して直射日光があたります。

山奥は電話線が引かれる前に電波が届いています。すぐに孟海の茶廠に携帯で連絡して、毛葉を持ち込むことにしました。圧餅(’固形茶への加工)を依頼するのに20キロでは少なすぎますが、忙しい時期を過ぎていたのでラインを空けてくれました。
当店オリジナルサイズの1枚385g。圧延には石型を使用。
乾燥は室内の熱風乾燥。
職人さんたちもいつもと同じメンバーでした。

南糯古樹青餅2010年

茶廠には毎日のようにいろいろな茶山からサンプル茶葉が持ち込まれています。工場長は鑑定ができるので、試飲してもらって意見を聞きました。
工場長もだいたい同じ印象を持ったようです。
淡麗で苦味が良く、茶葉が綺麗。南糯山の古茶樹に間違いないということでした。機械製茶というのを黙っていましたが、話題にはなりませんでした。

この毛茶が南糯山のどの寨子(集落)かを、工場長はたった2つの寨子の名前を挙げるだけでピタリと当てました。寨子ごとに風味の特徴があるのです。

南糯古樹青餅2010年

2日後に仕上がり、七枚一組の「七子餅茶」となりました。
その日、2010年6月18日をこのお茶の製造日付としました。

茶摘みは4月初旬までに終わっていますが、それはあえてパッケージに記すことはないでしょう。春の初摘みであることは風味にはっきり現れています。

■その4 品茶(つづき)

+【南糯古樹青餅2010年 その4】


南糯古樹青餅2010年 1枚  380g


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