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南糯古樹青餅2010年 その5

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南糯古樹青餅プーアル茶

■製茶
南糯山に到着したのはその日の午後でした。
朝から采茶した鮮葉が準備されていました。古茶樹の茶葉を使うのはもったいないので、台地茶の茶葉にしてもらいました。6月なので雨季のいちばん安い時期です。

南糯古樹青餅2010年

この時期には古茶樹は特別にオーダーでもないかぎり采茶をしないで休ませています。量産型の台地茶は熟茶づくりのために季節外れにも需要があるので、茶摘みを続けていました。
製茶機械は毎日フル稼働している様子です。同じ村の農家の製茶も請け負っているようでした。

南糯古樹青餅2010年

機械の殺青も薪を燃やす火で熱を得ます。
煙がまわって茶葉に臭いが移らないよう、製茶場は煙の排出位置などが考慮されています。

殺青の仕上がりは鉄鍋で炒るのと同じで、茎の部分がようやくポキッと折れる程度です。つまり火の通しの強弱がちがうのではなくて、火の通るまでの温度や時間の加減で、この風味が生まれていることになります。

非接触温度計で測った窯の内側の温度は390度に達していました。これも人の手で炒る鉄鍋と同じ温度です。

ドラムを電動モーターで回転させながら温度が上がったところで茶葉の投入です。1度に投入する茶葉は鮮葉にして7キロ以上でないとうまくゆかないと農家の主人は言いました。

南糯古樹青餅2010年

この夫婦二人で采茶をすると、1日の鮮葉はせいぜい12キロ程度なので、殺青は一度機械を動かせば済むことになります。

ドラムの回転は思っていたよりも早く、茶葉はドラムの中で跳ねまわって、熱くなった炉の表面に長く接触することはありません。人の手で炒るとこれほど早い返しは無理です。これなら、たしかに焦げ付きは少なくなります。

南糯古樹青餅2010年

さらに観察を続けると、手炒りの殺青とは決定的に異なるところが見つかりました。

蒸し焼きになっているのです。

手炒りでは、手返しをすばやくしないと焦げ付くので、なんどもひっくり返され、空気にさらされ、そのたびに茶葉から発生した高温の蒸気は外へ逃げます。
機械製茶はドラムの前後がやや狭くなっていることもあり、高温の蒸気がドラムの中で留まります。農家の主人の言う「鮮葉にして7キロ以上」をつめこむと、ドラムの中は鮮葉の水分で大量に蒸気が発生し、茶葉にまんべんなくからまり、熱が通ります。
この蒸し焼き状態が、淡麗と清い苦みを生み出していたのです。

南糯古樹青餅2010年

炒るか蒸すか、これにはそれぞれの良さがあるのでどちらが良いとは言えません。蒸し焼きがこの南糯山の古茶樹の独特の風味を引き出していることを考えると、それも選択肢のひとつです。

農家の主人はこの特性を見て、鮮葉の量を7キロ以上に決めていたのでしょう。かつての南糯山のお茶づくりは蒸しだったわけで、その風味が継承されていると言えるかもしれません。
ちなみに日本の緑茶は蒸しています。緑茶のしっとりとした旨味と苦味は、少し似ているような気がします。

南糯古樹青餅2010年

揉捻は予想していたとおり特別なこだわりなく、弱めに仕上げていました。茶葉の量が少ないときは手揉みすることもあるようです。揉捻の弱い仕上げにおいては、機械揉みも手揉みも大差はありません。

■評価
機械製茶はもしかすると南糯山の持ち味を引き出す技術として定着するかもしれません。しかしいざ価格を決めるときになって、『易武古樹青餅2010年』や『巴達古樹青餅2010年』よりは安い価格にしようと考えました。

相場の差もありますが、それよりも人が汗水たらしてつくった価値を残しておきたいのです。まだ見つかっていないところがあると思うからです。

南糯古樹青餅2010年

■飲み方について
最後にこのお茶を美味しく淹れるコツについて少し補足しておきます。
苦みに特徴のあるこのお茶は、濃くなるまで煮出してはいけません。煮出すと苦味がエグ味に変わります。さっと煎じてポットの湯は杯に注ぎ切ります。茶葉が湯に浸かる時間を短めにしたほうがよいです。
もしくは、逆にじっくり抽出して甘味を引き出す方法もあります。その場合は茶葉をごく少なめにして、大きめのポットにたっぷりの湯を注いでください。
なお、湯の温度を少し下げて90度くらいにすると、甘味が抽出できます。

■その6 熟成(つづき)

+【南糯古樹青餅2010年 その6】


南糯古樹青餅2010年 1枚  380g


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