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易武春風青餅2011年プーアル茶 その1

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易武春風青餅プーアル茶

■生茶プーアール茶
2011年早春の茶葉でつくった生茶のプーアール茶です。
当店のオリジナル品です。
+【当店オリジナルのお茶について】

易武春風青餅プーアル茶

■易武山のお茶づくり
易武山には高級茶づくりの歴史があります。
過去に易武山の茶葉が使われた名作がいくつもあります。しかし1990年代後半からは、これといった名作が出なくなりました。
なぜそうなったのかをこのお茶づくりをとおして探ってみます。
易武山の高級茶に求める風味は、ずばり「無い味」です。
+【無い味/茶想(ブログ)】
無い味は当店が勝手にそう表現しているだけのことで、人によっていろいろな言い方があります。
「雑味のまったくない透明な味。」
「まろやかでなめらかで口に溶けて消える味。」
「美味しいとしか覚えられないなんとも言えない味。」
言い方はいろいろあれど、どれもひとつのことを指していると思います。

易武春風青餅プーアル茶

味だけではなく、香りにもまた無い味があると言えて、それは深い森で深呼吸したような安息感を覚えながらも、はっきりこれと姿がとらえられない香りといったところでしょうか。
易武山の上質には、「こんな味もあり、あんな味もあって、それぞれに良い」というような多様性はありません。いろいろあって楽しめるのは西双版納でも西側の孟海県のお茶です。
易武山には決まった上質があり、その目指すところはひとつです。

■ 歴史
易武山のお茶は茶文化の影響を受けています。
古い都市で発達してきた文化がお茶の風味を育ててきたと言えるでしょう。「緑茶」や「青茶」の上質に求められる風味と、易武山の「生茶」とはどこか共通したところがあります。

易武春風青餅プーアル茶

中国雲南省西双版納に漢族が移住して、お茶づくりに関わった記録のあるのは明朝1570年代のことです。
それまでの山々は少数民族たちの土地で、外部の者が容易に入れるところではありませんでした。しかしメコン川から東側に多かったヤオ族は、すでにこの時代にはお茶をつくって漢族に売る仕事をしていたとされています。都市の需要に応えるお茶づくりがはじまっていたことになります。萎調で甘い香りを引き出したり、鉄鍋で茶葉を炒る技術などはもしかしたらこの時代にすでにあったかもしれません。
そうなると、春いちばんの茶葉を収穫するための栽培方法についても、なにか工夫があったかもしれません。残念ながらヤオ族には文字で記録する習慣がなく、はっきりしたことがわからないのです。
もともと移動の民であるヤオ族は、その後に多くがラオスへ移りました。この土地のお茶づくりはイ族に受け継がれ、そして漢族に受け継がれてゆきます。
1700年代には「貢茶」に選ばれ交易品となったことで、各地の都市に販売され、「易武山に高級茶あり」と名をとどろかせることになりました。高級茶としての新たな歴史がそこからはじまりますが、そのお茶づくりをする下地はすでにできていたのかもしれません。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

■采茶(茶摘み)
2011年の春は、全体的に遅めの春となりました。
春の発芽のタイミングは毎年変わっています。植物は独自のカレンダーに従って生きているので、西暦とは合わないのです。
いつはじまるのかはっきりしないので、まだ新芽が出ていないうちから山に上がって農家と共にその日を待ちます。待っている間は道具の手入れなどをしています。
昨年2010年の茶摘みは3月1日からはじまりましたが、今年の2011年は3月1日になっても新芽はほとんど出ていませんでした。
畝づくりの茶畑の若い茶樹の発芽は早く、すでに茶摘みがはじまっていましたが、古茶樹はやや遅いのです。

易武春風青餅プーアル茶

山に上がって数日待った3月6日の午前中に少し雨が降りました。それで茶葉の成長に勢いがついたみたいで、翌日3月7日にはいっきに新芽が増えました。
空は快晴。ようやく春いちばんの茶摘みがはじまります。
「茶は南方の嘉木なり」というのは『茶経』を書いた陸羽の言葉ですが、新芽の出はじめの茶山はキラキラと緑輝き、喜びあふれる光景となります。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

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易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

今回の采茶は、茶葉のまだ小さいのや、少し大きくてもひらきたての軟らかいのだけを選ぶことにしました。
「一芽一葉」と教科書どおりに選り分ける手もありますが、小さい茶葉にも時間が経って堅くなったのもあるので、形や大きさで選ぶと効率が悪くなります。それよりももっとわかりやすい色や質感を優先しました。
つまり「挑茶」を行ったのです。
「挑茶」は昔の高級茶づくりに使われていた手法です。
近年の易武山の有名寨子(古い集落)の古茶樹で挑茶を行うと、高価になりすぎ、また手間がかかりすぎて農家が嫌がるせいか、この10年くらいではっきり挑茶が行われたことがわかる製品は見つかりません。そういうオーダーがあったという噂を聞くことはあっても、おそらく少量すぎて広く流通する商品にはなっていないのでしょう。
当店の扱った古いお茶では、
+『92紅帯青餅プーアル茶』(1992年)
+『真淳雅號圓茶96年』(1996年)
このふたつが「挑茶」されたことがはっきりとわかる高級茶です。いずれも1990年代までの名作です。

易武春風青餅プーアル茶

もともと茶葉がまばらな古茶樹で、しかもまだ葉が大きく育っていないときに茶摘みをすると、せっせと手を動かしても収穫はいつもの半分以下です。小さくて軟らかい若葉は重量が少ないのでさらに量が減ります。実際に試したところ、4月になってからの1日の収穫量の3分の1程度でした。
「3倍の値をつけましょう。」
農家にそう提案しました。麻黒村の茶葉は易武山の中でも高値のつく有名寨子ですが、もしかしたら当店がこの春いちばんの高値をつけたかもしれません。
10年前なら破格の好条件ですが、現在は大きく育った雨季の茶葉を混ぜ合わせてもよく売れるので、農家からしたら特別良い条件とは言えないでしょう。しかし高値をつけても農家の生活が楽になるほどの収入にはなりません。なにしろ量が限られているのと、効率の悪い仕事だからです。

易武春風青餅プーアル茶

■ほんとうの旬
挑茶も大事ですが、采茶のタイミングはもっと大事です。
一般的に春の旬は1ヶ月間あると言われていますが、茶摘みをすると、はじめの数日だけが特別で、その後は質の落ちてゆくのが手に取るようにわかります。香りも色も輝くような「ほんとうの旬」は、いちばん最初の新芽や若葉だけです。
3月になるとだいたい10日に1回は雨が降ります。雨の日の周期はだんだんと縮まってゆき、6日に1回、3日に1回となり、4月中頃にはほとんど毎日1時間くらいは雨が降り、雨季に入ります。雨が多いと茶葉はよく成長します。しかし成長が早いと成分が薄くなるようで、高級茶としての価値はなくなります。また、製茶の晒干(天日干し)工程が一日で終わらないことが多くなるのも質を下げる要因です。

易武春風青餅プーアル茶

「茶摘みをはじめてから雨が一日降るような日があったら、それで終わりにしましょう。」農家と話し合ってそう決めました。何キロと定量をオーダーするのではなくて、いちばん良いタイミングの分だけをすべて買い取るという約束です。
3月6日に雨があって、その翌日から春いちばんの茶摘みが始まったので、運が良ければそれから10日間くらいは収穫できるという計算でした。
結局、それは6日間しかありませんでした。
雨が降ったのは8日目ですが、7日目の茶葉は8日目の太陽で晒干するためボツになりました。
2011年の易武山の春のほんとうの旬は6日間でした。
そうなると、6日間でいかに多くの新芽や若葉を摘み取るかが課題となります。もしも高級茶づくりにそれが欠かせないとすると、切り戻しや剪定によって高さのそろえられた易武山の古茶樹の仕立て方は、そのために計算されたものだと推測できます。
いっせいに芽を吹いて、まだやわらかい若葉がタイミング良く采茶できるのは、この仕立て方があるからこそです。

易武春風青餅プーアル茶

西双版納のメコン川から西側の孟海県の古茶樹は、見た目にも大きな茶葉で、森の中に自由に枝を伸ばしているワイルドな茶樹のイメージで、近年は人気がでています。
しかし、そうした野生に近い状態のものほど、新芽の出てくるタイミングはそろいません。春いちばんはとくにポツポツとまばらに新芽が出てくるので、あっちの枝こっちの枝、こっちの樹あっちの樹と移りながら少しずつ摘むことになります。そうしているうちに日が過ぎて、最初の雨の日が来ます。つまり、春いちばんの収穫を逃してまとまった量にできないのです。もしも高級茶づくりにそれが欠かせないとすると、孟海県の古茶樹はそのことを考慮されていないことになります。
2011年の春は易武山と南糯山の茶摘みに参加して、その違いを知りました。このことは南糯山の2011年のお茶づくりのページでも触れています。
【南糯山神青餅2011年プーアル茶 その1】

易武春風青餅プーアル茶

1800年代からの易武山の銘茶『宋聘圓茶』や『同興號』、1950年代の銘茶『紅印圓茶』は、現在の価格で一枚約350gが100万円を超えるキングオブ高級茶となっています。そしてこれらの高級茶葉のいずれも春いちばんの風味を持っています。もしかしたら、これらのお茶は切り戻しや剪定によって高さをそろえた茶樹でつくられたのではないか?そう仮定してみると、いくつかつじつまが合います。
銘茶となって知られているからには、それなりの量がつくられたはずです。農家一軒で采茶したくらいでは間に合いません。おそらく村じゅうで集めたにちがいありません。それにしても、茶樹の仕立て方をどうにかしないと、春いちばんの新芽や若葉を集めることは困難です。

易武春風青餅プーアル茶

高級茶づくりの観点から見ると、1700年代の高級茶「貢茶」の時代にはすでに、栽培方法に何らかの工夫がされていたと考えられます。
西双版納は世界の茶樹の故郷ともいわれるくらい古い茶樹が自生しているところで、その野生味の魅力で人気を得ていますが、その中で易武山のお茶だけが洗練された異質な風味をもっています。
茶文化の需要に応えたお茶づくりは、茶樹の栽培技術にまでおよんでいたのではないでしょうか。

■その2 製茶
+【易武春風青餅2011年プーアル茶 その2】


易武春風青餅2011年プーアル茶 1枚 29,800円 送料込み

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