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易武春風青餅2011年プーアル茶 その2

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易武春風青餅プーアル茶

■生茶の「生」
2011年は生茶の「生」を意識しました。
そのきっかけは、生茶よりももっと火を通さない紅茶づくりに、風味の変化の面白さを感じたからです。
【巴達古樹紅餅2010年紅茶】

この紅茶づくりでは、茶葉を炒る「殺青」と呼ぶ火入れの工程がありません。最後に圧延するための蒸気と熱風乾燥の「弱い火」だけが、それらしき熱の入る工程です。それでも完成後は安定し、繊細な風味を留めています。

易武春風青餅プーアル茶

茶葉は生まれながらにして自ら枯れ葉になろうとする成分を持っています。摘まれた瞬間からそれが作用するので、その作用を止めるために早い段階で火入れをします。
70度以上の熱でその成分の活性が失われるからです。
どんな種類のお茶をつくるにも、何らかの形で火入れの工程があります。

易武春風青餅プーアル茶

しかし、多くのお茶づくりにおいて、変化を止める目的以上の熱が加えられています。それによって独自の風味を引き出すためです。
火入れは枯れ葉になろうとする成分変化とは関係のない、別の成分にも影響しているはずです。もしかしたら風味を引き立てるかわりに、ある成分においては劣化をまねいているかもしれません。
火入れの浅い「生」に仕上げるのは、風味を引き立てない「無い味」をつくるのと同じです。

■殺青(sha qing)
殺青は茶葉を炒る工程です。
「生の魅力を残したいので、いつもの7分目でお願いします。」
そのように農家に依頼しました。
しかし、7分目というのは抽象的で、時間なのか温度なのか、鍋に投入する茶葉の量なのか、言っている本人でもわかっていません。やってみてその感じを掴むしかないのです。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

はじめの2回は失敗して鮮葉を失いましたが、後はすぐに要領を得ました。鉄鍋の高温を保って、そこへ一定量の茶葉を投入することで蒸気を起こし、「蒸し焼き」状態をつくります。そうしないと、水分の少ない春いちばんの茶葉はあっというまに焦げつきます。
蒸気を利用すると、高温で短時間の仕上げが可能です。もしも低温で時間がかかると、乾燥してパサパサになり、次の工程の揉捻がうまくゆきません。

易武山では水平に設置した鉄鍋を使う農家が多いのですが、それが有効だということがわかりました。中央に熱が集まり真上にあがるところに蒸気を集めやすいのです。近年流行りの斜めに設置するタイプの鉄鍋ではこれがうまくゆきません。
蒸し焼き状態の殺青が淡麗な風味を生むというのは、昨年の『南糯古樹青餅2010年』の製茶で見つけていましたが、結果的にそれに近づきました。
【南糯古樹青餅2010年プーアル茶 その5】

■揉捻
「殺青」のつぎは「揉捻」です。
しっかり揉み込んで成分を抽出してもらうようにしました。
揉捻をしっかりすると、香りの立つのが遅かったり、茶湯が濁ったり、味の出がゆっくりになったりしますが、年数が経ってくると深みが出てきます。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

昔の高級な生茶は、揉捻のしっかりしたものが多かったと思います。
しかし近年は揉捻をそこそこに仕上げられたものが多くなっています。そのほうがはっきりした味になるからです。このことを追求してゆくと、緑茶のようにしっかり炒って、揉捻をそこそこに仕上げた方がよいことになりますが、まさに近年の生茶のプーアール茶はそうなっています。
しかし、揉捻の強いのは、いろいろと計算されたことかもしれません。これについては、後の「品茶」で考えてみます。

■晒干(shai gan)
2011年は4月から雨が多くなりましたが、ふりかえってみると3月はじめの頃から例年よりも雲が多かったと思います。
茶摘みがはじまると、早朝の雲にはハラハラさせられましたが、太陽が昇るとすっきりなくなり、太陽がまぶしく照りつけます。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

晒干によって乾燥すると、緑色の茶葉が青黒くなります。この青黒いのが易武山の旬の古茶樹の特徴です。
市販の易武山製品の中には白く太った新芽が多かったり、茶葉の色が全体的に明るくキレイに見えるものがありますが、それは実は雨の季節の二級品です。 易武山の早春の茶葉は、新芽が小さく、黒っぽいのが上等です。

易武春風青餅プーアル茶

青黒い色が長期保存で熟成すると、赤黒くなります。
昔の易武山の生茶には、熟茶と見紛うほどに赤黒く変色したものが多いのですが、もとはこの青黒だったのです。

高級茶にはそれを求める飲み手にも知ることの努力が求められます。つくり手だけが頑張ってわかり易くしようと小細工してもダメなのです。
近年の高級茶が廃れたのは、つくり手だけの責任ではないようです。

易武春風青餅プーアル茶

まだつづきます。

■その3 圧餅 (まだつづきます)
+【易武春風青餅2011年プーアル茶 その3】


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