製造 : 1998年
茶廠 : 孟海茶廠
茶山 : 西双版納孟海茶区
茶樹 : 大葉種
茶葉 : 2~5級
工程 : 熟茶
倉庫 : 香港乾倉ー広州乾倉
かすかな煙味が効いた爽やかな風味の熟茶です。10年の倉庫熟成を経たやわらかな口当たりは融けるようになじみます。
■茶商の倉庫
2009年1月に広州の「芳村区」の茶商の倉庫から蔵出しました。
当店で過去に紹介した「下関銷法沱茶90年代」と同じ倉庫での保存熟成のお茶です。
+【下関銷法沱茶90年代プーアル茶】
このお茶「大益甲級沱茶98年」は、2008年3月の時点で、すでに広州の茶商の倉庫から確保していましたが、あとひと夏は倉庫で寝かせてから出品したいと考え、温暖湿潤な広州の茶商の倉庫にそのまま置いて、2009年1月に蔵出ししました。
広州の乾倉は、半年置くだけも風味が変わります。
芳村区のこの倉庫は、内部に小部屋をつくって、各茶商がそれぞれの考え方で温度や湿度を調整しています。そのため、それぞれに風味の異なるお茶ができます。
1990年代から老舗の香港の茶商の多くも、ここへ倉庫を引越しさせて、新しいお茶を寝かせています。
+【茶商の倉庫がプーアール茶の味をつくる】
■包み紙について
1998年の大益甲級沱茶には100gと250gのサイズがあります。
左: 250gの大益甲級沱茶 (このお茶)
右: 100gの大益甲級沱茶
このお茶は250gのサイズです。熟成でやや重量が減っているため、実際のところは235g前後です。 沱茶4つで一組になる筒型の紙の包装に入っています。

孟海茶廠(メーカー)の「大益」商標は、1989年から輸出可能な商標となり、ちょうどその頃から「大益甲級沱茶」が作り始められました。近年は毎年作られる「常規茶」のひとつに選ばれています。
+【大益牌について/紫大益7542青餅】
年代によって包み紙のデザインが異なります。
『大益普耳茶大辞典1994-2007』 (著者:楊凱氏および編集部 五行圖書出版有限公司)には、1994年から後の大益甲級沱茶が記録されています。
「天字沱茶90年代初期」は、1990年頃の製品で大益甲級沱茶をベースにしてあります。当店でも過去に紹介しています。
左:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
右:天字沱茶90年代
上:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
下:天字沱茶90年代
「大益」マークのところが、「天」マークになっているのが「天字沱茶90年代」です。その他の文字の「PUERTUOCHA」や、「中国」の文字のデザインは同じです。1990年代のデザインとして共通しています。
+【天字沱茶90年代初期プーアル茶】
2000年からの文字のデザインは変わります。
左:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
右:大益甲級沱茶02年
上:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
下:大益甲級沱茶02年
「PUERTUOCHA」と、「中国」の文字のデザインが異なります。1990年代に作られたものと2000年代につくられたものの区別ができます。
■このお茶の茶葉について
西双版納孟海茶区のブレンド茶葉です。他のメーカーの沱茶製品に比べると茶葉の形がはっきりと残っています。熟茶は廉価品として誕生した歴史があるため、通常は季節はずれのしかも大きめの茶葉や茎の部分が使われます。そして発酵ムラのできないように裁断された茶葉が使用されますが、この「大益甲級沱茶98年」には新芽や小さな若葉もふんだんに使用されており、それらの形が残っています。
■年代による茶葉の色のちがい
熟茶の量産は1970年頃から始まり、70年代、80年代、90年代と徐々に発酵における熟成度が強くなっていった形跡があります。とくに2002年頃を境にして、熟成の強めに仕上げられた製品が多くなっています。
上:天字沱茶90年代
中:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
下:大益甲級沱茶02年
1990年、1998年、2002年を並べて見ると、2002年の色がとくに赤黒いのがわかります。「渥堆」の仕上げ具合に変化があり、色にそれが現れています。
雲南のお茶の販売が自由化された1990年代末ごろから、メーカーは自力で販路を広げるようになります。2007年のプーアール茶バブルといわれる中国全土にブームがひろがるまで、とくに中国国内に向けたお茶が作られました。それまでは海外向けの多かった孟海茶廠ですが、北京や上海などプーアール茶になじみの薄い地域へ販売するためには、茶商の倉庫で何年も保存熟成させるやり方ではコストがかかって競争に勝てません。買ってすぐに美味しく飲めるように、メーカーで熟成を強めに仕上げる製品が増やされました。茶葉の色の差はそれが原因です。
しかし、メーカーで短期間に熟成させるのと、茶商の倉庫で長年熟成させるのとでは、やはり風味は異なるものになります。
■飲み比べ
大益甲級沱茶シリーズの1990年(天字沱茶90年代)、1998年(大益甲級沱茶98年)、2002年(大益甲級沱茶02年)の3つを比べてみます。
左 :天字沱茶90年代
中:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
右:大益甲級沱茶02年
左:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
右:天字沱茶90年代
茶湯の色の差はありませんが、風味は異なります。「天字沱茶90年代」は、倉庫での熟成が強いもので、特別な風味を持ちます。葉底は枯れて焦げたように黒く変質しています。
このことから、倉庫熟成の熟茶の茶葉は、外から見た表面的な茶葉の色には違いはなくとも、内面的には違いがあることがわかります。
左:大益甲級沱茶98年 (このお茶)
右:大益甲級沱茶02年
2002年の大益甲級沱茶は、渋み、苦味、酸味が強く、口や喉に強い刺激をあたえます。飲んだ後も舌や喉にその印象が残ります。
1998年のこのお茶は、熟成の年月が尖った角のある味を削り、まるみを与え、甘味を加え、軽快な印象を残しながらも、口に溶けるようになじんで消えてゆきます。
外から見た表面的な茶葉の色は2002年のほうが強く熟成しているように見えても、内面的には1998年のこのお茶のほうがずっと熟成しています。
左: 大益甲級沱茶98年 (このお茶)
右: 下関銷法沱茶90年代
この2つは、同じ1998年頃のお茶ですが、メーカーが異なります。原料の茶葉は孟海茶区と臨滄茶区と産地が異なります。
味は「下関銷法沱茶90年代」はかなり濃く淹れてもバランスは崩れませんが、「大益甲級沱茶98年」はデリケートで、濃くすると渋みが強くなり、バランスが崩れます。
「下関銷法沱茶90年代」の紹介ページにも、この二つのお茶の飲み比べを記録しています。
+【飲み比べ/下関銷法沱茶90年代】
煎を重ねるほどに甘味が出てきます。ローソクの火やアルコールランプでゆっくりと煮出すようにすると、いっそう甘味が滲み出ます。
西双版納孟海茶区の原料となる「晒青毛茶」は、樟香、蘭香、橙香などの爽やかな刺激のある香りが特徴です。生茶はそのままの風味のお茶になりますが、熟茶は「渥堆」(麹菌や酵母による発酵)の風味に変わります。しかしそれでも孟海茶区特有の爽やかな風味は残ります。
重くなったり緩くなりすぎる傾向のある熟茶の風味に、キリッと引き締まった印象を与える爽やかな風味が、このお茶の持ち味です。
崩した茶葉もご用意しました。 手間いらずですぐに飲めます。
1年以上保存する場合は、固形のままでお求め下さい。
また新しい情報があれば、ここに文章を追加してゆきたいと思います。
保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】
お客様の感想
次にこのプーアール茶はいかがですか?
+【このプーアル茶の詳細】
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