プーアル茶のことならプーアール茶.com

【プーアール茶リストに戻る】


天字沱茶90年代初期プーアル茶

tian zi tuo cha 90s

天字沱茶90年代初期プーアール茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶

天字沱茶90年代初期プーアル茶 1個 約240g
2010/01/08 終了

製造 : 90年代初期
茶廠 : 雲南孟海茶廠
茶山 : 西双版納孟海地区
茶樹 : 大葉種
茶葉 : 2級ー5級
工程 : 熟茶(重発酵)
重量 : 230-250g
倉庫 : 香港湿倉→常温乾倉

甘味
●●●○○ 穀物の甘味
渋味
●○○○○
とろみ
●●●●○ おしるこ的
酸味
●●●○○ 鈍い酸味
苦味
●●●○○ コーヒーの苦味と酸味
香り
●○○○○
熟成度
●●●●● 熟成かなり強め

香港の茶商「南天公司」により監修され、孟海茶廠でつくられた熟茶の沱茶(お碗型の固形茶)です。
熟茶なので、すでにメーカーで十分に発酵させてあり、出荷されてすぐにでも、口当たりのやわらかなお茶となっているのですが、さらに香港の倉庫にて、これ以上はないというほどに熟成しきっています。
もはや、お茶の香りや渋みではなく、コーヒーのような風味が楽しめます。

「天字沱茶90年代初期」は、1990年頃に香港の南天公司から一度だけ孟海茶廠にオーダーして作られたお茶です。

天字沱茶90年代初期プーアル茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶

------------------------------------------------
■南天公司について
「天字沱茶」の名前にもなっている「天」の文字は「南天公司」のことです。銘茶「厚紙8582七子餅茶」も南天公司がオーダー生産したお茶です。そのほかにも「紫天熟餅」などが、南天公司の手がけたお茶として有名です。
+【厚紙8582七子餅茶プーアル茶】

南天公司
天字沱茶の「天」は、南天公司の「天」のマークです。

南天公司の創設者の周琮氏は雲南出身で、雲南の巨商「伍集成」に勤めた後、「南天貿易公司」(以下、南天公司)を創設します。周琮氏の父親がミャンマーで宝石商をしていたこともあり、はじめは宝石を扱っていたようです。

文化大革命(1966年5月から1976年10月)の混乱によって、香港への茶葉の供給が不足していることに着眼し、プーアール茶の仕事が始まります。その当時、雲南のプーアール茶の生産・販売は国によって管理されていたため、雲南で自由にお茶を作ることができません。そのため、雲南の茶葉の運搬に便利な、近くのタイに私設工場をつくり、渥堆加工の熟茶のプーアール茶の生産が始まりました。タイの北部の山岳地帯は、雲南と同じ少数民族がお茶の栽培技術を受け継いでいます。また、雲南の茶葉の産地を流れるメコン川によって、ベトナムやタイへの茶葉の運搬がされていました。

文化大革命が終わりに近づき、先に雲南に戻っていた周琮氏の父親の意向で、1970年代後半に周琮氏も雲南省の昆明に戻ることになりました。 1979年からはプーアール茶の老舗国営メーカーである昆明茶廠や孟海茶廠に出入りし、知識や技術を交換しました。この交流がきっかけで、「天」のマークが入る南天公司のオーダー生産のお茶がつくられ、香港に輸出されることになりました。

1980年代には、南天公司は、孟海茶廠のお茶をもっとも多く取り扱う茶商のひとつとなり、茶号「7542」、「7532」、「7572」のほか、散茶7級、8級、9級、10級などを大量に扱いました。1985年には、名作「8582」をオーダーしました。

1993年以降は、取扱が少なくなり、 南天公司はその後1996年頃に解散したという話を聞きましたが、理由はわかりません。
------------------------------------------------

白露(バイルー)?
天字沱茶90年代初期プーアル茶
茶葉の表面には、白くなったところがあります。白露(バイルー)といわれる、茶葉が湿ったときに成分が浮き出て白くなるものですが、温度と湿度が適切であれば、熟成具合に問題はありません。

この「天字沱茶」は、香港の湿倉と呼ばれる、やや湿度の高い倉庫に入れられて、強く熟成されたものです。
過去に保存された倉庫の履歴をたどってみると、
----------------------
1.香港の湿倉に2年
2.香港の常温乾倉に11年間
3.広東の常温乾倉に2年間
4.上海の常温の棚に1年
----------------------
合計16年の熟成期間ですが、だんだんと湿度の高いところから、湿度の低いところに移動しています。湿倉や乾倉から、常温の乾燥した倉や小売店の倉庫に移すことを「退倉」といいます。湿倉で強く熟成したものは、強い発酵臭のある風味になりますが、「退倉」されて、さらに13年もの歳月をかけてゆっくりと熟成されることにより、クセが抜けて上品な風味へと変化しています。
常温の乾燥した倉庫では、夏季以外には菌類の働きによる発酵は少ないと思われるので、成分変化を主体にした熟成がすすんでゆきます。
+【茶商の倉庫がプーアルの味をつくる】

湿倉加工には、茶葉に直接水をかける「重湿倉」のイメージがあります。インスタントに長年熟成したような風味が作れることから(実際は似ても似つかない風味なのですが・・・・)、お土産屋さんや大衆食堂のプーアル茶の加工や、偽物作りに使われる技術であるために、業界での印象は良くありません。
また、茶葉に水気が多すぎると、発酵にムラができ、お茶の味を悪くする成分ができてしまいます。そのような理由で、湿倉のお茶には、空気の通りが良くて管理が容易な散茶(バラバラの茶葉)が多く、湿倉の散茶はそのまま売られたり、成型して、小沱茶や工夫茶(いろいろな形に成型したもの)にして売られることがあるようです。

天字沱茶90年代初期プーアル茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶
茶葉に鼻を近づけても、ほとんど香りがしません。
固形のプーアル茶を崩す時に、年代モノであっても、指には茶葉の繊維の弾力を感じるものなのですが、この天字沱茶の茶葉は、まるでクッキーでも崩すかのように、ボロッともろく崩れます。この質感からしても、熟成しきった様子です。

追記:2011年6月
西双版納にて自ら手配した茶葉で熟茶の渥堆発酵を経験した、「版納古樹熟餅2010年プーアル熟茶」のお茶づくりからわかったことですが、「天字沱茶90年代」の茶葉は渥堆発酵のときの熟成が強く仕上がっているために、葉底が黒く変質しているようです。
南天公司の周琮氏が孟海茶廠と技術交流したときに、この「天字沱茶90年代」のベースとなる「大益甲級沱茶」の渥堆発酵に対して、特別な注文をしたと考えられます。
+【版納古樹熟餅2010年プーアル熟茶】

天字沱茶90年代初期プーアル茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶
ゆっくりと黒く赤い茶湯がにじみ出ます。
香りは弱く、熟茶のプーアール茶によくある土臭さなど全くありません。「重発酵」という言葉の印象とは逆に、味には透明感があります。いつものように程よく煎じると、香りや渋みがほとんどないため、ちょっと物足りない感じさえします。
ちょっと濃すぎたかな?と思うくらいに煎じると、穀物のような風味に、ちょっとだけ苦味や酸味が効いて、お茶ではない別の飲み物のようです。
何煎かすると苦味は弱まり、甘味が際立ちます。さらに煎じると、味は弱くなるものの、かすかに薬味や陳香の年代モノの生茶の風味に近づきます。
このお茶は濃いめに淹れ、3煎めくらいまでの苦味と酸味を楽しむのが面白いと思います。

天字沱茶90年代初期プーアル茶
天字沱茶90年代初期プーアル茶
5煎めの茶葉(葉底)です。
かなりくたびれてポロポロで黒々としています。
2級~5級の混合茶葉です。
ちらほらと見える小さな若葉は、色に赤味が強く、熟成の良さが現れています。

天字沱茶90年代初期プーアル茶

天字沱茶90年代初期プーアル茶

茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gの茶葉でどのくらい飲めるか?】

保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】

+【店長にメール】


【プーアール茶リストに戻る】

プーアール茶・プーアル茶の専門サイト

請別轉用盗用本网站的文章和照片
当サイトの文章や写真を転用しないでください
Copyright puer-cha.com All rights reserved.