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後期紅印鉄餅プーアル茶

hou qi hong yin tie bing cha

後期紅印鉄餅プーアル茶
後期紅印鉄餅プーアル茶

後期紅印鉄餅プーアル茶 1枚 約360g
2008/02/07 終了

製造 : 1980年代末期
茶廠 : 下関茶廠製造、昆明茶廠販売
茶山 : 西双版納孟海茶区
茶樹 : 大葉種
茶葉 : 3~6級
重量 : 350g~370g
工程 : 生茶
倉庫 : 香港乾倉3年、台湾常温倉10年

甘味
●●●●○ 強い甘味
渋味
●●●●○ おっとりした渋み
とろみ
●○○○○
酸味
●●●○○ さっぱり
苦味
●●●●○ 軽快なほろ苦味
香り
●●○○○ 梅香、樟香、棗香
熟成度
●●●●○ 倉庫での熟成強め

西双版納の茶葉、カチカチの圧延、倉庫での強い熟成。
この3つの条件の組み合わせは稀であり、個性ある風味に仕上がっています。

鉄の鋳型で作られたことと、鉄のように硬く押し固められた茶葉の様子から、「鉄餅」と呼ばれる円盤型のプーアル餅茶の一種です。
1950年代初期から、プーアル茶の三大茶廠(メーカー)の、孟海茶廠、下関茶廠、昆明第一茶廠が鉄餅を作り初め、現在もつくられています。年代や保存熟成の具合はいろいろで、ピンからキリまであるお茶です。

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鉄餅は大きく分けて三種類あります。

1.  圓茶鉄餅
2. 昆明七子鉄餅
3. 中茶牌鉄餅

それぞれ、メーカーや、圧延技術、茶葉が異なります。
参考文献:
『深邃的七子世界』 著者:陳智同氏 2005年10月 五行圖書出版有限公司
『七子餅茶事典』(国際版)著者:張弘陸氏 2004年2月 五行圖書出版有限公司

■圓茶鉄餅
この「後期紅印鉄餅プーアル茶」も「圓茶鉄餅」の系列です。
1950年代初期に、「早期紅印鉄餅圓茶」、「早期藍印鉄餅圓茶」、「早期黄印鉄餅圓茶」が生産されました。この中の「早期紅印鉄餅圓茶」が、もっとも古い鉄餅とされています。この三つの鉄餅は、一度しか作られていません。当店でも過去に 「早期藍印鉄餅圓茶」を扱っております。
+【早期藍印鉄餅50年代】

「早期紅印鉄餅圓茶」と「早期藍印鉄餅圓茶」の違いは、茶葉の大きさが紅印のほうが大きめで、藍印は小さめです。また、加工の問題か、藍印の茶葉には粉になった茶葉が多く含まれます。このことから、紅印のほうがやや高価になるため、藍印に紅印の包み紙着せた偽モノが多く、「紅皮藍骨」と呼ばれています。
1950年以降にも、「圓茶鉄餅」の複製版が何度か生産されており、 このお茶「後期紅印鉄餅プーアル茶」は「早期紅印鉄餅圓茶」の復刻版として、1980年代末頃に香港の茶商からのオーダーにより、一度だけ生産されたものです。さらにこの「後期紅印鉄餅プーアル茶」の復刻版が、1990年代の中頃から1990年代末ごろにかけて2~3回生産されています。復刻版ではありますが、包装紙の字体や文字の色などはそれぞれに異なります。

早期藍印鉄餅50年代
裏面に窪みのない餅茶。早期藍印鉄餅50年代 (プーアール餅茶)
「早期藍印鉄餅50年代」
裏面には、餅茶特有の中心部の窪みがありません。
「圓茶鉄餅」は、下関茶廠がつくったとされています。下関茶廠の他の製品と飲み比べたときに、どこか共通する風味が感じられます。

■昆明七子鉄餅
昆明茶廠の「昆明七子鉄餅」は1970年代に生産されたお茶です。残念ながら、実物が手元に無いので、写真を掲載できません。包装紙には、「中茶牌」と印刷されていますが、次に紹介する「中茶牌鉄餅」とは別モノです。
餅茶の形、餅面(餅茶の表面)が、 「圓茶鉄餅」と同じで、裏面には窪みが無く、鉄の型のポツポツした跡があります。
1990年代中期までは、「圓茶鉄餅」と「昆明七子鉄餅」だけが鉄餅と呼ばれていましたが、これは、この二つの外見が共通することからです。
「昆明七子鉄餅」は市場での人気がいまひとつですが、その理由は、保存状態の良好なものが少ないためだと言われています。

■中茶牌鉄餅
下関茶廠が1970年代~現在も生産しています。
「中茶牌鉄餅」も、鉄の押し型が使用されていますが、写真のように、餅茶の側面は丸みがあって、裏面の中央はへこんでいます。つまり、布で茶葉を包んでから型にはめる圧延方法がとられています。

中茶牌鉄餅プーアル茶
中茶牌鉄餅プーアル茶
「中茶牌鉄餅」は包み紙の印刷文字に「簡体字版」と「繁体字版」との2種類があります。さらに、「簡体字版」には印刷されている公司(会社)の文字数の違うものが3種ほどあります。(写真のは標準版といわれるもの)
+【中茶牌簡体字鉄餅プーアル茶】

鉄の型の特徴は餅面(餅茶の表面)にはないですが、圧延が強いのが多いため、これも鉄餅と呼びます。
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■このお茶「後期紅印鉄餅プーアル茶」について

後期紅印鉄餅プーアル茶
包装紙は木綿紙です。印刷の文字の色は朱砂色です。「早期紅印鉄餅圓茶」の複製品ではありますが、 字体のデザインは異なります。偽物目的でつくられたのではなく、良品の復刻版としての目的で作られています。

後期紅印鉄餅プーアル茶の表面
後期紅印鉄餅プーアル茶の裏面
上:表面
下:裏面
裏面の中心部にある窪みがなく、フラットです。下関茶廠でつくられましたが、原料となる茶葉は、西双版納の孟海茶区のものが使用されています。これは、モデルとなった「圓茶鉄餅」の作り方に沿ったものです。茶葉は3級~6級がブレンドされており、表面や裏面に異なる等級を配置する「配方」は行われておらず、まんべんなく混ざっています。

後期紅印鉄餅プーアル茶の側面
側面は削ったようにシャープで、布を使用せずに鉄の型のみで作られた特徴があります。

後期紅印鉄餅プーアル茶と早期藍印鉄餅圓茶50年代
「早期藍印鉄餅圓茶50年代」と比べてみると、かなり薄いです。もっとも年数が経つにつれ、茶葉と茶葉の間があいてくるので、後期紅印鉄餅プーアル茶も多少は膨れてくると思います。

7592七子餅茶プーアル茶と比べて
写真の左は「7592七子餅茶プーアル茶」、右は「後期紅印鉄餅プーアル茶」 どちらも七枚入りの七子餅茶です。一般的な七子餅茶との厚みの差は、これほどまでにあります。

後期紅印鉄餅プーアル茶の内飛
内飛(茶葉に埋める四角い紙)。一般的には内飛は茶葉の外に見えるようにされるものなのですが、これは茶葉の中に完全に埋め込んであります。布を使用しないため、技術的な問題があるのかもしれません。 この写真は、慎重に崩して取り出したものです。

後期紅印鉄餅プーアル茶の包み紙
後期紅印鉄餅プーアル茶の白露
香港の茶商の倉庫に長年入っていたため、その形跡の白露が残っています。香港の倉庫は、加湿をしなくとも夏の間の湿度が高いため、茶葉は湿ります。そのときに成分が浮き出て白くなるのが白露です。温度と湿度が適切であれば、熟成具合に問題はありません。包み紙も、茶の色に染まっている部分があります。


鉄餅は押し固められて茶葉の隙間が少ないせいか、茶葉に湿気が溜まると、逃げにくくなり、表面はキレイに見えても、中身に白露の付くものが多いのです。
一般的な布を使った圧延加工された餅茶は、茶葉のすきまも適度にあって、湿気が逃げやすく、このようになることはありません。
白露が出るほどに熟成したものは、強い甘味と独特の発酵臭があります。その一方で、強い圧延によって内側の茶葉は新鮮な風味を逃がしにくい特性があり、こられの条件が重なって、鉄餅独特の風味に仕上がります。

後期紅印鉄餅プーアル茶
餅面(餅茶の表面)の茶葉はとても美しいです。変色して赤味が増して、ツヤがあり、熟成状態の良い様相です。

後期紅印鉄餅プーアル茶
後期紅印鉄餅プーアル茶
煎じると、透明度の高い、琥珀色になります。
3~4煎めくらいまでは、強く熟成した鉄餅に特有の風味があります。干し葡萄のような熟れた香り、かすかにスパイスのような刺激臭もあります。それをカビ臭いと感じる方もあると思います。この香りは香港の茶商の倉庫に特有のものです。当店で過去に扱った「7581雷射磚茶88年」にも共通しますが、このお茶には「シナモン」のような香りがあると書いています。
+【7581雷射磚茶88年プーアル茶】

このお茶「後期紅印鉄餅」は生茶なので、渋みや苦味が効いているため、甘さ控えめに感じますが、実際のところは強い甘味があります。

この個性ある風味が、鉄餅の好きにはたまらないようで、わざわざ濃く淹れてこの味を楽しみますが、普通に美味しく飲むためには、むしろ3煎めくらいまで、あっさりと淹れたほうがよいでしょう。
3煎めを超えたあたりから、渋みや苦味が薄れて、強い甘さとまろやかさが際立ちます。人を選ばない味になります。煎じるごとに味の表情が変わりますが、10煎を超えても甘味は続きます。下関茶廠のお茶に共通する甘露の甘味です。


後期紅印鉄餅プーアル茶の葉底
葉底(煎じた後の茶葉)には、「一芽二葉」と呼ばれる、二つの茶葉が茎でつながっているのが多く見られます。緑茶の銘茶の「龍井茶」にも、このタイプの葉が使われています。早期藍印鉄餅に比べて明らかに大きめの茶葉です。また茶葉の色は赤みが強いです。強く熟成されている色です。

後期紅印鉄餅プーアル茶

また新しい情報があれば、ここに文章を追加してゆきたいと思います。

後期紅印鉄餅プーアル茶 1枚 約360g

茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gのプーアール茶葉でどのくらい飲めるか?】

保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】

+【店長にメール】


つぎにこのプーアール茶はいかがでしょうか?
83鉄餅プーアル茶
+【83鉄餅プーアル茶】


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