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【オリジナルのお茶の記録】


巴達古樹青餅2010年プーアル茶 その5

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巴達古樹青餅2010年プーアル茶

■圧餅
圧餅とは、毛茶を円盤型の餅茶にする工程です。
2010年春は、西双版納のメコン川を境に東側と西側の異なる2つの風味を選びました。
圧餅の技術もまた、東と西では少し異なります。
易武山の圧餅は地元の易武山で行ったので、巴達山の圧餅はやはり巴達山の地元の孟海鎮で行います。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

孟海県の中心の孟海鎮には、最新設備を備えた茶廠(メーカー)が多く集まっています。孟海鎮の郊外にはダイ族の水田地帯が広がっていて、ところどころに丘があります。その丘のあたりにはだいたい茶廠の敷地があります。

友人の紹介などを頼りに3軒ほどを見学し、そのうちの一軒を選びました。その茶廠は伝統的な石型の圧餅にも実績があります。
石型の圧餅技術は、もともとは東側の易武山に歴史がありますが、近年は西側のお茶づくりにも使用されています。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

4月12日の撥水節のお祭りの終わってから巴達山に上がり、残っていた紅茶づくりを終えて、4月18日の早朝まだ暗いうちから、毛茶を乗せたトラックが孟海に向けて出発しました。

巴達山は孟海県に所属しますが、茶廠(メーカー)のある孟海鎮までは約120キロの道のりです。舗装のない悪路を下るので、スピードは出せません。ゆっくり走るトラックが孟海の茶廠に到着したのは午前9時でした。
到着後すぐに計量です。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

茶廠に支払う圧餅の手数料は、毛茶の重量で見積もりされます。包装紙や外包みの竹の皮まで細かく計算されます。

ちなみにこの茶廠の年間の圧餅の総重量は300トンに達します。単純に計算しても1日1トンの毛葉を圧餅していることになります。1枚357g標準の餅茶であれば、1トンは約2800枚分に相当します。そのほとんどが石型ではなく鉄型の機械圧延です。

当店のオーダーはそれに比べるとごく少量ですが、石型のラインを1日貸し切りにしてもらいました。時間がかかるためです。
餅茶の1枚の重量は標準の357gよりも少し大きめの385g。
この茶廠の技術であれば、およそ誤差10gの範囲で仕上がります。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

圧餅のラインは、毛茶の計量に2人、布にくるんで蒸す工程に2人、石型で圧延する工程に2人、全体をフォローする1人。合計7人の職人たちが目まぐるしく入れ替わり立ち替わり、あっというまに餅茶が棚に並んでゆきます。

高温の蒸気の噴き出す台は2機。蒸し器に入れて柔らかくなった毛茶を布でくるんで成型し、再度蒸し器で整えます。この作業は熱い蒸気に当たるので、30分ほどで職人が交替します。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

石型は78個。布にくるんだ茶葉に石型をドスン!と落して、上に乗って揺さぶります。そのまま10分ほど置いてから石型を外して、布ごと棚に並べます。粗熱が冷めてから布を外します。

石型はすべて易武山の石です。
石型を取り付けたタイプの圧延機械もありますが、やはり人が上に乗って圧力を加えるのとは仕上がりが異なります。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

石型に人が乗って揺することで、茶葉と茶葉が微妙に動いて隙間を埋め、しっかり緊密に詰まります。
しかも、手で崩しやすい程度の堅さになります。

機械圧延は処理が速く量産に適しているのですが、孟海の茶廠に機械圧延の多いのはもう一つの理由があります。それは熟茶づくりのためです。熟茶は発酵により茶葉の粘着力が弱くなっているので、石型では力が足りません。孟海では熟茶の生産量が圧倒的に多いので、機械圧延が主流となっています。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

また、圧延後の乾燥工程にも東西の違いがあります。
易武山の乾燥は天日干しで仕上げるのに対して、孟海の乾燥は「(火共)干」と呼ぶ室内の熱風乾燥で仕上げます。

当店の持ち込んだ毛茶は午後5時にはすべて圧餅が終わり、「(火共)干」室に入りました。次の日の朝には乾燥が終了します。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

(火共)干室はぬるめのサウナくらいに温度が設定されていて、天井扇がゆるい風を送っています。途中何度かパレットの入れ替えがあり、ムラのないように餅茶を乾燥させます。

(火共)干には賛否両論があります。それによる独特の風味が生じるのではないか?という問題についてです。
結論から言うと、(火共)干にも技術差があります。技術の良い茶廠が手掛けると、それはまったく問題視することではありません。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

また、孟海の茶廠で熱風乾燥されるのは、太陽光線が易武に比べて強すぎるせいもあります。空気が比較的乾燥している孟海は、強い太陽が照りつけます。下手をすると表面の茶葉が火傷するのです。

■包装
餅茶の乾燥が終わると包装です。
餅茶を1枚ごと手すき紙に包み、7枚1組を竹の皮で包み、それを1筒と数えます。6筒42枚を1つの竹の編み籠に収めたのを1件と数えます。

竹皮を包む作業は熟練を要します。
竹皮はあらかじめ水で濡らして柔らかくしてあります。ひごをぐるぐると筒に巻きながら、結び目をつくってまた次のひごへと手を伸ばし、2つの手では足りないので、2つの足が筒を支えたり、ひごを押さえたりして、まるで獲物を捉えた蜘蛛のような手足の動きです。

大手メーカーの量産品ではすでに竹皮の使用を止め、紙の包みになっています。衛生上の都合という言い方をしていますが、実のところは職人の人手不足です。

巴達古樹青餅2010プーアル茶

餅茶を直接包む包装紙は、雲南省大理の「笙」を原料にした手すき紙を選びました。この手すき紙は年数が経つほどに柔らかく餅茶の形になじむ性質があります。

これで、『巴達古樹青餅2010年』は完成です。
手配した車で茶廠から餅茶を引き取り、町の保存場所に移動させます。

■その6 品茶(つづき)

+【巴達古樹青餅2010年プーアル茶 その6】


巴達古樹青餅2010年 1枚 380g


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