
| プーアール茶と茶虫 主に茶商の倉庫で、大量の茶葉が長期保存される過程で、多くの茶葉に虫がつきます。 茶葉につくのは、蛾の一種の幼虫ですが、それは茶葉の価値を落とすものではないため、茶商の倉庫では対策をしません。対策のしようがないというのが、実際かもしれません。 また、年代モノの高級なプーアル茶では、茶虫の跡を、年代や保存環境を知る手がかりにすることもあります。
このプーアル茶は小緑圓茶1970年代のモノです。 人気の銘柄で、高級ですが、茶虫が茶葉を食んだ跡が残っていることが、年代モノのプーアル茶にはとくに多くあります。
![]() 「早期紅印春尖散茶プーアル茶」1950年代です。 散茶に茶虫が巣をつくった繭(マユ)の跡があります。茶葉を摘み上げたときに、白い綿のような繊維で茶葉がくっついています。そのまま煎じて飲んでもまったく問題はありません。
![]() 「厚紙8582七子餅茶プーアル茶」1985年です。 餅面(餅茶の表面)に茶虫が白っぽい繭(マユ)を作った跡があります。 茶虫の跡はありますが、虫はすでに存在していません。 茶商の倉庫にある間の、毎年3月頃の春先だけに発生し、5月の連休ごろには居なくなります。成虫の蛾になって飛んでゆく行きます。 小売店の店頭にならぶ頃には、たいがい居なくなっておりますので、当店からお客様に発送する茶葉にも、虫が残ることはまずないでしょう。 プーアル茶が作られて茶商の倉庫での保存期間が10年くらいまではつきやすく、さらにそれ以上の長期保存されたものにはつきにくくなるようです。
![]() 茶商の倉庫での写真です。 ちょうど3月の春先の新しい茶虫の繭(マユ)です。 マユの白さが鮮明で、まだ新しいことを示しています。 右の写真には、茶葉に埋もれている茶虫のオレンジ色の頭がちょっとだけ見えます。
![]() 茶虫です。 写真では大きく見えますが、指のつめ先もない小さな虫です。 こんな小さな体なので、茶葉をかじるといっても、茶葉の重量が減って商品価値が下がるほどにはなりません。また人を噛んだりはしませんので無害です。 左の写真の茶虫の周りの黒い粒状のものは、茶虫の糞ですが、それがカラカラに乾燥したものは、漢方の原材料として珍重されます。「虫屎茶」と呼ぶこの漢方材料は、胃や腸の治療に使われます。 右の写真は20年もの(虫屎茶をさらにプーアール茶のように自然発酵で熟成させたもの)。お茶屋さんよりも、漢方屋さんに流通しています。広西省のほうで作っているので、広西の地方の茶葉が原料になっていると思われます。 同じ倉庫内の若いプーアル茶の茶葉にも、茶虫がつく茶葉と、つかない茶葉とがあります。同じ銘柄で同じ製造年月日の茶葉でも、茶虫に好まれるのと好まれないのとがあって、茶虫に好まれるほうが、人間にもおいしいお茶だといいます。
![]() これは、「早期7572七子餅プーアール茶」 1975〜1983年製造の高級な餅茶のひとつです。 必ずと言っていいほど茶虫に食われた後が包装紙に残っています。それが不思議と、包装紙の真ん中の「八中茶」商標の周りをドーナツ状に茶虫が穴を空けた跡があります。ほとんど例外なく、このようになるので、このお茶を鑑定するひとつの手がかりになっています。 みかんの農家で、虫食いや鳥のつついたみかんの糖度は高いと聞いたことがあります。まだ青い色をしたみかんでも、糖度の高いものは鳥につつかれ、赤くなっていても、糖度の低いみかんはつつかれないのです。虫や鳥には、糖度を見分ける眼があるとしたら、お茶のおいしさを見分ける眼が、茶虫にはあるのでしょう。 包み紙だけを食べる虫も居ます。 「銀魚」と呼ばれます。これは古い本などにもつくごく小さな虫で、日本にも居るので、見たことのある方も多いと思います。
![]() プーアル茶の包み紙は、年代によって紙の質がことなるため、この銀魚にすかれる紙と、好かれない紙とがあります。 昔ながらのやりかたで手すき和紙のようにして作られた紙が、銀魚にとっては美味しいらしく、現代の大量生産されている紙は、虫も食わないということですから、この点においても、プーアル茶鑑定の目印となります。
![]() さらに、これは竹の皮の包みにつく虫ですが、上記の茶虫や銀魚とは別のものです。この虫の姿はまだ見たことがありません。詳しいことが分かり次第ここに紹介いたします。 |