|
プーアール茶のある中国は、発酵食品大国です。 日常の食生活に発酵食品がかかせないものとなっています。 ![]() 野菜市場には、漬物、味噌、豆腐の発酵したものなどいろいろあります。 料理には、 豆板醤や黒酢など調味料にも発酵食品がふんだんに使われています。 身近な発酵食品をいくつか挙げてみます。 紹興酒(黄酒とも呼ばれます) ![]() もち米を原料とした醸造酒で、クコの実、蜂蜜などが加えられ、独特の風味のあるお酒です。紹興酒の里、「紹興」(上海から汽車で南へ5時間)では、鑑湖の水でつくることが肝心とされています。クモノスカビなど様々な菌の働きで発酵する麹は、複雑な味をつくります。黄麹しか使わない日本酒と異なる点です。瓶に入った20年物などは絶品のまろやかさです。瓶の蓋はハスの葉と竹の皮で密封され、緩慢な熟成がすすみます。 ![]() 上海にも出店している紹興のレストラン「咸享酒店」です。この店の紹興酒は、「太雕酒」といわれ、すべて瓶から汲み出されます。グラスコップに注がれる黒い濃厚な紹興酒は、とても上品な甘い香りがします。 紹興酒はあらゆる中華料理の味付けに、調味料としても活躍しています。 ![]() 紹興酒のつまみは、なんといっても紹興の名物「臭豆腐」です。豆腐を漬け物の汁に漬けて発酵させたものです。納豆菌と酪酸菌(それとアオカビもある?)で発酵するので臭くて、はじめて食べたときは、吐き出しそうになりましたが、3回めくらいからは体が求めてやまない風味となります。 さらに、紹興の菜っ葉を乳酸発酵させた漬物で煮た豚の角煮。脳がゆれます。いつまでも飲んで食べて、このまま死ぬまでそうしていたいと思えるような味わいです。 皮蛋(ピータン)です。 ![]() 泥と籾殻でタマゴが覆われているまま売っています。 ねっとりと舌にへばりつく黄身の部分は、蟹味噌やウニを思わせる濃厚な味です。ちなみに1個約15円。泥作りが、おいしいピータンをつくるポイントらしいです。発酵した泥の成分が、タマゴに成分変化を起こさせ、独特の風味をつくります。お母さんが漬物をつくるために、米ぬかで糠床をつくっていたのを思い出します。 腐乳 (フールー)です。
ひとことで言うと、豆腐の塩辛チーズです。琉球王朝の時代に沖縄に伝わって、もっと塩分を減らし、泡盛で漬ける「とうふよう」が生まれています。写真のものは白胡麻油に漬かっていますが、紹興酒の酒粕や、唐辛子味噌や、青カビ発酵、赤麹発酵のものなど、バリエーションがあります。 口に入れた瞬間ピリリと感じる、乳酸菌による発酵の特有の酸味があります。チーズのような豆腐のような感じで、しかもかなり塩辛いですが、酒に合います。塩が強すぎる場合は、1時間ほど焼酎か紹興酒にでも浸けると少し塩が抜けます。中国ではこれをペースト状にして、鍋物のタレなど、調味料として使用します。 火腿(中華ハム)です。
金華地方のが上等とされるので、金華ハムとも呼ばれます。 豚のもも肉に青カビ?がつけられ、熟成されます。上の写真は、すでにカビが削ぎ取られ、ぶつ切りされた状態です。通常は、豚の腿そのままの形でぶら下げられています。 カビが肉の水分を吸収し、肉は乾いてカチカチになり、重量はもとの半分以下になります。酵素の働きにより。蛋白質がアミノ酸に変わり、うまみ成分の塊りとなっていますから、スープなどに使われます。脂肪が分解されているので、スープにしてもほとんど油が浮きません。鰹節と似ています。 これを何本もぶら下げた自転車が、「ビトン」と地面に落としているのをたまに見かけますが、中国の衛生観念ではお構い無しです。しかし、火腿のカビが、他の雑菌を寄せ付けない成分をつくっているので、自然の抗菌加工があると考えられています。 発酵食品は、菌や酵素などの働きで、栄養価が高くなったり、体に吸収されやすくなったり、独特の風味を持ったりしています。そして、生ものに比べて保存ができます。 日本のテレビ番組で、 (たぶんこれです| NHK人間講座 | ) 発酵食品研究家の小泉武夫さんが話していました。 発酵食品の味というのは、苦い、酸っぱい、など、これは腐っているよ!とか、これは毒だよ!という警告味があります。はじめて食べると、たいがいまずいと感じるものです。しかし、何度か食べるうちに、舌がうまみ成分を見つけたり、体が栄養価値を感じます。そうすると、この食べ物はおいしいんだと、体が覚えるそうです。 そういえば、ビールの苦さも、子供のころは嫌いでしたが、大人になると、その苦さがうまさです。 前置きが長くなりましたが、プーアール茶は発酵のお茶です。 長年熟成された風味のは、独特のものがあり、ファンを魅了しています。
写真は、生茶の30年ものですが、 なにも言わなければ、枯れ葉の堆積した土のようにも見えます。 うまいものを食べた体には、プーアール茶です。 それは、中国の食を代表する広東料理のある華南地方の昔からの食文化です。 飲茶(点心)のお茶は、プーアル茶です。 飲み慣れないプーアル茶を 一度や二度飲んだだけで、「なんだ、こんなもんか」と棚にしまいこんでいませんでしょうか? プーアール茶は発酵食品ですから、体が味を覚えるのに、少し時間がかかります。 |