製造 : 70年代後期
茶廠 : 孫義順茶荘(後継のメーカー)
茶山 : 安徽省
茶樹 : 小葉種
茶葉 : 1級~4級
重量 : 450g
工程 : 熟茶
倉庫 : 乾倉
安徽省の黒茶、六安茶の1970年頃のものです。
六安茶の歴史は古く、明朝(1368年~1644年)から存在します。
後発酵させる黒茶の歴史にはいろいろ説があるそうですが、例えば、北宋熙寧年間(約西暦紀元1074年)の文献には緑茶の色が変化して黒色になるということが書かれているようです。
中国には、湖南省、湖北省、四川省、広西省、雲南省に、黒茶をつくっているところがあります。もちろんプーアール茶も黒茶と分類されます。
黒茶の多くは、緊圧茶として固形にされます。保存のきく黒茶は、遠方の地へ販売することができ、馬や人が運送するのに便利な固形にしたのでしょう。黒茶で作った緊圧茶には、黒磚茶、茯磚茶、花磚茶、湘尖茶、青磚茶、方包茶、康磚茶、六堡茶、圓茶、緊茶など様々です。
六安の茶葉とプーアール茶の茶葉は種類が異なります。
六安の茶葉は、小葉種茶樹のもので、プーアル茶の茶葉は、雲南省の大葉種茶樹です。
六安の茶葉も、 後発酵させない元の茶葉は緑茶と同じものです。
六安瓜片というお茶は、緑茶としてつくられ、安徽省の銘茶とされています。
安徽省の緑茶、六安瓜片(別名「片茶」)です。
六安は主な生産地「六安州」(旧行政区の名前)から命名されており、それは、六安(ろくあん)、金寨(きんさい)、霍山(かくざん)の3つの県が含まれています。
瓜片とは、瓜の種のような形の丸みのある茶葉から命名されています。緑が鮮やかで、茶葉の大きさが比較的均一で、薄く繊細なのが特徴です。
六安瓜片の焙る工程はほかの緑茶よりやや複雑です。
六安瓜片の加工:
殺青(加熱) ― 揉捻(揉む) ― 晒乾(干す) ― 「火共」乾(焙る) ― 篩分(ほぐす) ― 撼箕(ゆさぶる)
他の緑茶の加工:
殺青(加熱) ― 揉捻(揉む) ― 乾燥(干す)
安徽省の六安の茶葉の産地、六安県、金寨県、霍山県の茶園は、海抜約500メートル、年中の降雨量が約1200~1400ミリメートル、年平均温度は約15.3度、土壌のPH値は約6.5ぐらい、土層が厚く黄棕土と、茶葉に適した自然環境にあります。その茶園のある山の50%は森林として残され、生態環境が維持されています。
とくに、金寨県のある山の斜面には大きな洞窟があり、その洞窟に数千万匹のコウモリが生息しているそうです。コウモリの排泄物を肥料として使用ているため、化学肥料を使う必要がないとのことです。
金寨県の茶葉の多くは、黒茶の六安茶として使用されています。
六安の茶葉は収穫されてから二つ分けられます。
1つは、黒茶に加工する六安茶
1つは、緑茶に加工する六安瓜片
黒茶にする六安茶には、茶葉の新芽の先端の一芯二葉、一芯三葉のところが使用され、その下の少し大きめの茶葉が、緑茶の六安瓜片に使用されます。
写真は黒茶の「六安茶70年代後期」(このお茶)です。
六安茶は、明朝の時代(1368年~1644年)から全国に知られるようになったようですが、そのメーカーとして最も有名な茶荘が、「孫義順茶荘」です。孫義順の創業年は不明ですが、宣統元年九月初八(西暦約1900年)に、六安茶のコピーモノが多いため、孫義順茶荘が皇帝に保護令を申請し、専売特許のようなものを得ています。黒茶の「六安茶」は、孫義順茶荘のもののみということになります。その頃の孫義順茶荘は自社でつくって自社の店舗で販売していたようです。
孫義順六安茶の加工:
― 殺青(加熱)
― 揉捻(揉む)
― 晒乾(干す)
― 「火共」乾(焙る)
― 篩分(ほぐす)
― 撼箕(ゆさぶる)
― 1級~4級の茶葉を選ぶ。
― 「火共」乾(焙る)
― 夜露(夜露にさらす)
― 薫蒸(蒸す)
― 籠に入れる(熱いうちに籠に入れる)
― 再「火共」乾(炭火で焙る)
― 2~3年後に販売
陳香(樹皮やお香のような古い香り)が大切な六安茶は、2~3年保存して熟成させてから販売されていたようです。熟成のときに活躍するのは、金花カビをはじめとした菌類のグループであるとされていますが、詳細は当店にはわかりません。しかし、六安茶には、金花カビの黄色い粉のような胞子がところどころに見つかることがあります。
プーアル茶にも、保存熟成中のものに金花カビが見つかることがあります。メーカーで熟茶をつくる「渥堆」のときに活動する菌のグループは、金花とはまた異なるようです。
この六安茶の金花カビです。
乾燥した環境で死活しているので、色は褪せています。これには栄養や旨味があるため、このまま茶葉といっしょに煎じて飲みます。
当店の扱った老六安の金花。お客様から頂いた写真より
活動中のものは、金花の名前の通りの色をしています。
六安茶の、発酵によってできた成分には、暑さを除去する、消化を助ける作用があるとされています。
孫義順茶荘は、1943年に生産を終了しました。
1946年にシンガポールの茶商に権利を売りました。その後の経緯は不明です。
孫義順を離れた茶荘のスタッフが生活のために、黒茶である六安茶の生産を続け、現在でも六安茶として販売されています。つまり、1943年以降の六安茶はすべてレプリカものであるということになります。
ちなみに、1940年代の孫義順六安茶は、1籠が6つ連なって一組で販売されており、2007年現在の小売価格で100万円を超えるものもあります。
今回紹介する「六安茶70年代後期」は、1970年代にもかかわらず、孫義順茶荘と印刷された内票(茶葉に添付されている紙)が入っていました。おそらくは、孫義順茶荘の後継者の人々が作った六安茶ということでしょう。
内票は三枚あります。
内票に記された言葉:
葉底(煎じた後の茶葉)
黒々としています。小さな新芽の部分が多く、一芯二葉のものも見られます。
黒々とした茶葉の色のわりには、明るい栗色をしています。
甘さひかえめでさっぱりとした味わいと、舌に残るほろ苦味は、緑茶の六安瓜片と共通するものがあります。
また新しい情報があれば、ここに文章を追加してゆきたいと思います。
茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gのプーアール茶葉でどのくらい飲めるか?】
保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】
つぎにこのプーアール茶はいかがでしょうか?
沈香老散茶50年代プーアル茶
+【このプーアル茶の詳細】
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