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巴達古樹紅餅2010年紅茶 その4

ba da gu shu hong bing cha

巴達古樹紅餅紅茶

■品茶
圧餅で風味はどう変わるのか?
成形するために茶葉を柔らかくする高温の蒸気は約90度。
蒸したことによる水分が蒸発し、完全に乾燥するまでに約12時間。
そのうち水分が風味を変化させるに足ると思われるのは約4時間。
乾燥のための熱風は50~60度。

もしもこれがプーアール茶の圧餅なら心配はいりません。
なぜならプーアール茶の毛茶をつくる工程には「殺青」と呼ぶ火入れが先にあるからです。
「殺青」の茶葉に伝わる熱は70度を超えます。成分を変化させる酵素はその熱によっていったん活性を失います。
なので、その後にもう一度蒸したくらいでは、風味に大きな変化を与えることにはなりにくいのです。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

しかし紅茶の毛茶づくりには火入れがありません。
天日干しによって変化は止まっていますが、水分を得ると酵素はふたたび活性化して変化をすすめるかもしれません。

毛茶に酵素の活性が残っているかどうかは、簡単な実験によってわかるはずです。水分を含ませて軽発酵のときと同じように温度と湿度を保ち、数時間の変化を見るのです。
ところが、その結果には思ったような変化はありませんでした。

もしかしたら晒干の太陽光線によって酵素の活性が失われ、安定した状態になっているのかもしれません。もっともこれは眼で見た変化だけで、眼に見えない変化は不明です。
あれこれ考えている2日後に圧餅が仕上がりました。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

圧餅後の茶葉の表面から発する香りは、すでになにかが変わっていることに気付くことができるものでした。
摘みたての鮮花のようにツンとした刺激は圧餅後の茶葉には少なく、ドライフルーツのようにしっとり落ち着いた香りになっていました。

熱い湯で淹れて口に含むと、圧餅前には新鮮な花の香りとメントールのような涼しさがありましたが、圧餅後にはその涼しさと引き換えに、しっとりと甘く華やかで、いわゆる紅茶らしくなっていました。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

圧餅前の毛茶(写真左)と圧餅後の餅茶(写真右)の茶葉を何度も飲み比べをしているうちに、ある現象に気付きました。
試飲の後の茶葉を濡れたままの状態で次の日までおくと、毛茶は少し腐臭がするのに対して、餅茶はそれが無いのです。

このテストをしていた5月の西双版納の景洪市の気温は29度ほどあったので、濡れた茶葉を1日も放置すると腐りはじめるのはあたりまえですが、圧餅後の餅茶のほうが腐りが遅いというのは、火入れ効果が表れているものと思われます。
つまり、圧餅の工程による熱が、より茶葉の変化を安定させるのに一役買っているのです。

※追記
2010年06月:
毛茶と餅茶の風味がかなり接近してました。
2010年07月:
香りは逆転し、餅茶のほうがラベンダーのような新鮮な香りを留めています。
※圧餅の火入れ効果により、餅茶は変化が止まり、一方の毛茶は変化がすすんで、この違いになったと推測できます。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

圧餅は、その工程が火入れの役割をしています。
それが香りを引き出したり、長期保存にも有効になっています。固形茶という空気に晒されにくい形状で、この先もごくゆっくりと変化してゆくでしょう。
圧延の紅茶は、プーアール茶のように保存に強い性質があると言えます。

■年代の異なる紅茶との飲み比べ
2006年の「雲南紅茶」と味比べをしてみました。
4年の歳月の差と、古茶樹と新茶園の茶葉の違いがあります。
2006年の雲南紅茶は花のような香りはすでに消えていて、生茶の年代モノにも共通する「陳香」が出ています。スパイスや漢方薬を調合したような複雑な香りです。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

同じ地域の茶葉でつくられたものですが、基本的な香り、味の奥深さ、飲んだ後の爽快感、すべてにおいて『巴達古樹紅餅2010年』が勝ります。古茶樹のもつ成分の豊かさがはっきりと現れています。葉底(飲んだ後の茶葉)からは、茶葉の厚みや茎の太さに大きな違いが見つけられます。

後から考えると、古茶樹と新茶園の茶葉の違いがありすぎ、また圧延と散茶のままという違いもあるので、比較するのに適当ではなかったかもしれません。しかし古茶樹を使ったタイプの紅茶は、他には見つからないのです。

■保存について
雲南紅茶には長期保存を楽しめるタイプのものがあります。この『巴達古樹紅餅2010年紅茶』もそのひとつです。
どんな風味へと変化するのかは、保存場所によって微妙に異なります。

このお茶は雲南省西双版納の景洪市に保存しています。深い山に囲まれた盆地で、メコン川が中央に流れています。亜熱帯性気候が色濃くありますが、海抜650メートルほどの高原なので、夏は平均気温28度、冬は平均気温17度ほど(当店の観測による)と安定しています。年中爽やかな風が吹いて、雨の多い5月~8月でも室内の湿度75度を超えることは少なく、部屋の通気に気を付けるとカビの心配はまったくありません。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

ちなみにプーアル茶の長期熟成の盛んな香港や広東では、春から夏にかけて湿度90%を超えることが日常あり、紅茶を保存するには難しい環境です。香港や広東に50年モノのプーアル茶はあっても、50年モノの雲南紅茶は聞いたことがないのは、それが理由なのかもしれません。

日本の環境においては、日光の当たらない乾燥した室内で十分です。湿気が心配な場合は、茶葉が乾燥していることを確かめてから包み紙ごと密封できるビニール袋に包んで保存してください。お菓子や海苔など乾物についている乾燥材をいっしょに入れておくとなお良いでしょう。

何らかの理由で茶葉が湿気てしまったとき(紙包みごと手で持ったときに冷たく感じるくらい水分を含みます)は、晴れた日の太陽に2時間ほど晒してください。裏表まんべんなく乾かしてください。

紅茶の場合は飲みごろはすでにはじまっているので、10年、20年を待つよりも4~5年で飲んだほうが美味しさのピークを逃さずに済むのかもしれません。
しかし20年モノの雲南紅茶というのも現にあり、その得も言われぬ陳香と甘露の風味にとんでもない高値がついています。
どこまで長期保存するかは、最終的には個人の好みとなります。

巴達古樹紅餅2010年紅茶づくり

■飲み方など
餅面はモザイクな色どりが美しく、鼻を近づけるとかすかに甘い香りが誘います。手でも簡単に崩せますが、中央の堅い部分は千枚通しをつかってください。

まずはストレートでお試しください。
ミルクのまろやかさ、レモンの苦味、蜂蜜の甘味、花の香り、すべてがあります。あらゆる風味のバランスが取れるように、まずはあっさりと煎じてみてください。見た目は薄くとも、成分は濃厚です。

■その5 熟成(つづき)
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶 その5】


巴達古樹紅餅2010年紅茶 1枚 380g


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