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プーアール茶の里と自然環境 中国の南部、雲南省は、南にベトナム、ミャンマー、ラオスと接し、西にヒマラヤ山脈を望み、平均の標高が約2000メートルある大山岳地帯です。 雲南省のいたるところでプーアール茶の茶樹が自生していますが、古くから人による栽培があったとされているのは、雲南省の南西の端にある「西双版納(シーサンバンナ)」のメコン川上流域の山岳地帯です。 雲南省の省都の昆明から南西に約500キロメートル。飛行機ではたった40分で西双版納の中心の景洪市に到着しますが、その間にある3000m級の哀牢山、無量山の山脈が、北のシベリアから降りてくる寒気を通しません。このため、昆明では冬に雪が降ることもありますが、西双版納には雪が降りません。
![]() 雲の上に頭をだしている山脈が、雲の流れを止めている様子が飛行機の窓から見られます。 景洪市の中心には瀾滄江(メコン川上流)が流れており、景洪港から出る定期船に乗れば、ラオスを経由して、2日でタイのチェンセーンまでゆけます。また、新しい高速道路は、ほんの数時間でタイの国境までゆけます。 西双版納は、タイ族自治州で13の少数民族が暮らしています。内訳は、タイ族3割、その他の少数民族4割、漢族3割といわれています。37万人の人口(2005年)のうち22万人が農業に従事しています。 参照: 景洪市のホームページ ⇒【西双版納-景洪】(外部リンク) 気候がおだやかで、年中春のような気候といわれています。一日の気温差は大きいのですが、年間の気温差は少なく、夏は涼しく、冬は雪が降ったり霜が降りたりすることがないので、広葉樹は一年中緑の葉を落とすことがありません。山の風はおだやかで心地よく、すべてがゆったりとしています。
中国の中でも異文化の雰囲気を持つ西双版納は、近年は観光拠点として注目され、団体の観光客が押し寄せ、街や観光施設の建設が急ピッチにすすめられています。そして中国のどこでもある似たような街の景色、似たような観光施設、作りモノ(偽モノ)の文化の演出によって、本来の特色を失いつつあります。 しかし街を離れて山間の少数民族の部落へ行けば、この地の本当の生活を見ることができます。 美しい空、美しい山、心地よい風、そこに人も動物も虫も植物もバランスよく共に生きている様子は、まさに「桃源郷」です。 高等植物は世界で最も種類の多い地域で約5000種。西双版納固有の植物は約152種、絶滅危機類は約135種、生きた化石と呼ばれるの植物は約30種、農作物となる植物は約565種あります。 動物は約539種、鳥類は約427種。アジア象、虎、ニシキヘビ、コブラ、テナガザル、孔雀、白腹黒キツツキなど重要保護動物は約45種生息しています。 ![]() ![]() 山が深く、高低差があるため、一箇所に四季があるとも言われます。海抜が異なると、気候もことなります。 ■北熱帯気候 (海拔800メートル以下の盆地地帯) ■南亜熱帯気候 (海抜800−1500メートルの丘陵地帯) ■中亜熱帯気候 (海抜1500-2000メートルの山岳地帯) ■北亜熱帯気候 (海抜2000メートル以上の高山地帯) 低いところと高いところでは、温度差が15度ほどあり、車で移動するだけでシャツ一枚になったり、何枚も重ね着したりと忙しくなります。 この気候差を利用して、1000メートル付近の比較的低地には果物や野菜、1500メートル付近では工業用の原料となるゴムの木や観賞用の花、2000メートル付近では茶が栽培されるという具合に、多種多様な農産物が生産されています。 ![]() ![]() 近年もっとも需要が多いのは工業用のゴムです。中国の経済成長とともに、国内需要は増える一方です。かつては茶葉の産地のひとつであった「基諾山」の一帯は、この数年はゴムの木の生産基地として発展し、1日に1本のゴムの木から1人民元の原料が収穫されますが、山の所有者は30〜40万本のゴムの木を所有しているとのことなので、茶葉よりもはるかに高い収益が安定して得られています。 ■古樹茶について お茶の味は、茶樹の育つ土地に大きく左右されます。まったく同じ品種の茶樹が植えられていても、その土地によって茶樹の育ちは異なり、茶葉の風味もまた異なるものになります。茶葉の風味には、土質、湿度、温度、風、日光など様々な条件が関係していますが、西双版納で有名な茶園は、ほどんどが海抜2000メートルを超える高山地帯に多くあります。朝は濃い霧で茶葉が洗われ、午後からはカラッと日光に照らされます。 やや気温が低く、空が広く、日当たりがよく、風通しがよく、土質は粘土質に石灰質の岩や石が多く混じる条件下で、樹齢100年を越す古樹茶の根は深く張り、年が経つほどに栄養を求めてさらに深く張ってゆき、ミネラル分を多く含んだ地層に根が達するため、茶葉は独特の風味を持つと考えられています。
![]() ![]() 高い山にある古樹茶園は、その山に住む少数民族が管理していますが、管理といっても、短いはしごをかけたら手が届くくらいの高さに剪定されていることと、茶樹よりも威勢の良い木を放っておかない程度のことなので、知らない人から見たらちょっと背の低い雑木林のように見えます。 高い山は、低地ほどには木々が密集したり下草が蔓延らないので、収穫効率を求めなければ、あまり手間をかける必要がありません。
これらの茶樹はすべて樹齢100年を超えています。 もちろん農薬や化学肥料とは全く無縁です。人工の堆肥でさえ使われない茶園もあります。茶葉には虫がつき放題。樹皮には寄生植物やキノコ類が生え放題ですが、これでよいそうです。
茶園には、茶樹の間に樟などの広葉樹がところどころに生えています。 また、茶園のすぐそばにまで、人を全く寄せ付けないような原生林が迫っています。 茶葉を食う虫を食べる鳥や小動物などの棲家が確保されており、自然のサイクルの中にあり、生態バランスがよいため、低地の茶園のような害虫や病気の被害は少ないとされています。 茶山には野生動物も多く、茶摘には危険が伴います。なかでも野生の象が生息している地域では、茶園が象に荒らされることがあります。初夏の繁殖の季節は気性が荒く、山中で突然出くわした人が象を驚かせてしまって殺される被害が年に2〜3件あります。象は体の大きさに見合わず、山の急斜面をものすごいスピードで走れるので、人が走っても逃げられるものではないそうです。その他にも、野生の水牛、猪、熊、コブラなど、殺傷能力のある動物がいます。高い山の古樹茶園には山に住む人たちの案内なしでは入れません。
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山奥には、樹齢数百年から千年を超える古樹茶の大木が山を見下ろすようなところに根を張って生きています。 ![]() プーアール茶の茶葉は、大きくて肉厚な感じがします。椿属の学名「カメリアシネンシス」と呼ばれるもので、緑茶の茶葉と同じカメリア属ではありますが、種が異なるようです。厚みのある茶葉には、栄養分が多く、後発酵によって美味しくなる成分も多いと考えられています。 ■新しい試み 高い山の古樹茶は、近年拡大した市場の需要を満たすにはあまりにも少ないため、ホンモノの価格は高騰し、大量の偽モノ古樹茶の茶葉が市場にあふれています。 とくに春摘みの高い山の古樹茶を確実に入手するには、茶摘の現場にはりついて、まったく誤魔化しの仕様のないように四六時中見ているしか、100%の保障は難しいのですが、現実的な方法としては、味覚鑑定が頼りとなります。いくつかを同時に比較の出来る確実なサンプルがあれば、風味の違いははっきりとわかります。
高い山の古樹茶は難しいとしても、高い山の若い茶樹は、近年の需要に応えるために多く育てられています。 また、国営の研究所では、収穫効率の良い品種の茶樹をつくる試みや、有機栽培の技術が研究がされています。その結果、比較的安価で安定した風味のプーアール茶が作れるメーカーも出てきています。 次のページでは、各茶山ごとの特徴をまとめています。 ⇒【茶山と茶葉について】 |