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同興號後期圓茶70年代プーアル茶

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同興號後期圓茶70年代  プーアール餅茶 プーアル餅茶
同興號後期圓茶70年代  プーアール餅茶 プーアル餅茶

同興號後期圓茶70年代 プーアル餅茶 1枚 約370g
2010/09/17 終了

製造 : 1970年代
茶荘 : 易武同興茶荘(泰国)
茶山 : 易武山
茶樹 : 大葉種喬木古樹
茶葉 : 3級
工程 : 生茶
倉庫 : 香港乾倉ー台湾常温乾倉ー広州常温乾倉

甘味
●●●○○
渋味
●○○○○
とろみ
●○○○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●○○
香り
●●●○○ 糯米香、棗香、沈香、樟香、蘭香
熟成度
●●●●○ 倉庫熟成やや強め

1950年代に衰退した易武山の茶荘お茶です。
同興號の一族は易武山で絶えましたが、メコン川を下ってタイに移住した職人たちがお茶作りを続けました。1970年代の易武山の古茶樹を使用した、丹念な手の仕事があります。

同興號後期圓茶70年代  プーアール茶
同興號後期圓茶70年代  プーアール茶

茶荘「易武同興茶荘」は「同順祥号」という名で1733年に易武山の茶荘があつまる易武老街に創設されました。その頃易武山を含む旧六大茶山のお茶はヨーロッパと交易するための貢茶に選ばれ、広く名が知られるようになりました。易武山の山奥の小さな街は茶荘が軒を連ねて栄えました。同興號は、同慶號、乾利貞宋聘號、同昌號とならぶ易武山の有名茶荘のひとつとなります。
易武同興茶荘のように古い歴史があり、1950年代の国営化によって消滅した小さな民営の茶荘を「私人茶庄」 と呼びます。茶荘の名前に「○○號」とつくのが多く、そのままお茶の銘柄にもなっているので、この頃のプーアール茶は「號級」と呼びます。
「○○號」とは当時の茶業におけるメーカーの役割をする業者につけられた名で、その他に「○○行」は農家から茶葉を集めてくる業者、「○○桟」は仲介業者、「○○洋行」は貿易会社となっていました。
市場では最高値がつきます。「私人茶庄」 の歴史については、「沈香老散茶50年代プーアル茶」のページにて触れていますのでそちらもご参照ください。
+【沈香老散茶50年代プーアル茶】
参考文献:『普耳茶』台湾の壺中天地雑誌社出版
※易武同興茶荘は、文献によっては1897年創業と書かれています。
「同興號圓茶」は早期1930年代以前と後期1940年代以降とに分けらますが、早期の「同興號圓茶」の竹皮の包みが残っている七子餅茶は今や博物館に収められるほどの名品です。

同興號のあった易武老街
同興號のあった易武老街
同興號のあった易武老街

易武老街のかつて同興茶荘のあった場所には「同興號跡地」と看板があります。現在は小さな雑貨屋さんをしている茶農家の家になっています。
1948年中華人民共和国成立後、1950年代前後から農業や商工業の社会主義改革による国営化がはじまり、小さな民営の茶荘のお茶作りは国営の茶廠に引き継がれました。易武老街にあった茶荘は自由にお茶作りができなくなり、ある茶荘は廃業し、ある茶荘は国営工場の下請けとしてお茶作りをしばらく続けていました。
同興茶荘は1950年代にいったん消滅したことになっていましたが、分家した職人たちが隣国のタイでひっそりとプーアール茶や地元のお茶作りを続けていました。
タイは易武山の近くを流れるメコン川でつながっており、当時のプーアル茶の輸送ルートのひとつです。雲南省、ラオス、タイ、ベトナムを船で下って海へ出て、香港へ輸出されるルートがありました。
易武の歴史家の話によると、有名な茶荘の「乾利貞宋聘號」もまたメコン川を下ってタイへ移ったということです。


同興號プーアール茶

中国国内でもお茶作りが自由化された2000年頃から、易武山に「同興號」の名前を継承する茶荘が現れました。易武山の各茶園から仕入れた茶葉をメーカーに委託して圧延加工し、「同興號」が印刷された包装紙に包んで販売しています。茶荘の主人の話によると、同興號の親戚筋にあたるということですが、同興號を含む號級のお茶作りをしていた「私人茶庄」 は直系親族のみが継承してきた歴史があります。そのため、タイの「同興號」も正式な継承者であるかどうかは曖昧です。まして易武山の新しい同興號についは、これを正式な継承者と認めるわけにはゆかないでしょう。

同興號後期圓茶70年代  プーアール茶

この同興號後期圓茶70年代はタイで作られた品です。雲南の易武山の茶農家が製茶した毛茶を馬で運び出し、西双版納のメコン川の港から船に乗せると3~4日でタイの北部のチェンセーンの港に届きます。そこで茶葉を選んで圧延加工し、さらに川を下ってベトナムから海に出て香港に輸出された可能性が高いでしょう。


易武山の近くに流れるメコン川の支流の「南斑江」。
1970年代は香港の茶商の「南天公司」も同じようにしてタイでプーアール茶を作っていた記録があります。
+【南天公司/天字沱茶90年代初期】

1970年代以降にも同興號のブランドのお茶があります。それがタイのものかそれとも1990年代末頃から徐々に自由化された易武山のお茶作りのものか、当店ではまだ確認できていません。

同興號後期圓茶70年代 (プーアール餅茶・プーアル餅茶

餅茶の裏面の窪みが、孟海茶廠の餅茶に比べて小さいのが特徴です。

同興號後期圓茶70年代  プーアール茶
同興號後期圓茶70年代  プーアル茶

手作業による「揉捻」の跡があります。しっかりと捻れているのは、春摘みの若い柔らかい茶葉が使用された証です。表と裏の茶葉は均一で、1970年代の孟海茶廠ではじまった表と裏に別の等級の茶葉を配置する「配方」はありません。全体的にやや若葉が多いので、意図的に1芽2葉の茶摘がされたと思われます。
30年もの熟成による変化で、かんたんに手で崩すことができますが、號級の餅茶は石型もしくは木型を使用した古式の圧延加工です。あまり強く固まりません。

鼻を近づけると、かすかに木の皮や穀物のような落ち着いた香りがします。

同興號後期圓茶70年代 (プーアール餅茶・プーアル餅茶
同興號後期圓茶70年代 (プーアール餅茶・プーアル餅茶)

赤みのある栗色の茶湯です。
煎を重ねるうちに茶葉はゆっくりと開きます。5煎めくらいからは強い甘みと口の中にお香のような香りが立ちます。 白檀や沈香などお寺に漂うお香のような仏教の香りです。
厚みのある味は茶葉というより小豆や大豆など穀物の類から抽出された出汁のようですが、キリッとした酸味や口にスースーとする爽快感がお茶らしさを残しています。
お腹の底から温まる間隔は熟茶にも似ています。

美味しく淹れるコツがあります。
長年の熟成によって、茶葉の成分が浮き出ているせいか、はじめの1~2煎めが濃く出すぎてしまいます。それではこのお茶の繊細な美味しさを楽しめません。

同興號後期圓茶70年代 プーアル茶

この茶葉の表面に浮き出ている旨味をさっと湯で流すように薄く淹れて下さい。少し色が薄いかな?と思うくらいが適当です。

同興號後期圓茶70年代 プーアル茶
同興號後期圓茶70年代プーアル茶

茶湯が明るい栗色くらいのところですぐに杯に注ぎきります。このようにした同興號後期圓茶70年代の一番出汁には、爽やかな春の日を思わせるような風味が楽しめます。もしも間違って濃くなった場合は、お湯を足して十分に薄めてください。
三煎めくらいから、徐々に時間をとり、茶葉の内側からの風味を出すようにします。煎じるごとの風味の変化も楽しめます。


葉底(煎じた後の茶葉)です。
「一芽二葉」と呼ばれる、二つの茶葉が茎でつながっているものが多く見られます。「一芽二葉」で茶摘されたそのままの茶葉が使用されており、新芽や大葉、もしくは茎の部分を後に加えたブレンドはされていない様子です。

白い綿のようなものは、茶虫の繭(マユ)です。
茶虫は茶商の倉庫にあったときに活動していたもので、羽化して成虫になって飛んでいって茶葉に残っていません。 茶虫の活動の跡には一枚一枚に差がありますが、品質を落とすものではありませんので、あらかじめご了承ください。
+【茶虫の跡のあるプーアール茶】

同興號後期圓茶70年代 (プーアール餅茶・プーアル餅茶)

この写真は、同興號を崩したときにふたつに割ったものです。茶葉の内側も均等に同じ茶葉です。熟成はまんべんなく進んでいて、内側と外側の茶葉に風味の差はありません。

同興號後期圓茶70年代 (プーアール餅茶・プーアル餅茶)

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本號開(bang)悠久専購優
質正山銘茶精工選製
発行馳名前世界各地歓
迎選購特加此内飛爲
記  同興號監製
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内飛(茶葉に埋め込まれた紙)
内飛はコレクション価値もあるので、周りの茶葉ごと取り出して保存します。



同興號後期圓茶70年代 (プーアール餅茶・プーアル餅茶)

手押しの印鑑です。かすれたり、ボケたりして見えます。ひとつひとつインクの濃さやノリがちがいますが、そうしたものとご理解ください。

夏にはアイスで飲むのも美味しいお茶です。
濃いめに煎じて少し冷ましたお茶を、氷をたくさん入れたコップに注いでください。

同興號後期圓茶70年代 プーアル餅茶 1枚 約370g

量の目安にしてください。
+【5gの茶葉でどのくらい飲めるか?】


お客さまの感想

長野県K.Mさま
早速いただきました。 濃く出るといっていたので、少しだけ入れましたが、やはり支配権がすごいですね、そして、まろやかであまいお茶を楽しみました。くせも強くなく、お茶本来のまろやかさが印象的。この栗色はたまりません。好きな一品に加えられて良かったです。
このところ暑いので冷やして飲んでいますが、甘さが強いのは印象的で、舌にまろやかにまとわりつくような感じがとてもいい感じです。あとの余韻は、やはりさわやかな甘みが残り、つばがたくさん出ます。

東京都O.Kさま
入れ方が難しいお茶だと思いま すが、うまく入ったときは、とても素晴らしい、おいしいお茶です 。あるときは重厚な沈香の印象で「印級餅茶」の面影を偲ばせ 、またあるときは「七子紅帯青餅プーアル茶」のような > 易武春尖陳年生茶の独特な香りが漂い、しばらく樟香が続くと思うと、さらに煎を重ねていけば、 > 糯米のような香りがして、どうしてお茶でこんな香りがする のか、と不思議な感覚になります。特に理由はなくずっと手元に置いてあったので すが、飲み始めたらあっという間に無くなってしまいました。

北海道I.Kさま
穀物系の香りで、深みのある味です。五、六煎後はじわりと甘みが にじんできました。生茶らしい酸味も軽くあって、それが深みの元 でしょうか。軽い苦みもありますが嫌な感じではありません。渋みは ほとんど無いですね。飲んでいると体が温かくなり、汗も出てきました。 大きな茶葉で茎の部分も多く、味からも熟成された易武山の茶葉の感じが 良く出ているのでは、と初心者ながら思いました。とろみも多いのですが、 7~8煎ののち穀物系ポクポク感が無くなり、透明な甘みが残ります。 この種のお茶で定番と言いたいお茶ですね。

愛知県K.Kさま
淹れるのに慣れが必要です。最初淹れた時に茶葉を入れすぎて濃くなりすぎ、 このお茶の上品さが消えてしまいました。しかし、こつをつかんだ後はこのお茶の香り、“滑”、“順”の すばらしさに感動しました。非常にデリケートで上品なお茶だと思います。まだ40年も経っていないお茶ですが 50年オーバー物に匹敵するのではないでしょうか。

神奈川県 S.Eさま
10煎くらいして色が薄くなってきても香り味も衰えません。香りも味も煎じるほどに軽やかになって、花のような香りを感じます。ほんとうに美味しいお茶だと思います。実はまだ半分ほどあるのですが、売り切れないかと気になって仕方なく、リピートさせていただきます。

新潟県 AKさま
本当に美味しく、時間が経つのも忘れてずっと飲んでしまいました。どこか花のようでお香のような香りが煎の最初のほうではして、これがまた自然で良いですね。煎が進むに従って、優しくほっこりした感じや小豆のような香りが少し強くなってきて、甘くなってきて・・・それに飲んだ後の口の中に来る戻り香がとても良くて、花のようで上品なお香のような香りで・・・この戻り香は私が愛飲している7542の30年物にもあるので、保存の場所や作られた時期が違うのに、味も違うのに、この共通な良い香りに、ちょっと驚きました。今回の大発見です。でも同興號のほうが、より柔らかく、優しく、味の柔らかさとマッチしているような気がしました。
久しぶりに同興號後期圓茶70年代プーアル茶を飲みました。やっぱり相変わ らず癒される香りで、秋の夜長を楽しんでしまいました。お香?のような気品のある高貴な香りと言いましょうか、ほんとうに落ち着くのです。濃い目にたく さん煎れて、冷茶にもしました。濃いめだとちょっと見た目がお醤油のようですが・・・熱くても冷たくても舌にまろやかにまとわりついて、甘く、本当に美 味しいと思います。改めてこのお茶が大好きだと思いました。

東京都MSさま
おいしくいただきました。
詳しい人にいわせると、この年代の同興號はほとんど資料が残ってないせいか、怪しいですよといわれましたが、試飲してみますと、同興號らしい味わいかな ということでした。まぁ、自分はこれ以外飲んだ事がないので、よくわかりませんが。
お茶は、30年にしては、茶葉が思っていたよりもろく、これは、最初の保存状態(茶虫をつかせるときかな)が悪かったのではないかということでした。しかし、後半の保存状態が良かったおかげで、カビ臭や土臭さが全くなく飲みやすいお茶になっていました。長時間茶壷にいれた状態でも苦くもなくすっきりと 飲める事ができました。

改めて同興號を飲みましたら、最初の煎は雑味が出ましたが、すっきりとした甘さで飲みやすいお茶だな~と実感。なおかつ、飲んだ後すぐに香りが鼻に抜け るのですけど、本当にお香の香りで、茶仲間に言わせるとインド系のお香の香りということでした。


つぎにこのお茶はいかがですか?

沈香老散茶50年代プーアル茶
+【このプーアル茶の詳細】


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