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樟香青散茶90年代プーアル茶

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樟香青散茶90年代プーアル茶
樟香青散茶90年代プーアル茶

樟香青散茶90年代プーアル茶
2011/08/13 終了

製造 : 1990年代初期
茶廠 : 不明
茶山 : 西双版納孟海茶区
茶樹 : 大葉種
茶葉 : 2~4級
工程 : 生茶 乾倉湿倉ブレンド
倉庫 : 香港ー広州乾倉

甘味
●●●●● 蜜の甘味
渋味
●●○○○
とろみ
●○○○○
酸味
●●●○○ やや鈍い酸味
苦味
●●○○○
香り
●●●●○ 樟香、糯米香
熟成度
●●●○○ 保存熟成強め

熟成度の異なる2つの茶葉がブレンドされ、ツンとして爽やかな樟香と穀物のようにまろやかで甘い風味が合わさったバランスの良いお茶です。
その力強い風味は、飲茶の点心や広東の焼きものに合わせるお茶としてぴったりです。

焼鵞
焼餃子
上: 焼鵞
下: 餃子

■茶葉について

20年かけて熟成させないことには飲み頃に達しない生茶のプーアール茶を、もっと手軽に楽しめるように二次加工したのが乾倉湿倉ブレンドの散茶です。
飲茶の本場の香港や広東で、このブレンド手法が考え出されたと見ています。点心に合わせるために、まろやかながらも香りと酸味の効いた廉価な生茶の需要があったのでしょう。
新しい生茶を寝かせて20年も待っていたのでは間に合わず、価格もつり合わないことから、湿度の高い「湿倉」と呼ばれる倉庫で強く熟成させた茶葉と新しい茶葉がブレンドされ、それに近い風味が作られました。一時期その手法で盛んにブレンド散茶が作られたようですが、安モノ作りに多用されてしまい、粗悪品が多くなり評判を落としたため、現在ではこのタイプのブレンド散茶は少なくなっています。
1990年代のこのお茶は、そんなブレンド散茶が盛んに作られていたときのものです。そこそこ質の良い茶葉が使用されており、さらに「乾倉」と呼ばれる倉庫で10年以上保存された結果、意外なほど美味しいお茶に変身しています。
参考ページ
+【茶商の倉庫が味をつくる】

樟香青散茶90年代プーアル茶
樟香青散茶90年代プーアル茶
樟香青散茶90年代プーアル茶
小さな茶葉がしっかりと捻られ、丁寧な仕事が見られます。
新芽をわずかに含む2~4級の若葉は、特別に高級な香りではありませんが、春摘みのそこそこのものが使用されています。保存熟成を考慮した茎の部分なども適度に混ざります。


5斤(2.5キログラム)の単位で紙の包みに入って、このまま茶商の倉庫に寝かされていました。ブレンド散茶のため、産地やメーカーを特定できませんが、お茶の風味からは、西双版納一帯の茶葉の特徴が見つけられます。

■試飲について

樟香青散茶90年代プーアル茶
樟香青散茶90年代プーアル茶
樟香青散茶90年代プーアル茶
茶湯の色は赤味が強く、色の出が早いので、さっと煎じるほうがよいでしょう。(ちなみにブレンドされていない年代モノの生茶では、これほど色の出が早くはありません)
熟成による糯米の香りと甘味が全体の印象をやわらかくして、樟香の軽い刺激が新鮮味となっています。発酵による鈍い酸味がありますが、嫌味には感じません。後味はさっぱりしていて、湿倉の悪い茶葉の、舌に残るようなエグ味や苦味はありません。後口にスースーとする感覚も、老茶さながらです。
あともう少し「蘭香」が有って欲しいとか、バニラのような「花蜜香」が有って欲しいとか、「陳皮」(みかんの皮を干した食材)のようなほろ苦味が有れば良いとか、後味にスースーするような爽快感があればと、いろいろ注文をつけたくなるところですが、もしもその「あともう少し」を求めるのなら、20年間寝かされたそれなりの価格の生茶を求めるべきでしょう。

樟香青散茶90年代プーアル茶
樟香青散茶90年代プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)
はっきりと2色に分けられます。また質感も大きく異なります。明るい色が新しい茶葉で、黒い色が湿倉の熟成した茶葉です。
明るい色の茶葉は、薄くてやわらかく、まだ若い茶樹のものです。新しい茶葉としてブレンドされたものですが、色の具合からしても、乾倉で10年以上の変化が認められるので、1990年代に作られたもので間違いないでしょう。

■味比べ

おなじく乾倉湿倉ブレンドの散茶と比べました。
香港の老舗の茶荘が販売していたものです。試飲させてもらい、湿倉と乾倉のブレンドと説明されたので、年代モノの老散茶として騙すつもりはないようでした。価格もそれなりのものです。

香港の茶荘の乾倉湿倉ブレンド

しかし、後に分かったことですが、この湿倉の茶葉には問題がありました。茶葉が固まって団子になっているところがたくさん混ざっています。これは湿倉の水分が多過ぎるために、茶葉と茶葉がくっついて団子状態になったものです。もしかしたら茶葉に直接水を吹きかける荒っぽい手法だったのかもしれません。団子になって空気にふれにくい部分ができると、不良発酵しやすくなります。
熟茶作りの「渥堆」(ウォードゥイ)」の茶葉の発酵工程においては、団子状態にならないように、24時間体制で茶葉をかき混ぜる作業が行われますが、端っこのほうでできてしまう団子の部分もまた、風味のひとつとした品もあります。ただしそれは大手メーカーの管理の行き届いた環境で作られた品です。
参考ページ
+【老茶頭プーアル茶磚06年】




左: 樟香青散茶90年代 このお茶
右: 香港の茶荘の乾倉湿倉ブレンド
樟香青散茶90年代は、米粒のようにパラパラしていて、団子状態になった茶葉がありません。
葉底を見比べると、香港の茶荘のものは黒ずんだ湿倉茶葉の比率が多いのがわかります。
茶湯の色はよく似ていますが、味は大きく異なります。香港の茶荘のそれは全体的に重く、鈍い酸味があり、後味にエグ味が残ります。香りにはどこか鈍い発酵臭がありますが、敏感な人でなければ気付かない程度かもしれません。
それに比べると「樟香青散茶90年代」は軽く、後味はさっぱりとしています。甘味は比べものにならないくらい強く出ます。香りには熟成の強い生茶の特徴がありますが、それは倉庫熟成特有のもので、好む人の多いものです。

■このお茶について

点心のような、一口サイズでしっかり味の料理と、このお茶の相性は抜群です。多くの人にはそうした楽しみ方ができるでしょう。


チョコレートなども相性がよいです。

以下の文章は、生茶の年代モノを探している方へのコメントになります。
乾倉湿倉ブレンドの散茶は、「味」の贋作品とも言えます。
贋作というと悪いイメージがありますが、贋作は中国の伝統的な文化のひとつです。例えば、昔の陶磁器の贋作品の一部には、本物を越える技術があるため、今になって新たな評価を得て、収集家を喜ばせているものがあります。精進料理には、鶏、鴨、鰻などの味に似せて、豆腐や湯葉や豆類などでつくった雁作料理があります。その巧妙な技術を「遊び心」で楽しみます。本気で豆腐の美味しさを求めるのなら、別の料理があるのです。
このお茶「樟香青散茶90年代」のように、材料となった茶葉の質がそこそこ良くて、湿倉熟成の出来も良く、ブレンドのセンスが抜群で、味にはこれといった欠点も見つからず、しかも価格は本物の数分の1という品に対して、味の贋作だからといって嫌うよりは、「遊び心」をもって近づいてみる価値はあります。
プーアール茶の生茶の年代モノを求めてゆくと、熟成の仕上がりの良いものと悪いものに出会います。悪いのに比べると、このお茶の味のほうがよほど良いため、雁作が本物を越えることになります。このお茶の美味しさを基準にすると、高価な年代モノの生茶の美味しさとはなにか?どの味や香りにその価値があるのか?熟成の良し悪しはどの風味に現れるか?という本物の価値について、もういちど考えてみることができるでしょう。

また新しい情報があれば、ここに文章を追加してゆきたいと思います。

樟香青散茶90年代プーアル茶

> +【5gの茶葉でどのくらい飲めるか?】

保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】



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