水がちがうとお茶もちがう

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水がちがうとお茶もちがう

『隨園食単』袁枚著(1792年のグルメ本)より抜粋
欲治好茶,先藏好水。水求中冷、惠泉。人家中何能置驛而辣?然天泉水、雪水,力能藏之。水新則味辣,陳則味甘。
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良い茶を飲もうとするなら、まず良い水づくりである。 泉に清い水を求めること。人家に近いところは避けること。天然水、雪どけ水、これを保存すると、新しい辛い水がまろやかで甘い水になる。

水

水によってお茶の味は変わります。
どれほどの違いがあるのか?
市販のペットボトルの飲料水6種類について、同じ茶葉を使った味比べをしてみました。

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※この試みの前提
目的はお茶の味の「違い」を知ることにあります。
水の成分や分子構造がどのように味に関係しているかについては触れません。
ここで使った茶葉に対して相性の良い水を見つけることはできますが、それがプーアール茶すべてに共通するとはかぎりません。
お手元のお茶それぞれに合う水があると思います。
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■市販の6種類の飲料水は・・・・・・・・・・・・・・

プーアル茶にあう水は?

上海のデパートの地下食品売り場で適当に選んだものです。
いずれもいつかどこかで飲んだ覚えのあるもので、比較的安価な銘柄だと思います。
自然の源泉から採水されるナチュラルミネラルウォータータイプが4種。浄水タイプが2種。合計6種です。

■使用した茶葉は・・・・・・・・・・・・・・・

黄印7542七子餅茶 黄印7542七子餅茶
『黄印7542七子餅茶』生茶のプーアル茶です。
+【黄印7542七子餅茶プーアル茶】

比較的乾燥した環境に保存熟成してあります。
苦味の効いた繊細な風味のため、微妙な違いを見るのに適していると思います。
茶葉を計量して、同じ条件の茶器・水温・時間にて煎じました。
誤差を埋めるため2回づつ試しています。それでも正確なサンプルとは言えませんが、味の印象を比べるには十分です。

■煮水器は・・・・・・・・・・・・・・・

ステンレス製ケトル 南部鉄瓶
左:  ステンレス製の電気ポット
右:  南部鉄瓶

どちらもかなり使い込んでいるため、湯の味は安定しています。
ちなみに当店の味覚鑑定では味の尖ったところが出やすい電気ポットを使用しています。南部鉄瓶はそれと対照的に味がまるくなります。その違いを試してみました。
また、沸騰したてと、長く沸かしすぎたお湯も比較してみました。
このページの下のほうに比較結果があります。
+【南部鉄瓶とステンレス製の電気ポット】

この試みの条件として、茶杯や公杯などの茶器は、ガラスか白磁のもので、味や成分に影響を与えないものにしています。

■PHと導電率・・・・・・・・・・・・・・・

PHとは水素イオン濃度の値です。純水に近い蒸留水はPH7.0で中性です。それよりも低い数字は酸性。高い数字はアルカリ性です。
導電率とは、水の中で電気を通す電解質の量です。(μS/㎝、マイクロジーメンス/㎝)という単位で表されます。電解質には主要ミネラル成分が多く、市販のミネラルウォーターには100mlあたりの成分が表示されています。これらのうち、カルシウムイオンとマグネシウムイオンを多く含んでいるものを硬水、少ないものを軟水といいます。また、塩分(ナトリウムイオンや塩化物イオン)のように、水の味を大きく左右するものもあります。しかし、水に溶けてもイオンとならない(電解質ではない)糖などの濃度は測ることはできませんが、煎じた茶湯の成分の濃度は、これによって見た目以外の観点から見ることができます。
参考ページ
+【PHの話/HORIBAホームページ】
+【導電率の話/HORIBAホームページ】

主要ミネラル
ナトリウム, カルシウム,マグネシウム,カリウム,リン酸,硫黄,塩素
微量ミネラル
鉄,亜鉛,銅,ヨウ素,セレン,マンガン,モリブデン,クロム,コバルト
PHや導電率の数値だけで水やお茶の味を読み取ることはできません。これらを測定して記録する目的は、熟成度や長期保存による変化との関係を見つけられる可能性があるためです。
当店はその結果を、見た目や試飲では難しい鑑定に活用しています。

■味の違いについて・・・・・・・・・・・・・

プーアル茶にあう水は? プーアル茶にあう水は?

味の違いをわかりやすくするために、「●●●○○」で点数を付けてみました。それで表現できない部分は言葉で補足しました。あくまでも人間の感覚なので、正確ではありませんが、それぞれに違いがあるということはわかります。
茶を煎じるときの温度と時間はできるだけ同じ条件にしましたが、それでも茶湯の色には若干の違いがあります。2度試していますが、やはり同じ結果なので、水によって色の出方が異なることがわかりました。


■六甲のおいしい水

六甲の美味しい水とプーアル茶日本の神戸市灘区に採取地のあるミネラルウォーターです。ペットボトルに印刷されている紹介文には、六甲山系の花崗岩質を通った水で、まろやかで自然な味わいとのことです。
+【六甲のおいしい水工場】

甘味
●●○○○
渋味
●●●○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●●○
香り
●●●○○
水 PH
7.1
湯 PH
8.3
茶 PH
7.2
水 μS/cm
176
湯 μS/cm
197
茶 μS/cm
540

全体のバランスはよく、口に含んだ瞬間の印象はおっとりしています。他のミネラルウォーターに比べるとおとなしい印象ですが、甘味が抑えられているため、ややドライな感じがします。後味もサッパリしています。 特徴は、日本の番茶を思わせる香ばしさやほろ苦さが引き出されるところにあります。日本のお茶の味を連想させるということは、日本のお茶の味は日本の水によるところもあるかもしれません。


■農夫山泉

農夫山泉とプーアル茶 上海から車で5時間ほど離れた国家森林公園地区にある人造湖「千島湖」の深層水です。上海でもっともよく売れているミネラルウォーターのひとつで、お茶屋さんがよく使っています。当店も試飲のときには、よくこれを使います。比較的まろやかで、口に残るほのかな甘味が特徴です。
+【農夫山泉ホームページ】

甘味
●●●○○
渋味
●●●○○
とろみ
●●●○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●○○
香り
●●○○○
水 PH
7.3
湯 PH
8.0
茶 PH
6.2
水 μS/cm
90
湯 μS/cm
100
茶 μS/cm
520

お茶の味もまろやかです。渋みや苦味は口に入れた瞬間からちょっと遅れ気味にじわっと出て来ますので、甘味や酸味などの風味を感じる余裕があります。途中からややモッタリした感じになり、全体的におとなしい印象です。喉の通りはなめらかで、うるおいがあり、後味にも落ち着きがあります。


■エビアン

エビアンとプーアル茶 フランス南東部エビアン・レ・バンの町の標高約850メートルに採水地があるらしく、まさしくアルプスの山水です。どこにでも販売しているミネラルウォーターのわりに好きな人と嫌いな人があるということは、個性が強いということでしょう。
+【エビアンホームページ】

甘味
●●●●○
渋味
●○○○○
とろみ
●●●●○
酸味
●○○○○
苦味
●○○○○
香り
●●○○○
水 PH
7.5
湯 PH
8.6
茶 PH
6.2
水 μS/cm
590
湯 μS/cm
570
茶 μS/cm
780

塩でも混ざった?と思うくらいにズシッとした印象があります。渋みや苦味や酸味の尖ったところは完全に抑えられて、とろみが強く、カビ臭くて不味いお茶になりました。生茶の軽快さが失われまるで熟茶かと思うような風味です。お茶を煎じる時に灰汁がたくさん出ました。これは硬水の特徴で、他のミネラルウォーターに比べて含まれているミネラル成分が多い結果といえます。


■ボルヴィック

ボルヴィックとプーアル茶 フランスの中南部のオーヴェルニュ地域の火山層を通った水です。やや軟水で、バランスが良くクセがありません。当店のお客様の間でも評判の良い水です。お茶だけでなく、料理に使う水としても人気があります。
+【ボルヴィックホームページ】

甘味
●●●○○
渋味
●●●○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●●○○
苦味
●●●○○
香り
●●○○○
水 PH
7.0
湯 PH
8.4
茶 PH
6.4
水 μS/cm
230
湯 μS/cm
240
茶 μS/cm
530

どの味が際立つことも、どの味が抑えられることもありません。自然なお茶の味が広く深く味わえます。お茶を口に含んでいる間はやや重みがありますが、うるおいもあり、喉越しはよく、後味はスッキリしています。
このお茶『黄印7542七子餅茶』の軽快な酸味が引き出され、新鮮で上品な風味です。
この6種類の水の中では、もっとお茶を美味しく引き立てたと言えます。


■ヤンキーマウンテンナチュラルスプリングウォーター

ヤンキーマウンテンナチュラルスプリングウォーターとプーアル茶 採水地はアメリカの山々の湧水地と書かれているだけで、場所が定かではありません。「純浄水飲料水」と表記されているところから、浄水加工してあるようで、ナチュラルミネラルウォーターではないようです。口に含んだ印象は軽く、甘味を感じます。

甘味
●○○○○
渋味
●●●○○
とろみ
●○○○○
酸味
●○○○○
苦味
●●●●●
香り
●●○○○
水 PH
7.6
湯 PH
8.1
茶 PH
6.0
水 μS/cm
220
湯 μS/cm
430
茶 μS/cm
500

苦い印象だけが強く残りました。ただし上品な苦味なので、不味いとは感じません。渋みも上品です。甘味やとろみが弱いので、全体的には乾いた印象になります。喉越しは良く、後味もサッと消えて残りません。水のまま飲むと甘くやわらかい印象があるのに、お茶にして飲むと苦くてドライでした。水の味は、必ずしもお茶の味と一致しないということになります。


■麒麟飲用純浄水

麒麟飲用純浄水とプーアル茶 水道水を浄水した飲料用水です。 上海市の郊外の松江区にて作られています。松江区はビール工場各社の上海地区の工場のある地域ですが、例えば上海の青島ビールは、青島の青島ビールよりも不味いと言われています。これはおそらく水のせいだと思います。味に個性がないかわりにクセもありませんが、口に含むとやや重くモタッとした味です。

甘味
○○○○○
渋味
●●●●●
とろみ
○○○○○
酸味
●○○○○
苦味
●●●●●
香り
●●○○○
水 PH
7.5
湯 PH
8.1
茶 PH
6.0
水 μS/cm
6
湯 μS/cm
28
茶 μS/cm
450

お茶の味は渋みや苦味が尖って強く感じます。それが舌の上に残り、喉にまで達するため、とても乾いた印象です。甘味や酸味が引き出されず、味に幅や奥行きがありません。また、水と同じようにモタッとした重みがあります。
当店では上海の水道水を浄水器を通してお茶の水に使用しているので、それとほぼ同じ味になるのではないか?と推測して違いを試したのですが、結果は異なるものでした。浄水器の水のほうがお茶を飲むにはよほど美味しい水であると言えます。
導電率の数値をみると、含まれているミネラル分が他にくらべて極端少ないものになっています。それが味に影響していると思われます。


■水道水(浄水器)

水道水とプーアル茶 当店では、上海の水道水を飲料用の浄水器に通したものを、普段飲むお茶に使っています。味のバランスは悪くありません。上述のナチュラルミネラルウォーターのなかでは、「農夫山泉」に似たバランスの味です。

甘味
●●●○○
渋味
●●●○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●○○
香り
●●○○○
水 PH
7.3
湯 PH
8.1
茶 PH
6.2
水 μS/cm
250
湯 μS/cm
270
茶 μS/cm
660

日本の水道水は綺麗なので、簡易浄水器の「BRITA」の製品を使用している方もいらっしゃいます。しかし、それが美味しいかどうかは、それぞれの土地の水道水によって異なるでしょう。
+【BRITAのホームページ】



■ステンレス製の電気ポットと南部鉄瓶

ステンレス製の電気ポットとプーアル茶ステンレス製の電気ポット
使用した水: 六甲のおいしい水

甘味
●●○○○
渋味
●●●○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●●○
香り
●●●○○
水 PH
7.2
湯 PH
8.3
茶 PH
7.1
水 μS/cm
176
湯 μS/cm
197
茶 μS/cm
540

南部鉄瓶とプーアル茶南部鉄瓶
使用した水: 六甲のおいしい水

甘味
●●●●○
渋味
●○○○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●○○
香り
●●●○○
水 PH
7.2
湯 PH
8.4
茶 PH
6.9
水 μS/cm
176
湯 μS/cm
198
茶 μS/cm
570

南部鉄瓶は見るからにステンレス製の電気ポットよりも湯の温度が高い状態になりますが、沸騰したてをそのまま淹れました。湯の味を比べてみたところ、南部鉄瓶のほうが圧倒的にまろやかで、甘くて美味しいと感じました。
ところが、お茶にするとそれがかえって仇になって、まろやかすぎて特徴が感じられないことになってしまいました。
ステンレス製の電気ポットのほうは渋みが効いて、お茶らしさのある爽快な風味が楽しめます。
面白いことに、ステンレス製の電気ポットと南部鉄瓶の茶湯のPHや導電率の数値には味で感じたほどの差がありません。これらの数値以外のところに差があるのかも知れません。


■沸かしすぎの湯

ステンレス製の電気ポットとプーアル茶ステンレス製の電気ポット
使用した水: 六甲のおいしい水

甘味
●●○○○
渋味
●●○○○
とろみ
●●○○○
酸味
●○○○○
苦味
●●●●○
香り
○○○○○
水 PH
7.2
湯 PH
9.1
茶 PH
7.1
水 μS/cm
176
湯 μS/cm
199
茶 μS/cm
620

南部鉄瓶とプーアル茶南部鉄瓶
使用した水: 六甲のおいしい水

甘味
●●●●○
渋味
●○○○○
とろみ
●●○○○
酸味
●●○○○
苦味
●●●○○
香り
●●●○○
水 PH
7.2
湯 PH
10.0
茶 PH
7.6
水 μS/cm
176
湯 μS/cm
230
茶 μS/cm
530

ステンレス製の電気ポットはスイッチを入れたり切ったりして、沸騰させたり少し冷ましたりを20分続けました。南部鉄瓶のほうはごく弱火で15分ほど沸騰させました。
ステンレス製の電気ポットでのお茶の味は、重くなった感じがして、軽快な渋みや酸味、香りがなくなりました。特に香りについては顕著に差が出ています。沸かしすぎのは不味いと感じました。沸きたての湯はPH8.3だったのが、沸かしすぎはPH9.1でアルカリ性に振れましたが、茶を淹れたPH値は水のままとほぼ同じ7.1です。
逆に導電率は湯のときはほぼ同じなのに、茶になると沸かしすぎのほうは2割増えた値になっています。測定方法に問題があるのかそれとも測定できない何かが味を変えているということだと思われます。
南部鉄瓶の沸かし過ぎのお茶の味は渋みが弱くなった程度で、印象が大きく変わるようなことはなく、よりまろやかでそれなりに美味しいと感じました。
沸かしすぎがよくないのは、ステンレス製の電気ポットに言えることで、南部鉄瓶の場合は問題なさそうです。


■まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・
自然の源泉から採水されるナチュラルミネラルウォータータイプの4種が、浄水タイプの飲料水よりも「風味」があるのですが、その分個性もあって、美味しいものと不味いものとに大きく分かれました。

また、水の印象とお茶の印象は大きく異なりました。
水の味が良いからといって、お茶の味も良くなるとは限りません。
エビアンで淹れたお茶が不味くなり灰汁が多く出た結果からみると、これ以上に硬水でミネラル分の多いタイプの水はプーアール茶には相性が悪い可能性があります。

浄水タイプの2種は、お茶の味がいずれもドライな印象になりました。ミネラル分が少なすぎると、まろやかさが失われるのかもしれません。
また同じ水を使っても、湯を沸かす茶器の素材が違うと、味の印象が大きく異なることになることもわかりました。

水や茶器でこれほど味に違いが出るのであれば、お気に入りの茶葉にはどの組み合わせがいいのかを探してみる価値があると思います。

水

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