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【オリジナルのお茶の記録】


紫・むらさき秋天紅茶2011年 その3

murasaki qiu tian hong cha

巴達古樹紅餅紅茶

■仕事場
持ち帰った鮮葉をひろげて一晩寝かします。
萎凋(wei diao)と呼ぶ工程で、茶葉の水分を適度に飛ばしながらゆっくり風味が変わるのを待ちます。
ここから先は、 萎凋 → 揉捻 → 玉解 → 軽発酵 → 晒干 → 圧延、という順で紅茶が完成します。
ところで、製茶農家の作業場が新しくなりました。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

2010年の『巴達古樹紅餅2010年紅茶』づくりのときは木造だった建物が、コンクリートとトタンになりました。

賀松寨の村には新茶園の茶畑しかないため、一軒一軒の農家が自宅で手づくりの製茶をすることはありません。30軒くらいの農家が摘んできた鮮葉をあつめて、いっきに機械で製茶して、晒干(天日干し)します。このくらいの敷地と建物が必要なのです。
紅茶づくりもまた製茶工程で茶葉を広げるスペースが必要です。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

茶葉を広げて萎凋したり晒干したりする棚も新しくなりました。
網目の通気がよいので、乾燥がスムーズです。このまま移動させることができるので、太陽のあたるところを追いかけてゆけます。
竹で編んだ筵の上に茶葉をひろげていた昨年とくらべると、ずいぶん便利になりました。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

しかし、この製茶農家はしばらく高級茶づくりを請け負っていなかったせいで、棚は埃だらけになっていました。収茶にゆく前にひとりでキレイに掃除しました。

製茶農家の人たちはその日も量産の晒青毛茶づくりに追われているので、手伝う暇はありません。また、そもそもなぜ埃が悪いの?というのがよくわかりません。埃といっても、山の土や製茶場の茶葉の粉であったりするので、口に入ってもすぐに害ということはないのですが・・・。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

「茶葉を地面に置くな!」
「汚い手で触るな!」
「近くでしゃべるな!」
「近くでたばこを吸うな!」
「落した茶葉を拾うな!」
「臭いのあるものを持ちこむな!」
「鶏や犬や猫を近づけるな!」
「とにかく言うことを聞いてくれ!」
という具合にやっています。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

製茶場に立ち寄る人すべてに遠くからでも声を張り上げるので、2日もしたら声が枯れます。はじめはいちいち説明していましたが、生まれ育ちのちがう人に別世界の衛生観念を理解してもらうのは難しいことです。

新しい建物は木造に比べたら見た目は味気ないですが、夜はシャッターを下ろせば猫一匹通しません。村人は勝手に入れません。雨漏りもしません。安心して眠れることのできる強い味方なのです。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

■軽発酵
つぎの日、 太陽がバチッと照ってくれたのは朝のほんの1時間ほどで、その後は雲に隠れました。
もっともこの段階での太陽はそれほど大きな影響はありません。紅茶の製茶では、揉捻する次の行程までに適度に水分が蒸発したらそれでよいのです。

紅茶の風味は、茶葉の持っている成分の変化によって生まれます。この地方ではこれを「軽発酵」と呼んでいます。一般的な発酵食品における菌類の活動は関係しません。
采茶 → 萎凋 → 揉捻 → 玉解 → 軽発酵 → 晒干 → 圧延
この過程で、晒干の工程で茶葉が完全に乾燥しきるところまで、緩慢な軽発酵の変化がずっとつづいている状態です。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

変化をうながしたり、変化にブレーキをかけたりして、紅茶をどんな風味に仕上げるのかを調整します。
したがって、太陽が出たり雲に隠れたりしている今回の天候では、変化にブレーキをかけたいここぞ!という時に、思うように止まらない可能性があります。

それであれば、むしろ軽発酵をしっかりすすめた仕上げ方にして、ブレーキが利かなくても意図した範囲になるほうが得策だと考えました。
曇りならまだなんとかなりそうですが、もし雨が降り出したら軽発酵の後の変化を止める術がなくなります。そうなると熱風乾燥しかありません。

しかし、このお茶づくりでは晒干(天日干し)による低温での仕上げが純粋な風味をつくる勘どころだと心得ています。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

いかにもしっかり軽発酵した色に仕上がりました。
2011年の秋の山の太陽、空気、風、草木の香り、そんな自然の息吹がそのままお茶に記録されています。量産のお茶とはちがう魅力があるはずです。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

軽発酵の後の晒干は、太陽が出たり雲に隠れたりした状態で、ゆっくり変化を続けながら乾燥してゆきました。
なんとか、夕方までにはおおむね変化が止まるところまで乾燥でき、これでやっと一安心です。

試飲してみるとなかなか美味しいです。
しかし、春に比べるとずいぶんやわらかい印象です。もうちょっとキリッとさせたいような気がします。
次の日にもういちど、太陽の直射に1時間ほど晒してみることにしました。

紫・むらさき秋天紅茶2011年

紫・むらさき秋天紅茶2011年

朝から晩まで太陽を求めて棚をあちこちに移動させたので、それを手伝った若い衆はへとへとです。 お疲れさまでした。
夕方の空に白い月が出ていました。空気が乾燥してきているようです。明日はたぶん晴れます。

■その4 品茶(つづき)

【紫・むらさき秋天紅茶2011年 その4】


紫・むらさき秋天紅茶2011年 1枚 380g


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