8892後期紅印圓茶 プーアル茶
8892 hou qi hong yin yuan cha
8892後期紅印圓茶 プーアル茶 1枚 約370g
製造 : 1988年ごろ
茶廠 : 孟海茶廠
茶山 : 易武山
茶樹 : 野生大葉種 喬木
茶葉 : 3級、6級
工程 : 生茶
倉庫 : 香港常温乾倉
甘味
渋味
とろみ
酸味
苦味
香り
熟成度 |
●●●●○ 上品な甘味です
●●○○○ 少しの渋みが引き締めている
●●○○○
●●●○○ ワイルドな感じ
●●●●● 苦い
●●●●○ 樟香のクセが強い
●●○○○ 倉庫での熟成やや弱め |
栽培の野生種の茶葉を使われた、個性の強い風味の生茶です。
しかし、熟成の進んだ部分には、甘い香りと旨味があり、手元に置いて、長期熟成させる楽しみがあります。
8892後期紅印圓茶は、福建省出身で香港の茶商の王曼源氏によって1988年にオーダーされ、1989年に引き渡されました。香港の“プーアル茶王”と呼ばれる王曼源氏は、2000年に出版された、台湾唐人工藝出版の「普耳茶譜」では、顧問もしています。
しかし最近は、その信頼はかつてほどではなくなりました。プーアル茶の商売の難しさが伺えます。
包み紙の端に、「曼源」(Man Yuan)を表すM.Yのマークの印があります。

内飛(茶葉に埋め込まれている紙)は、「中茶」マークのみで、メーカーの名前などが入っていません。これは、「紅印」の本家の「紅印圓茶」に似せてあります。「紅印圓茶」については、「早期紅印春尖散茶」のページをご参照ください。
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【早期紅印春尖散茶プーアル茶】
この「8892後期紅印圓茶」は、「大葉青餅」と呼ばれる大きめの等級の茶葉でつくられた餅茶に分類できます。
8582、7582、7572などがそれに該当します。
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【厚紙8582プーアール餅茶】
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【7582大葉青餅プーアル茶】
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【早期7572七子餅プーアル茶】
それに対して、「小葉青餅」といわれる、小さめの等級の茶葉でつくられたものには、「7532」や「7542」があります。
8892の「88」は1988年の製造を表わしますが、実際には1988年、1989年、1990年、1991年まで毎年作られました。その後にも、王曼源氏からのオーダーで何度か作られているという話も聞きますが、包み紙が同じのため、見た目で判断するのは難しいかもしれません。当店で入手した「8892後期紅印圓茶」は、「第一批」と呼ばれるもので、最初に製造され、香港に出荷されたものですが、当店では2004年5月に一度仕入れたきりで、その後に市場に出回ったものを扱っておりませんので、リピート購入されたものが、中身が違うということにはならないでしょう。
このように、「第一批」、「第二批」を茶商が自由に名付けられるタイプのものには、鑑定が難しいものがあります。同じような難しさのあった「紅絲帯プーアル青餅96年」のページにもそのことに触れています。
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【紅絲帯プーアル青餅96年】
8892の「9」は、茶葉の等級を表わしますが、ところどころに大きな茶葉がみあたります。 実際には6級茶葉が中心で、3級ほどの若い茶葉も少し混じります。
8892の「2」は、雲南孟海茶廠を意味しますが、これが定かではありません。包み紙には、「中国茶業公司雲南省公司」と印刷されていますが、これは、1950年頃〜1994年まで続いた雲南の茶葉の取引の国の管理のもと、輸出を担当していた国営会社のもので、お茶作りをしたメーカーではありません。1950年代の「早期紅印圓茶」の包み紙の印刷を真似たものです。

上: 表面の茶葉
下: 裏面の茶葉
餅茶の表にやや小さめの茶葉があるように見えますが、基本的には表も裏も同じような茶葉です。等級の異なる茶葉を配置するような作り方はされていません。これも「早期紅印圓茶」と同じです。
茶葉は全体的に赤味があり、熟成が進んでいることが伺えます。保存された倉庫が、しっかり熟成した風味に人気のある香港ですので、倉庫から出されて市場に出回ったときは、多少の倉庫臭がまだ残っているくらいでした。
王曼源のお茶を扱う代理店が上海にもありますが、そのお店の話によると、上海にも倉庫があり、そこでも「第一批」と呼ぶのを保有しているそうなので、当店が仕入れた香港経由のものとは、風味が異なると思われます。保存環境や作られた年が異なるものがあることから、味の異なる「8892後期紅印圓茶」が存在します。

餅茶には厚みがあります。
大きめの茶葉でつくられているので、こうなります。大きめの茶葉は、茶葉と茶葉の隙間が空きやすく、餅茶に厚みができます。また、長期保存中にも、ごくわずかながら膨れるようです。

熟成期間がまだ十分ではないためか、熟成のムラがあります。円盤の外側の茶葉ほど空気に触れやすく、熟成がすすんでいるため、比較的まろやかな味わいになっています。手でつまむと崩れるような端の茶葉から順に飲んでゆくのがよいでしょう。
煎じるとゆっくりと栗色をした湯がにじみ出ます。
「大葉青餅」の特徴である、キリッとした「樟香」があります。易武山の茶葉の特徴です。「樟香」とは、衣服の防虫剤に使う樟脳の香りに近いものです。この香りが強く、木の皮を剥いだときのような森林のの香りが口の中に広がります。このクセが、好きになる人と、嫌いになる人とを分けることでしょう。
長期保存するほどに変化してゆき、樟香は徐々に薄れ、蘭香と呼ばれる花のような香りや、薬香と呼ばれる漢方薬のような香りが感じられるようになると思われますが、それに10年かかるのか20年かかるのか、いまのところ予想はできません。
きっちり茶葉の重量4gを量って淹れてみましたが、3煎もすると、乾燥した茶葉はもとの姿をあらわして膨れてきて、蓋碗いっぱいになります。
葉底(煎じた後の茶葉)です。
大きく厚みのある茶葉が姿を現します。形はあまり崩れることなく、はっきりとしています。茶葉の根本の茎の部分がたくさん混ざっています。
表面はザラザラした鮫肌な感じがしますが、これも雲南の野生型の大葉種の特徴のひとつです。
お茶の味のほうはまだまだ若い感じですが、葉底の茶葉の色には赤味があり、ほどよく熟成しているように見えます。
■味比べをしてみました。
選んだお茶は、「黄印7542七子餅茶」です。

易武山の茶葉が使用されていることと、これを孟海茶廠にオーダーした茶商が王曼源氏であることが共通しています。製造年もほとんど差がありません。
上の写真のように、厚みに違いがあります。茶葉の重量は「8892後期紅印圓茶」のほうがやや重いのですが、全体的に大きめの茶葉で作られているためでもあります。
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【黄印7542七子餅茶】
表面 左:「8892後期紅印圓茶」 右:「黄印7542七子餅茶」

裏面 左:「8892後期紅印圓茶」 右:「黄印7542七子餅茶」
この2つの餅茶のもっとも大きな違いは、「配方」がされているかいないかです。上の写真の表面のほうの「黄印7542七子餅茶」には、新芽や小さな茶葉が表面に配置されているため、きめが細かく、全体的な色がやや明るいものになっています。下の写真の裏面のほうの「黄印7542七子餅茶」には、大きめの茶葉が配置されています。そのため、全体的な質感も粗くなっています。「8892後期紅印圓茶」のほうは、表も裏もだいたい同じような感じに仕上がっていますが、配合されている茶葉の大小はさまざまです。

左:「8892後期紅印圓茶」 右:「黄印7542七子餅茶」
茶湯の色は、やや「8892後期紅印圓茶」に赤味があります。どちらにも共通してクセのある樟香があるのですが、「8892後期紅印圓茶」のほうが圧倒的に強烈です。4〜5煎して、香りが落ち着いてくると、ベースにある風味に共通するものを感じます。

左:「8892後期紅印圓茶」 右:「黄印7542七子餅茶」
葉底(煎じた後の茶葉)はよく似ています。茶葉の等級は「黄印7542七子餅茶」のほうがやや小さく、また大きさや形がそろっています。「8892後期紅印圓茶」は、茶葉の大きさがそろっていなくて、茎の部分が多く混じります。茎の部分が多く配合されるのは、保存熟成のときに栄養を与え、空気の通りをよくして、よりよく熟成させるためですが、これも「紅印圓茶」など、印級のお茶を意識した配合だと思われます。
色は、 「8892後期紅印圓茶」のほうが全体的にやや赤味があります。「黄印7542七子餅茶」は全体的にウグイス色がかかっています。
茶葉の厚みは、「8892後期紅印圓茶」のほうがあります。また、茎が太いです。

5〜6煎めになってくると、色の差がなくなってくるとともに、味の差もだんだんとなくなってゆきます。同じ易武山の茶葉であるということなのでしょう。
試しにこの2つを混ぜて飲んでみたら、それがいちばん美味しいと感じました。お互いの良いところはそのままに、まだ角が取れていないところの風味が穏かになるのです。もう少し熟成を待つのが良いということかもしれません。
8892後期紅印圓茶 プーアル茶 1枚 約370g
■当店の倉庫熟成 (8892後期紅印圓茶)
2008年1月より、この「8892後期紅印圓茶」の倉庫熟成をはじめました。当店の倉庫は、温度と湿度を管理しており、より熟成のすすみやすい環境といえます。
定期的に、室内の常温保存の茶葉と、倉庫保存の茶葉との比較をここに記録してゆきます。
左: 室内常温 右: 当店の倉庫
2008年1月10日

2008年12月28日
お客様の感想
東京都Y.Yさま
8892後期紅印圓茶届きました。端っこの崩れたところを取って煎れてみました。 たしかにワイルドな風味ですが、最初煎れたときにかすかな花香があって味わい
があります。熟成が進めばもっと味が深くなっていくような気がして楽しみです 。
神奈川県K.Hさま
実はHPでの説明や、皆さんの感想を読んでいて、ちょっと自分の感想とは違うな・と 思っていたのです。樟香はほんのりだし、何より殆ど触れられていないあの素晴らし
い花香については、何故誰も言及しないのか、不思議だなぁと感じていました。 円盤の中でもラッキーな部分が舞い込んできたのかも知れませんね! まだ若い雲南緑茶に通じる爽やかな味わいも、とても良かったです。
愛知県K.Kさま
酸味、甘味、渋味、のバランスがすばらしいです。香りは、野樟、フルーツ、チョコレートを思わせました。 80年代後期の物ですが潜在能力抜群ではないでしょうか。
北海道I.Kさま
淹れる前の茶葉や淹れた水色は熟成しているように感じましたが、ややまだ緑茶の風味を残す華やかな香りを感じました。味はやや紅茶に近い渋みも感じます。以前お試しで送っていただいた時のものはもっと熟成した風味があり、濃厚な甘みを感じましたので、もしかしたらそれは餅茶から崩してあって熟成が進んでいたものだからなのでしょうか。太く長い茎や大きい茶葉を見ると、将来がとても楽しみなお茶ですね。ときどき試飲をして楽しみたいと思います。
大阪府K.Tさま
文章を読んで、最初はかなり強い味のするお茶かと思いました。洗茶をしたときの茶葉の香りもたしかにツン!とした強い感じで、なのですが、飲んでみると香りの印象とは違って、やさしい穀物のような甘味がほんのり。1煎めはツン!としていましたが、2煎めくらいからかすかにバニラのような甘い香りになって鼻の奥に抜けてゆきます。しっかりとしたお茶らしさのある渋味もあって、バランスがいいと思います。何杯もお腹がいっぱいになるまで飲むことを止められませんでしたよ。
東京都M.Sさま
茶湯はだいぶ赤みがかったオレンジ色。
香りは最初は樟香、そのうちにだいぶ甘ったるいチョコレートのような香り?になりました。ただ、その甘い香りの間に発酵した臭みもありました。味は、さすがに後期紅印にくらべたら、だいぶ落ち着いていて飲み続けれます。飲んでいる間は酸味を喉の奥で感じます。たしかに酸味は甘みを引き立てますが、まだ力強い酸味でした。これが20年超すともうちょっと穏やかになるのではと思います(希望ですね)。飲んだあとは、ほのかな香りが口の中に残りますが、それと同時にまだ渋みも残ります。まぁ、10煎以上飲み続けると、甘みだけが残って酸味渋みなどは気にならなくなりますけどね。
千葉県T.Nさま
このお茶、本当にバランスよくて美味しいですね。しっかりとした野生大葉種の風味が何とも言えず爽やかな口当たりです。何だかすっかりファンになってしまいました。
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【店長に質問など】
つぎにこのお茶はいかがでしょうか?
7582青餅94年プーアル茶
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【このプーアル茶の詳細】