zhang lang gu shu qing bing cha lu yin
■概要
采茶 : 2016年4月7日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古樹
茶廠 : 孟海県工房
圧餅 : 2016年5月14日
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 西双版納 紙包+密封
数量 : 6枚
終了 : 2017年6月7日
■オリジナルのお茶
2016年の春のお茶です。
当店のオリジナル品です。
+【当店オリジナルのお茶について】
■一天一采
2016年のテーマは一天一采。
ある一日に摘んだ茶葉で、ひとつのお茶を仕上げます。別の日に摘んだ茶葉を混ぜません。
茶葉の成長、その日の天気、日暦(星)のめぐり、製茶時の気温や湿度、そしてお茶をつくる人間の体調や気分。ある一日における「自然」が茶葉に宿ります。
このお茶の采茶(茶摘み)は4月7日。
当店では2016年春の最後の采茶日となりました。
■4月7日
春のお茶の後半戦。
4月5日に漫撒山から巴達山へ移動して3日目の4月7日。
移動の経緯については、4月5日のお茶のページを参照してください。
+【章朗古樹青餅2016年・黄印】
4月5日、4月6日、と順調に采茶できて、4月7日も朝から晴れました。しかし、日に日に気温が上昇し、朝の空気が湿気を帯びて、夕方の空に雲が広がってきています。
西双版納の数ある茶山で唯一、春の一水(まとまったひと雨)がまだ降っていなかった巴達山ですが、もうそろそろだと予感できました。
晒茶(茶葉の天日干し乾燥)は翌日の4月8日。
この日の天気が崩れて一日で乾ききらなかったら、せっかくの茶葉が台無しです。当店のお茶としては販売できません。
さらに、章朗寨の古茶樹の春の第一波(初摘み)の采茶はほぼ終わりに近づいていました。他の作物との都合で、村人たちはそろそろ茶摘みを終えようとしている様子です。
そもそも、2016年の春は3週間ほど遅れました。
新芽・若葉がなかなか出ないまま春が過ぎ去り、夏の雨季になろうとしています。
古茶樹は高齢で大きく、森の日陰に健やかに育つものほど、新芽の出る時期が遅い傾向にあります。
そのため、章朗寨の古茶樹の、その中でも森の影に大きく育つものは、若葉のまだ小さなものが多かったのですが、村人たちは育つのを待たずに采茶していました。
これは当店にとっては良い状況です。
摘んだ鮮葉は量り売りで値がつくため、村人たちはちょっと大きくなる(重くなる)のを待つのが一般的です。しかし、大きく育つと茶気が充実しません。
春を表現するのに新芽・若葉のもつ茶気は重要です。お酒のアルコール度と同じように、強い茶気はある種の印象を与えてくれます。
2016年の春は結果的に旬が短く、茶気の充実したタイミングで新芽・若葉の採取できた大きな古茶樹が少なくなりました。そのようなわけで、4月7日の采茶は特別な幸運に恵まれました。
写真ような大きな古茶樹と、周囲の同じくらい大きな3本と、合わせて4本から采茶した鮮葉のみでこのお茶をつくりました。
■殺青
章朗寨の森から車で25分の賀松寨の村に鮮葉を持ち帰って製茶します。
まずはザルの上に広げて萎凋させ、水分を適度に飛ばします。
晩ごはんを食べた後、殺青・揉捻の作業があるのですが、ここでまさかの停電。
山への送電線が断線して辺りは真っ暗です。空には無数の星が白く濁って天の川となっています。
もっとも、殺青(鉄鍋炒り)は薪の火で行うため問題はないのですが、店長ふじもとが自ら手を動かして炒るので写真が撮れません。ヘッドランプの光をたよりに手元だけを照らして炒りました。
仕上がりは上出来です。
シーズンの終わりに近づき、経験値も上がっています。
ただ、漫撒山と巴達山の殺青には多少の違いがあることに気付きました。
漫撒山と同じ感覚で殺青すると、火(熱)の通り具合が異なる結果となります。
いくつかの要因があります。
まず、茶葉の性質。
巴達山の茶葉は殺青の火(熱)がなかなか通らない、あるいは、通らないように感じさせます。そのため、漫撒山と同じように茶葉の茎の部分がしっかり柔らかくなるまで殺生すると、やや火入れしすぎになります。それはまさに巴達山の標準です。村の人たちは意図してしっかり火入れしているのではなく、自然に導き出された結果であると考えられます。
巴達山の薪は乾燥が不十分です。
パチパチと勢い良く炎が上がるわりに、鉄鍋にしっかり熱量が伝わっていないような気がします。その点、1年以上寝かして乾かした漫撒山の薪は、トロトロと穏やかな炎ですが、熱量はしっかり伝わります。
鉄鍋の竈の据え付けの技術が未熟です。
鉄鍋炒りによる晒青毛茶(生茶の原料となる天日干し緑茶)づくりの歴史が浅いためだと考えられます。薪をくべる炉の大きさ、鉄鍋を据える角度、高さ、空気の抜け道、あらゆるところに工夫が必要です。少しの差が大きな差となります。プロの職人が村へ来て竈をつくっているのですが、おそらく職人にも経験が足りないのでしょう。
技術的な未熟を補って有り余る茶葉の素質のすばらしさ。それが孟海県のお茶の魅力でしたが、この数年は業者が自前の設備を現地に備えて製茶するケースが増えてきました。
全体のクオリティーが高くなる反面、地域ごとの個性は薄まってゆくのかもしれません。
■晒干
4月8日も朝から晴れ。
茶葉が乾ききる夕方まで、なんとか天気が崩れずに済みました。
晒干は茶葉がまだ水分のあるうちに太陽に照らされることで、軽発酵がすすみます。緑の葉が青黒く変色するのは、茶漿(cha jiang)と呼ぶエキスが濃い証拠です。茶漿は早春の小さくやわらかい若葉に豊富にあります。
茶葉の表面が焦げることによって抗酸化物質がつくられ、保存に強いお茶になります。
晒干が終了してまもなく、巴達山の天候が崩れました。
仕上がった茶葉を車に積み込んで山を降りました。嵐のような暴風雨の中を車で走りました。
■圧餅
5月14日に圧餅しました。
孟海県の工房に持ち込んでの作業です。
茶葉を蒸して布にくるんで整形し、石型で圧します。
180gサイズの餅茶ですが。同じ180gでも布による整形や加圧の加減によって餅面の直径や厚さが異なります。今年は意図してやや小さめの直径で、やや厚めに仕上げるようにしました。茶葉をしっかり蒸してしっかり加圧しているので、カチカチになっています。
圧餅後、もう一度晒干しています。
このときも餅面の茶葉を太陽光で焦がすことで、熟成に良い効果を得ることができます。
■品茶
6枚しかないため、1枚も崩さずに出品します。サンプルにはできないため崩しての撮影はしません。
餅茶にするときの余りモノの散茶を試飲します。
シュワシュワと泡が弾けるような口感。早春が現れています。
重量感のある濃い味ながら、消えの早い透明なあと口は、アミノ酸的な旨味の少ない自然栽培の育ちの良さが現れています。
2016年春の生茶のプーアール茶の中では最高の仕上がりです。
葉底は青黒く、半日陰で育った健康な古茶樹ならではの色です。
茶葉の厚みや葉脈の浮き出た力強さは原生種に近い雲南大葉種の特徴ですが、指でつまむチカラ加減に気を使うほど柔らかく、早春の特徴が現れています。
店長のブログ「茶想」でも紹介しています。
+【章朗古樹春天散茶2016年 その2.】
請別轉用盗用本网站的文章和照片
当サイトの文章や写真を転用しないでください
Copyright puer-cha.com All rights reserved.