xiang chun lin qing bing cha
■概要
采茶 : 2016年4月1日
茶葉 : 西双版納州孟臘県漫撒山香椿林古樹
茶廠 : 孟海県工房
圧餅 : 2016年5月14日
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 西双版納 紙包+密封
数量 : 22枚
出品 : 2017年3月4日
■オリジナルのお茶
2016年の春のお茶です。
当店のオリジナル品です。
+【当店オリジナルのお茶について】
■一天一采
2016年はすべて一天一采です。
ある一日に摘んだ茶葉で、ひとつのお茶を仕上げます。別の日に摘んだ茶葉を混ぜません。
茶葉の成長、その日の天気、日暦のめぐり、製茶時の気温や湿度、そしてお茶をつくる人の体調や気分。ある一日における「自然」が茶葉に宿ります。
「自然」ということの捉え方。ひとつの世界観があります。
2016年春のオリジナルのお茶は全部で14種です。
■香椿林
香椿林(xiang chun lin)は地名です。
西双版納旧六大茶山のひとつ漫撒山(man sa)の一部にあり、ラオスとの国境をまたいで原生林の森が残っています。
詳しくはこちらのページにて紹介しています。
+【漫撒一水紅餅2016年 その1.】
+【香椿林紅餅2016年】
このお茶『香椿林青餅2016年』の香椿林は、『香椿林紅餅2016年』と同じ斜面の茶樹から採取されています。
■出品
2016年5月14日に圧餅して完成していますが、数ヶ月間熟成させました。
殺青時の火入れが浅いことや、圧餅を直射日光の晒干で仕上げることなど、いくつかの条件が重なり、風味が安定しないお茶になっていました。
定期的な試飲をして、安定と美味しさが確かなものになってきたので出品しました。
2016年5月に撮影したもの。
2017年3月に撮影したもの。
※同一の餅茶ではありません。
■製茶
4月1日の采茶には立ち会えませんでした。
山をいったん降りて天気の具合を伺い、再度訪問したその日の午後、ちょうど山から村へ鮮葉が運び込まれたところでした。
香椿林の森までの道中には、農地に近年植えられた小茶樹が多くあります。農家は小茶樹の茶葉を森の古茶樹と偽って売ろうとしますが、鮮葉の見た目ですぐに判別できます。この日の鮮葉は、茶葉に青黒い深みがあり、表面の光沢が際立っていたので、森の影で育つ古茶樹であることがはっきりしていました。
殺青は1度に5キロの鮮葉を炒ります。3鍋分の殺青でしたが、そのうち農家が2鍋、自ら1鍋分を炒りました。
香椿林の森は水気が多く、茶葉にも水分が多く含まれます。森から鮮葉を持ち帰る道中と、萎凋・殺青・揉捻・晒干の製茶の過程で水分の多い状態がつづき、茶葉がもともと持っている酸化酵素による軽発酵がすすみます。
製茶時の湿度の高さも影響します。漫撒山の一帯は農地化されていない森林が多いので湿度が高いのです。晒干は一日で仕上がりましたが、例年に比べると雲が多く、乾くまでに時間がかかります。このときの変化もお茶の風味の特徴となります。
紅茶づくりのように意図して軽発酵させるのではないので、ややムラができますが、長期熟成させることで徐々に均一になり、風味が安定します。
■品茶
2016年の春を振り返ってみると、農暦のとおりに春が遅く来たので、涼しい期間が短く、さらに天候の悪い日が多く、お茶づくりは難しくなりました。
当店では漫撒山のお茶づくりを、ちょっと早めの4月03日の采茶で終了しました。このお茶は4月1日の采茶です。
迷いに迷った判断で、生産量が少なくなりましたが、今振り返ってみると正しかったと言えます。
一般的に、茶樹が大きいほど・森が深いほど・山が高いほど・栽培に人の手が加わらないほど、新芽の出てくるタイミングは遅くなります。理想的な素材を求めると清明節の後の4月2日頃からが春の本番です。しかし、2016年の春はさらに遅く、4月12日のダイ族の撥水節の頃からやっと森の古茶樹の収穫が増えました。夏が近づき、気温が上昇し、雨も多くなっています。香椿林の森も同様にこの頃の収穫が多かったのですが、上質なお茶をつくれる環境ではありません。
4月1日に采茶されたこの茶葉は、早いタイミングで新芽の出た数本の茶樹のみなので、収穫量は少なくなりましたが、旬の風味をしっかり宿しています。
左: 香椿林青餅2016年 4月01日采茶
右: 刮風寨青餅2016年 4月23日采茶
写真で比較している『刮風寨青餅2016年』は、広東の茶友が山に入り鮮葉を仕入れてつくったお茶です。モノは確かです。
刮風寨は漫撒山で一番の有名どころで、森の広さ・茶樹の大きさ・茶樹の多さ、理想を満たす条件がそろっています。価格もそれなりに高騰していて、それゆえに偽物や粗悪品も多くあります。
ホンモノの刮風寨の春のお茶ではありますが、しかし、4月23日の采茶です。
1日の茶摘みでたくさん収穫したいために、より多くの古茶樹から新芽の出るのを待って、旬を逃しています。
たとえ初摘みであっても、春を通り過ぎて初夏になりかけた季節の茶葉です。
餅面の色の違いに注目すると、『香椿林青餅2016年』のほうがやや黒っぽく見えます。また、茶葉の短くまるいカタチも早春の特徴です。『刮風寨青餅2016年』の茶葉は雨の季節の入り口にあるため、新芽が大きく長く育っています。
写真ではわかりにくいのですが、『香椿林青餅2016年』の餅面は角度によってツヤツヤと光を反射します。茶油が多いと言いますが、これも早春の成分の充実した特徴です。
左: 香椿林青餅2016年 4月01日采茶
右: 刮風寨青餅2016年 4月23日采茶
葉底にも色の違いが現れています。
『香椿林青餅2016年』は色が暗く、新芽は爪の先ほどの小さなもので、茎は短いです。『刮風寨青餅2016年』の色は明るく、新芽は大きく、茎は長く育っています。
指で触ると、『香椿林青餅2016年』は柔らかくフワフワしています。『刮風寨青餅2016年』はゴワゴワした弾力があります。雨の季節が近づくと茶葉の繊維が強くなります。
同じ漫撒山の品種特性の似た茶樹の比較においてこの差が現れているので、茶摘みのタイミングが茶葉のコンディションに関わることがわかります。
■泡茶
一般的に新しい生茶(できてから数年以内)を沸きたての熱い湯で淹れると、新芽・若葉を煮やして苦味・渋味が出やすくなります。
ところが、製茶のプロセスで少しだけ軽発酵をすすめると苦味・渋味が穏やかになります。その分、輪郭がぼやけるので、むしろ熱い湯で淹れたほうがシャキッとします。
『香椿林青餅2016年』の軽発酵は意図したのではないですが、このような性質に仕上がっています。
早春のお茶は水の粒子がキメ細かく、舌触りがまろやかです。
茶杯に落とす水滴が水面を転がるように滑ることがありますが、まさに舌の上でもコロコロ水滴が転がるような感覚があります。
このようなお茶は甘く感じるのですが、舌触りのの錯覚ではないかと思います。舌に残りやすいアミノ酸や糖分によるものではない甘さで、消えが早く爽やかです。
生茶にしては穏やかな体感で、お腹を温めて、身体をゆるめて、眠くなるような酔い心地です。
請別轉用盗用本网站的文章和照片
当サイトの文章や写真を転用しないでください
Copyright puer-cha.com All rights reserved.