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【オリジナルのお茶の記録】


丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

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丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

■概要
製造 : 2012年4月
茶葉 : 西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶 (晒青毛茶)
保存 : 西双版納―上海 密封

■生茶プーアール茶
2012年の春に漫撒茶山でつくったお茶です。
当店のオリジナル品です。
+【当店オリジナルのお茶について】

※過去にアウトレット販売したお茶です。
お求めになったことのあるお客様はご注意ください。

■晒青毛茶
晒青毛茶は天日干しで仕上げたプーアール茶の原料となる茶葉です。
バラバラのままの形状から「散茶」とも呼ばれます。
『丁家老寨青餅2012年』をつくったときにできたものです。
【丁家老寨青餅2012年プーアル茶】

■黄片について
「黄片」とは、新芽や若葉を摘んだ時に、いっしょに摘み取ってしまった老葉(成長しすぎた葉)や茎の部分のことです。
老葉は黄色くなり、繊維質が硬いので「揉捻」をしても捻じれずに開いたままになり、見た目に悪いことと、圧延加工するには粘着力が弱いために、しっかり固めることができません。製茶後の天日干しで乾燥させてから、これを選り分けます。
手作業で選り分けた黄片は、少量のため、農家が自分たちで飲んだり、茶商が個人的に確保したりしています。近年は古茶樹の価格が高騰したために、廉価な黄片を集めて製品化する動きもあります。

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

黄片の特徴は、まろやかな風味と、茶酔いの少ない穏やかな成分です。
春の旬の、とくに新芽・若葉には「茶気」が強いと表現されるように、刺激のある成分が多く含まれます。この刺激が、お茶のお茶たる存在感や、新緑の芽吹く印象や、茶酔いの覚醒をもたらすので、高級茶には必要です。しかし、日常のお茶としてはやや強すぎる作用となることがあります。飲み過ぎると、夜に眠れなくなったり、脳が興奮して疲れたりします。
長期熟成して、刺激成分が穏やかになるのを待つのも、これがひとつの理由です。
その点で、黄片はもともと成分が穏やかで、風味もまろやかなので、つくりたての時点でも普段飲みにしやすいお茶なのです。

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

農家では老人たちがこれを好んで飲むので、「老人茶」と呼ぶこともあります。老人になるとカフェインなどの刺激成分が身体に堪えるようです。
また、漫撒山(旧易武山)の辺りでは、黄片のお茶でお茶漬けをする習慣があります。稲作とお茶づくりの歴史が世界的にも古い地域なので、お茶漬け発祥の地の候補に挙げられるでしょう。

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

たっぷりざっくり淹れて飲むのが美味しいお茶です。

■黄片にまつわる話
易武山の黄片は熟茶の原料でもありました。
熟茶は微生物発酵のお茶、「黒茶」です。
1973年に量産のはじまった熟茶製法は、堆積した茶葉に水をまいて微生物による発酵をうながします。この製法による初期のお茶には、主に黄片が使用されていました。当店が過去に紹介した1973年の熟茶には、はっきりと黄片の特徴が見られます。
【義安棗香73特厚磚茶プーアル茶】
このことは、黄片が熟茶づくりのカギとなっていたことを意味しています。
1973年以前にも熟茶はありました。
それが、易武山の無水発酵の熟茶です。
黄片の散茶や、黄片をブレンドして圧延した餅茶が、保存しているうちに自然発酵して熟茶になります。水をかけずに、易武山の温暖湿潤な環境で、空気中に漂う麹菌類の胞子が着生し、繁殖します。水分が少ないため緩慢な発酵です。
微生物にとっても、黄片はまろやかでやさしい成分だったようです。 とくに夏の雨の季節に摘んだ黄片は、刺激成分がより少ないためか、ほんの1年か2年寝かせるだけで「金花」と呼ぶ麹菌類の一種が発生します。

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

ところが、春の旬の新芽・若葉でつくられた茶葉には、刺激成分が多いのを微生物が嫌うためか、この無水発酵はかんたんには起こりません。易武山に保存されたすべてのお茶が熟茶になったわけではないのです。
分類が難しいのですが、分類の必要の無い時代にできたお茶です。
餅茶には黄片だけでなく、一芽三葉くらいで摘み取った様々な茶葉が混じります。そのため、葉の成長段階により発酵度が異なります。

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

葉底(煎じた後の茶葉)の色は均一ではありません。
黄片が黒く変色していて、小さめの新芽や若葉はまだ緑色を残しています。栄養成分が異なるので、菌類の活動に差があります。生茶の部分と熟茶の部分がブレンドされたような状態です。
このような無水発酵の熟茶が、1950年代までの易武山の民営の茶庄ではたくさんつくられていました。つくりたての時点では「生茶」であり、熟茶になるのは後のことで、保存中や運搬中に自然発酵するため、茶庄では「熟茶」をつくっている意識はなかったでしょう。
そのうえ、無水発酵しにくいお茶もあります。例えば、民営茶庄の高級品、『宋聘號』や『同興號』は、春の旬の新芽・若葉だけでつくられたものがあり、それらは微生物発酵といえる変化が無かったか、たとえあってもごくわずかだった可能性があります。
ちなみに、このお茶『丁家老寨古樹の黄片2012年』は、まだ発酵のはじまる前の段階です。したがって生茶になります。
春につくってから半年ほどは丁家老寨の農家にあり、実はその間に無水発酵しないか少し期待しましたが、そうなりませんでした。おそらく、春の旬の黄片だからでしょう。

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶
左: 易武山の熟茶(仮名)
右: 丁家老寨古樹の黄片2012年 (このお茶)

色の差からして、「黒茶」・「緑茶」とはっきりしています。
『易武山の熟茶』(仮名)の黒く焦げた枯れ葉のような色は、まさしく微生物発酵の色です。

「易武山の熟茶」
『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

店長のブログでも紹介しています。
+【漫撒茶山黄金葉熟餅05年その1.・茶想】

丁家老寨古樹の黄片2012年プーアル茶

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