製造 : 80年代後期
茶廠 : 雲南孟海茶廠
茶山 : 西双版納孟海茶区
茶樹 : 大葉種
茶葉 : 1級~3級
重量 : 100g
工程 : 生茶(おそらく春摘み茶葉)
倉庫 : 未入倉
お土産用のお茶として歴史のある「方茶」です。
茶葉と、作り方と、保存環境の遍歴が、独自の「薬味」に現れています。
「プーアル方茶」は「礼茶」とも呼ばれます。
「礼茶」とは、「礼品」(ギフト)のお茶という意味です。紙箱のパッケージが可愛く、贈り物やちょっとしたお土産に利用されました。
「礼茶」の歴史は古くて、 清朝(1616-1912年)の頃からで、皇帝が臣下(家来)に贈り物として配った記録があります。その時期の「方茶」は250gあり、「プーアル貢茶とも呼ばれました。茶葉は雲南省の大葉種で、太陽に晒(干す)する1級~2級の茶葉が使用されています。
また最近では、1992年製造の「方茶」が、レストランのお土産品に採用されたことがあります。
固形のプーアル茶の主流は、餅茶(円盤型)、磚茶(レンガ型)、沱茶(お碗型)、緊茶(キノコ型)で、正方形の形は珍しく、「工芸茶」の一種と分類できます。工芸茶とは、いろいろな形を模倣したものや、看板になるような文字が浮き彫りにされているものなど、主に装飾品としての目的で作られます。
飾ることが目的のため、質の悪い茶葉が使用されたり、熟成に適した圧延加工がされていないものが多いのですが、この「プーアル方茶」は比較的質の良い茶葉が使用されており、美味しく飲めるお茶としても人気があります。
「プーアル方茶」はいくつかのメーカーが作っています。
清朝の頃は、名前も残っていない小さな茶荘が作っていたようですが、1949年の中華人民共和国が誕生した後は、国営メーカーが作っています。
最初に作られたのは、1960年代末頃です。
はじめに、「昆明茶廠」が実験的に作りました。(その後、昆明茶廠は1995年頃解散しています)
1980年代になってから、当時国営だった 「孟海茶廠」が作ります。
1980年代~1990年代の「プーアル方磚」はだいたい孟海茶廠が作ったものです。 茶商からのオーダー生産で、メーカーが自主的に作っているお茶ではありませんでしたが、2004年以降民営になってからは、メーカーも自主的に作るようになりました。
孟海茶廠の「プーアル方茶」の種類
いくつかの「プーアル方茶」が存在します。
重量は100g、250g、500gの3種類。
写真は100g、250gの2種類の「プーアル方茶」です。
浄重100公分
浄重250公分
「浄重」というのは、箱と茶葉をあわせた総重量のことです。公分は、現在では(cm)という意味がありますが、昔は「克(g)」の意味もありますので、100g、250gという意味になります。
現在では、100克(グラム)のところ100公分(センチメートル)と印刷してあることになるため、後から100克(グラム)とシールを貼ってあります。2000年ごろからこの文字の印刷は、「克(グラム)」へと修正されています。
現在の「プーアル方茶」には生茶と熟茶があります。
表面と裏面
どちらが表でどちらが裏か、よくわかりませんが・・・
この写真は1998年250g版の熟茶です。
板チョコのように折り目になる線があります。
崩しやすいようにするためです。(実際のところは崩しにくいです・・・・)
これを「井」字格図面と呼びます。「井」字格は重量によって3種類があり、9四角格は100g、12四角格は250g、16四角格は500gです。
包装紙の裏面には、「方茶」と書かれています。
「方茶」、「孔雀図」、「無字」(なにも書かれていない)の3種類があります。今回入手したものは「方茶」と書かれているもので、輸出用にされたものです。「孔雀図」と書かれたものは国内販売用です。「無字」の由来はわかりません。
写真の右は、下関茶廠の方茶。生茶です。
大きさは125gで少し大きめ。2006年のものですが、下関茶廠の方茶にもいくつかの箱のデザインがあるようです。
紙の箱なので、中で茶葉が動いて、端のほうから崩れた茶葉があります。紙の箱はそっと開けて、崩れた茶葉をこぼさないようにしてください。
茶葉、味、香り
「礼茶」として使用されている茶葉は1級~3級です。写真から見ると、茶葉に「金毫」と呼ばれる茶葉が混じっています。これは新芽の部分です。収穫してすぐの時は、「白毫」あるいは「銀毫」と呼ばれます。その時の色は白っぽいのですが、年を経て黄色く変色し、「金毫」と呼ばれるようになります。
葉底(煎じた後の茶葉)
茶葉の形は整っています。色には鶯色が残っています。生茶で、20年ほど経つわりには、まだそれほど熟成がすすんでいないことが伺えることから、温度や湿度の高いめの茶商の倉庫には入っていないことがわかります。
そもそも方茶は、箱が美しくないとコレクション価値がなくなるため、箱が色褪せたり汚れたりするような環境に保存されたものは少ないようです。
7~8煎した葉底(煎じた後の茶葉)の色は均一で、鶯色した茶葉に黒い茶葉が混じるなどということはありません。同じ時期に収穫された純粋な生茶の茶葉のみで作られている様子です。陳化した古い茶葉や熟茶を混ぜた形跡もありません。
お茶はお茶ですが、まるで薬のような香りがします。
何煎でも薬香がつづき、それが味の印象を支配しています。
どうしたらこんな香りになるのだろう?と思うのですが、自然な熟成によって変化したということしかわかりません。
1級~3級の茶葉のみと、偏った配合でつくられていることと、それがカチカチに押し固められていること、乾燥した常温の環境で保存されたことなどが重なって、この薬味になったと思われます。
ある香港の老舗の茶商の手元にあった同年代のプーアール方茶を試したことがありますが、それは生茶の年代モノのそれで、まろやかで、梅香と糯米香が強く、薬味はかすかにあるのみでした。大きな違いは、崩して散茶にして瓶に入れて保存されていたことです。
方茶の圧延加工のカチカチ具合が、この独特の薬味をつくり出しているのでしょう。
また新しい情報によって、このお茶の過去が明らかになることがあれば、ここに文章を追加・変更してゆきたいと思います。
茶葉の量のめやすは以下をご参照ください。
+【5gのプーアール茶葉でどのくらい飲めるか?】
保存方法については、以下のコーナーをご参照ください。
+【プーアール茶の保存方法】
つぎにこのプーアール茶はいかがでしょうか?
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