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版納古樹熟餅2010年 その2

ban na gu shu shou bing cha

版納古樹熟餅プーアル茶

■熟茶のための毛茶づくり
2009年10月に采茶(茶摘み)がはじまりました。
2007年のプーアール茶バブル崩壊で、2009年は茶葉の需要が落ち込んでいたので、当店のオーダーは巴達山の農家にとって良い仕事となりました。

版納古樹熟餅2010年

賀松寨の農家は製茶を専業にしているので、春の高級茶なみの品質を求める当店の要求に張り切って応えてくれました。
10月の製茶が始まるまでに、殺青のための鉄鍋とかまどが新調され、山から切り出した太い竹で晒干のための物干し台が組まれました。作業場の周りには放し飼いの豚や鶏の侵入を防ぐ柵がほどこされました。

版納古樹熟餅2010年

鉄鍋の直径は1メートル。一度に5キロの鮮葉を殺青できます。新しい鍋がなじむまで、新茶園の茶葉を使って何度も練習が行われました。
竹組みの物干し台は筵(むしろ)6枚分の大きさです。1枚の筵で6キロの毛茶×6枚で合計36キロ分の毛茶が一日で晒干(天日干し)できます。
熟茶づくりもやはり晒干が重要です。太陽光線が茶葉の成分を変え、美味しく仕上げるからです。
数軒の農家から毎日集まってくる鮮葉をここに集めて、いっきに製茶する準備が整いました。

版納古樹熟餅2010年

製茶は手作業です。
「殺青」も 「揉捻」も機械を使わず人の手で行います。 一日に120キロの鮮葉を製茶するのに、殺青に3人、揉捻に6人が手を動かします。
実のところ揉捻は機械でもよいかと迷いました。
人の手では重労働なうえにコストもかかります。また、手作業による微妙な風味や美しさは、発酵を経て変質する熟茶にはもったいないと思ったのです。

版納古樹熟餅2010年

しかし、人の手による揉捻が、発酵の時にどのような効果を生むのかにも関心がありました。手作業で揉捻したことがはっきりとわかる熟茶製品は過去に見たことがありません。それを確かめたくなって、ぜひとも手でしっかりと揉捻するようお願いしました。

茶摘みと製茶は10月4日にはじまって、11月5日まで続きました。ぴったり1ヵ月間です。
以下は製茶後の毛茶の重量を記録した初期の一部です。

10月5日
16.0kg
10月6日
20.5kg
10月7日
18.5kg
10月8日
21.0kg
10月9日
26.0kg
10月10日
29.0kg
10月11日
31.0kg
10月15日
28.0kg
10月16日
30.5kg
10月17日
32.0kg
10月18日
32.5kg
10月19日
30.0kg
10月20日
33.5kg
・・・
・・・

毎日少しずつ重量が異なるのは、その日の収穫量が異なるためです。
途中10月12日~14日が抜けているのは雨天のせいです。
雨では茶摘みも晒干もできません。巴達山はもともと雨が多いのですが、この1ヶ月間はほぼ晴天がつづき、当店の要求する一日晒干の茶葉が難なく入手できました。

ふりかえってみると、このときからすでに雨が少なく、翌年2010年春のかんばつの兆候が表れていたのかもしれません。雨が少なく成長の遅い茶葉は、成分の濃いしっかりした味になります。

版納古樹熟餅2010年

■2つの風味のブレンド
おなじ巴達山でも「章朗寨」と「曼邁寨」の古茶樹は少し風味が異なります。この2つの風味を合わせました。配合比率は1:1です。茶葉の大量確保のためにおのずと二か所から集めることになったのですが、風味の点からしてもこのブレンドはちょうど良いと思いました。
この2つの風味の違いについて、生茶だったらどちらを選ぶか?ということもあったので、少し考えてみました。

版納古樹熟餅2010年

理屈では、章朗寨のほうが上等な茶葉である要素がそろっています。
例えば、茶樹は切り戻しが少なく、より巨大に育っていること。周囲に雑木がより多いこと。土に埋まっている岩石が見るからに多いこと。西双版納特有の大ぶりで厚みのある茶葉の特徴がより色濃いこと。毛茶の色は曼邁寨よりも青黒いこと。などなど。
これらは古来からの古茶樹の特徴や、美味しいお茶の出来る土地の理想を現わしており、しかも近年はこのように条件の整うところが少なくなりつつあることから、章朗寨のほうが上等という見方ができます。

版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年

しかしこの2つを飲み比べたときに、曼邁寨のほうが美味しいと感じたのです。間違ってはいけないので2~3日かけて飲み比べ、さらに水を変えたり、上海に持ち帰っての試飲も繰り返しましたが、それでも曼邁寨の古茶樹のほうが美味しいと感じました。

その直感を信じて、翌年の生茶づくりには曼邁寨の古茶樹を選んでいます。
美味しさの決め手は、お茶の風味に漂う気品の高さと、余韻の「押し」の強さです。淡くて透明感があり、もしかすると味が薄いと誤解されやすいのですが、後口にしっかりと残るストレートな茶の苦みが上等だと判断しました。
曼邁寨にはまだ人々が気付いていないところに、お茶の味の重要な要素が隠れているのかもしれません。

版納古樹熟餅2010年

では、熟茶にはどちらの風味がふさわしいのか?
章朗寨と曼邁寨との風味の違いは、質実剛健な味の濃い田舎料理を選ぶのか、洗練されて淡麗なほうへと向かってゆく都会料理を選ぶのか、というのに似ています。

しかし、熟茶は人間の口に合うかどうかという前に、 渥堆発酵の微生物が喜ぶかどうかというのがあります。それでいうと、いかにも栄養のありそうな章朗寨の茶葉は魅力的です。
結局、その2つを選びきれないので、1:1のブレンドということで良かったと思います。

■水のこと
酒づくりと同様に、熟茶づくりにも水選びが重要です。
発酵のプロセスから見て、酒づくりと熟茶づくりに良い水は共通しているはずです。
熟茶づくりの盛んな孟海鎮の盆地は、西双版納随一の水田地帯です。孟海鎮の海抜は約1200メートル。その周りをさらに高い山々が取り囲んでいます。小川の流れが集まるだけでなく、地下水脈も豊富にあります。
発酵を行う茶廠の井戸水は、深さ8メートルの比較的浅い層の地下水を使用しています。

版納古樹熟餅2010年

業界最大手の孟海茶廠の近くにある中堅の茶廠を訪ねたときに、「うちは孟海茶廠と同じ地下水脈です」という話を聞いたことがあります。たしかにその茶廠の熟茶は、孟海茶廠の味にそっくりでした。水が共通していると、発酵の具合も共通してくるようです。

孟海県はどこの茶廠を訪ねても、水道の蛇口(地下水をポンプで汲み上げている)をひねると、そのまま水が飲めます。まろやかな甘い水は、日本の水質によく似ています。

発酵の工程では何回かに分けて茶葉に水を撒くのですが、第一回目の潮水(水撒き)には、例えば1000kgの茶葉に対してなら300リットル弱の水を要します。 その後の潮水は少しずつ水の量を減らすので、一度に必要な水は最大でも300リットルです。
300リットルなら、車を手配すれば他所から持って来れます。自分で選んだ水を使ってみてはどうだろう?と思い立ちました。

熟茶の発酵には、麹や酵母の栄養分となるミネラル成分のカルシウム、カリウム、リンなどが適度に多い水が良いはずです。麹菌類の活動によって発生する熱は酵母の活動を支え、様々な因果関係があってお茶の風味に影響します。

版納古樹熟餅2010年

茶廠がいつも使っている地下水ではなくて、もう少しミネラルの多い水はどうだろう?輸入のミネラルウォーターを混ぜてみても面白いかもしれない。などと考えながら、入手できそうな水を探しました。

すぐに思いついたのが、茶葉とおなじ故郷の巴達山の湧水です。冷たくて甘くて爽やかで、いかにも山水らしい水です。お茶を淹れても美味しい水なので、過去にたびたび持ち帰っていました。
そこで、水質を測ってみました。

版納古樹熟餅2010年

巴達山の山水の水素イオン濃度を示すPH6.7は中硬水で、日本の水道水に似ています。しかし電解質の量を示す導電率22μS/cmは、ミネラル分がかなり貧弱です。
茶廠の地下水はPH6.0で、これも中硬水ですが、導電率は181μS/cmあり、市販のミネラルウォーターで例えば「六甲のおいしい水」の176μS/cm(当店の計測による)に匹敵しています。
エビアンのようなもっとミネラルの多い水を混ぜてみても面白そうだとも考えましたが、結局は下手にいじるよりは職人の使い慣れた水が良いと思い、今回は茶廠の地下水をそのまま使用しました。

版納古樹熟餅2010年

渥堆発酵をコントロールするために水の成分を調整する試みは、孟海県の茶廠(メーカー)ではまだ行われていません。実験段階ではあるのかもしれませんが、本番のお茶づくりで試みられたという話は聞いたことがありません。
孟海の気候と水と、あとは職人の勘に頼られています。結局それで美味しい熟茶がつくれているので、水に手を加える必要が無いのでしょう。

地下水流はいくつもあり、少しずつ水質が異なり、それぞれの茶廠のそれぞれの風味となっています。もしかしたら、日本酒における「宮水」のように、特別美味しい熟茶がつくれる水があるのかもしれません。熟茶にとっての宮水を探しは、今後も続けてゆきたいと思います。

■その3 発酵(つづき)

+【版納古樹熟餅2010年 その3】


版納古樹熟餅2010年 1枚 380g


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